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教育・保育・公共サービス系の職種

教育・保育・公共サービス系の職種とは

教育・保育・公共サービスに関わる仕事では、顧客や生徒、来訪者に対して様々なサービスを提供している。ただし、多くは専門的な知識や経験、技術が必要な、スペシャリストとして活躍しており、素地がないと就くことが難しい職種も数多い。自分の経験や学習の積み重ねを評価されて就ける仕事もあれば、特定の試験の合格、資格や免許を取得しなければ就けない仕事もある。前者には、講師や各種インストラクターといった職種などが、後者には、警備員、保育士、幼稚園教諭、教師、学芸員・司書、国家公務員、地方公務員、警察官、消防士、自衛官、その他公務員・団体職員などがある。

何をやる仕事?

教育・保育・公共サービスの職種は多岐に及ぶが、主なものを以下に紹介しよう。

■講師・インストラクター(OAインストラクター、スポーツインストラクター)
講師は、塾や学校などで授業や講義を行い、インストラクターは、事務機器や情報機器、スポーツの分野などで様々な指導を行う。小学校や中学校などで、教諭に代わって一時的に授業を行う仕事も講師と言われる。

■警備員
ガードマンと言われることも多い警備員。職務質問や検問、取り調べといった警察官のような権限はなく、その業務範囲は、警備業法に定められている。事務所や施設の監視・巡回、人・車の出入管理、イベント会場や工事現場などでの誘導といった保安、護衛業務などが、主な仕事となる。

■保育士、幼稚園教諭
保育士は、かつては保母や保父と呼ばれていた職業で、保育所(保育園)などの児童福祉施設などで、児童の保育や保護者に対して保育に関する指導を行う。幼稚園は文部科学省管轄の学校に当たるため、幼稚園教育要領に基づくカリキュラムで教育が行われる。同時に、園児一人一人の個性を把握した上で心身ともに健全に育つように促すことが求められている。

■教師(教員)
小学校・中学校・高等学校などで、授業や生活指導などを行うのが教師の仕事。勉強だけでなく、社会ルールや道徳規範を教え、成長へと導いていくことが求められている。

■学芸員・司書
博物館だけでなく、美術館や動物園、水族館などの文化施設で、資料の収集・整理、資料の保管・保存、資料の展示・活用、資料の研究調査、教育普及活動、その他資料と関連する事業などを行うのが学芸員の仕事。司書は、本のスペシャリストとして、図書館で、図書や資料の収集、整理、保管、貸出、返却、情報提供、広報などを行う。

■国家公務員・地方公務員、警察官、消防士、自衛官
内閣府や法務省、財務省、外務省など中央省庁に属する1府13省庁の行政府や、裁判所などの司法府、衆議院や参議院などの立法府といった国家機関や、行政執行法人(造幣局や国立公文書館など)で勤務するのが国家公務員。地方公務員は、都道府県庁や市役所、区役所、町役場など地方公共団体(地方自治体)で勤務する。公立学校の教員や警察官、消防士も地方公務員に含まれる。なお、警察官には巡査から警視総監まで9つの階級があり、階級によって国家公務員や地方公務員かが異なっている。巡査から警視までは地方公務員、警視正から警視総監は国家公務員となっている。また、自衛官は、陸上自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊のいずかに所属する防衛省の職員なので国家公務員となる。

■その他公務員・団体職員
その他公務員の仕事には、公務員ではないが公務員のような公共性の高い、社会全体の利益に資するみなし公務員や準公務員と呼ばれている組織での仕事や、非営利組織(NPO)などで勤務する団体職員としての仕事がある。みなし公務員や準公務員では、一般企業同様に、それぞれの組織や会社が独自に実施する採用試験を受験する。勤務内容についても、組織や会社によって大きく異なる。なお、公共性の高い仕事をしていることもあり、公務員と同じく副業や贈答は原則禁止、ストライキができないといった制約がある。
団体職員には、社団法人や学校法人、医療法人、財団法人、宗教法人、社会福祉法人、特定非営利活動法人などがあり、会員の出資で成り立っている信用金庫や生活協同組合で働く人も団体職員に該当する。

どんな能力やスキルが求められるか?

各方面のスペシャリストであるがゆえにキャラクターの個性が尊重されやすい面もあるが、ビジネスマナーや一般常識、コミュニケーション能力といった社会人にとっての基本能力は、いかなる職種でも必要だ。加えてそれぞれの職種に対応できる専門知識はもちろん資格が求められることも多い。

警備員になるための資格や試験はないが、警備に関する資格としては、交通誘導警備業務検定、貴重品運搬警備業務検定、核燃料物質等危険物運搬警備業務検定、雑踏警備業務検定などがある。業務を遂行する責任感や使命感、体力、精神力が求められる。また、侵入者や不審者と出くわすケースもあるので、武術の経験があれば心強い。

保育士になるには、学校で保育士資格に必要な単位を取得して卒業するか、保育士試験に合格する必要がある。幼稚園教諭になるには、幼稚園教諭免許が必要。公立幼稚園では地方自治体の採用試験を、国立や私立の幼稚園ではそれぞれが実施する採用試験に合格する必要がある。いずれの職種も、子どもが好きなことは絶対条件。また精神面でも体力面でもタフさが求められる。

教師(教員)になるには、学校の種類ごとの教員免許状が必要となり、中学校または高等学校では、学校の種類および教科ごとの教員免許状が必要となる。生徒の人格形成にも大きな影響を与える仕事であり、一般常識はもちろん日常的な言動、きちんとしたマナー、礼節をわきまえる、豊かな人間性を持った人物であることが重要。

学芸員になるには、学芸員資格認定試験に合格するか、大学などで学芸員資格取得に必要な科目を履修する。司書になるには、大学や短大で司書になるために必要な科目を履修するか、大学などが開講する司書講習を修了することが必要。学芸員には、専門分野に対する強い好奇心と情熱は必須。専門的知識はもちろん、根気よく研究を続ける探究心も重要だ。司書は本が好きなことが大前提。資料に対する専門知識や本の内容についての問い合わせがあるので、資料や本に関して研究調査を怠らず、日々研鑽することが大切。利用者と対面でサービスを提供することが多いので、コミュニケーション能力も必要。

国家公務員や地方公務員は、それぞれが実施する公務員試験に合格する必要がある。警察官になるには、各都道府県警察が実施する採用試験に合格する必要があるが、警察庁で勤務するには、国家公務員試験に合格しなければならない。また、消防士になるには、各自治体が実施する採用試験に合格が必要。自衛官になるには複数の方法があり、自衛官候補生採用試験の受験、防衛大学校や防衛医科大学校への進学、パイロットを養成する航空学生になるといった進路がある。

その他公務員・団体職員になるのに特段の決まった資格や条件はないが、職種によって求められる学歴や資格、スキルなどが異なるケースが多いので、応募に際してそれぞれの条件を満たしている必要がある。

塾の講師は特段の資格は必要ないが、近年ではユニークな指導方法や講義内容が話題となって有名となる講師も多く、人気講師となるとその分収入にも影響する。学校で講師として勤務する場合は、職務内容は教諭と大差ないことが多く、教員免許状を取得している必要がある。インストラクターになるには、指導者としての教育を前提とした資格を取得することが通常。スポーツインストラクターでは、日本水泳連盟や日本エアロビック連盟、全米ヨガアライアンスなどの団体が認定する資格がある。OAインストラクターであれば、パソコン講師資格認定文書処理試験や、マイクロソフトが認定する「マイクロソフト オフィス スペシャリスト(MOS)」、「マイクロソフト オフィシャル トレーナー(MOT)」といった資格がある。

どんな業界で活躍できるの︖

サービス業界・ソフトウエア・通信業界

多種多様なサービスを提供するサービス業界には、インテリアコーディネーターやブライダルコーディネーター、スポーツインストラクターなど、専門的な知識や経験を生かせる職種が用意されている。また、鉄道・航空業界、電力・ガス・エネルギー業界、教育業界、ソフトウエア・通信業界には、みなし公務員や準公務員に属する会社が多く、活躍の場は広い。

官公庁・公社・団体

国家公務員や地方公務員、教員や幼稚園教諭、警察官、消防士など、官公庁・公社・団体の職員として勤務する教育・保育・公共サービス系の職種は多い。

メーカー業界

メーカー業界でも、OAインストラクターなど、自社製品を販売するために、豊富な専門的知識が求められる職種がある。

教育・保育・公共サービス系の職種の企業情報

※原稿作成期間は2022年12⽉28⽇〜2023年2⽉28⽇です。

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