銀行・証券(地銀)業界の「現在」と「未来」
2021年度経常利益は6年ぶり増加。国も支援策で再編を後押し
全国地方銀行協会によると、地銀の2021年度決算(62行の単体ベース)は、本業の利益を示す業務純益が前年度比12%増の1兆784億円と2年ぶりに増加した。経常利益も同22.7%増の1兆363億円と6年ぶりにプラスとなった。21年度末の貸出金残高が国による企業への資金繰り支援で4%増の233兆5,855億円となり、融資の利息収入が増えたことなどが寄与した。ただ、2023年3月期は半分以上の地銀が減益を見込んでいる。人口減による地方経済の疲弊や、長引く超低金利、膨らむデジタル投資などが要因だ。
国は合併を後押し。システム統合も支援
国は再編によって1行当たりの体力増強を図っている。20年には独占禁止法の特例で、同じ地域で営業する地銀同士の合併を10年間、適用除外とすることにした。21年5月には合併に踏み切る地銀を支援する改正金融機能強化法が成立。26年3月末を期限として、システム統合費用などを補助する。背景には、デジタル投資の負担がある。銀行システムの更新、スマホ対応にはコストがかかるため、勘定系でクラウドを活用する地銀も出ている。
SBI、りそなが地銀と連携。自主独立か連携か
異業種との連携も進む。総合金融グループのSBIホールディングスは第4のメガバンク構想を掲げ、これまでに9行の地銀と資本・業務を提携。また、「地方創生パートナーズ」で、地銀の役割である地方創生を支援する。
りそなホールディングスも関西みらいフィナンシャルグループを完全子会社化。21年7月には金融デジタルプラットフォーム構想を掲げ、ソフトウエアやプログラムをつなぐ接続規格であるAPIを活用してデジタル活用基盤を整備する考え。これは地銀だけでなく、一般企業や地方自治体なども対象としている。
地域経済・産業を支える存在として、地銀は自主独立か連携かを迫られている。