銀行・証券(都銀)業界の「現在」と「未来」
4メガバンク体制に。全銀協などは都銀を5行に分類
都市銀行(都銀)とは、大都市に本店を置いて全国展開する銀行を指し、このうちメガバンクと称される特に大規模な都銀が現在4グループある。都銀はバブル経済崩壊に伴う不良債権問題などにより、銀行業を中心とする現在の4メガバンクグループに再編された。都銀の明確な定義はないが、金融庁と日本銀行は4メガ、全国銀行協会(全銀協)は三菱UFJ、三井住友、みずほ、りそなに埼玉りそな銀行を加えた5行としている。ゆうちょ銀行、長期信用銀行から転じた新生銀行(現:SBI新生銀行)、あおぞら銀行を含めることもある。
2021年度の貸出金は約213兆円。店舗、ATMは削減方針
全銀協によると、2021年度末の都銀の預金残高は、前年同期比3.2 % 増の444兆8,529億円、貸出金は同0.1 % 増の213兆388億円と巨額だ。ただ、長引く低金利により融資で稼ぐ収益構造は変化し、投資銀行業務や海外展開など多角化を進める。
デジタル化への対応も大きな課題だ。振り込みや入金手続きなどはネット経由が増加。支店やATMの運用コスト負担が相対的に上昇した。これに伴い、店舗の統廃合や本部の人員削減、既存店舗の小型化、ATMの運用の他社委託、共同化などを進める。
フィンテックへの対応が進む。改正銀行法で業務範囲も拡大
フィンテックへの対応も課題だ。フィンテックとは金融と技術を組み合わせた造語。すでに銀行口座と連動した家計簿アプリや、ITを駆使した資産運用などのサービスが登場。これらはスタートアップやベンチャー企業が中心となって新サービスを始めている。
一方、2021年12月までに順次、改正銀行法が施行され、銀行本体や子会社で人材派遣やビジネスマッチング、広告業やシステム販売などの事業展開が可能となった。すでに外部企業と組んで広告業に乗り出す例も出ており、事業の多様化が進みそうだ。