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世界人口増加により食料確保が課題となる中、技術で解決を目指すフードテック。日本でも官民を挙げて本格的な技術開発が始まった。
※掲載企業は売上や総資産額などに加え、業界のトピックを踏まえてマイナビ編集部が選定した一部の企業となります。また掲載内容に関する基準はこちらよりご確認ください。
マルハニチロ
培養液による魚、肉を製造。陸上養殖も展開
100%出資
エヌ・ティ・ティ・データ
食品メーカーと共同でDX化を推進
AI、IoTを使ったスマート養豚プロジェクト「PIG LABO®」を共同開発
日清食品ホールディングス
摂取基準設定の33種の栄養素を含む栄養食を開発
森永乳業
無菌環境下で長寿命の食品製造技術を開発
90%出資
キユーピー
大豆を使った卵代替食品を開発
ニップン
肉、米などの代替となる植物性タンパク素材を開発
51.3%出資
ニチレイフーズ
AIで食品工場のフードロスを解決する技術を開発
グループ会社
J-オイルミルズ
植物性のチーズ、バター代替品を輸入販売
カゴメ
植物素材100 % の卵を共同開発
66%出資
敷島製パン
コオロギのパウダーを使ったパンを商品化
ミヨシ油脂
植物由来の食用油脂ブランドを立ち上げ
50%出資
ユーグレナ
微細藻のミドリムシを活用した食品などを提供
クックパッド
家電などにレシピを提供し調理するサービスを提供
50.9%出資
ベースフード
1食で1日の3分の1を摂取できる栄養食を提供
ウミトロン
人工衛星のデータで給餌量を制御する養殖技術を開発
COMP
必須アミノ酸9種を配合したバランス栄養食を提供
デイブレイク
特殊冷凍技術で食品流通の課題を解決
デザミス
AI、ビッグデータを使った畜産業向けシステムを開発
ドリコス
オーダーメイドのサプリメントを供給
出資
ファームノート
AIなどを使った酪農向け管理システムを提供
プランティオ
野菜の生育をIoTで管理するアプリを開発
プランテックス
人工光による植物工場の企画、運営サポート
ベジタリア
IoTなどで植物生育、収穫時期予測システムを開発
MISOVATION
みそ汁タイプの完全栄養食を開発
リージョナルフィッシュ
ゲノム編集で生産性向上を果たす陸上養殖を開発
日本ハム
大豆、コンニャク由来の培養肉などを開発
施設
味の素
大豆由来の植物肉、培養肉などを開発
伊藤ハム米久ホールディングス
代替肉を使ったハム、ミートボールなどを販売
良品計画
ハンバーグ、ミートボールなど大豆ミート食品を通販
60%出資
不二製油グループ本社
大豆ミート開発で先駆け。高いシェアを持つ
プリマハム
大豆を原料としたハンバーグなど植物肉を販売
99%出資
45.5%出資
スターゼン
大塚食品と大豆ミート食品を共同開発
森永製菓
大豆と玄米を原料とした代替肉加工食品を販売
オイシックス・ラ・大地
大豆タンパク質を原料とした植物肉を開発
マルコメ
レトルト、乾燥、冷凍などの大豆ミートを販売
大塚食品
大豆だけを使ったハンバーグなどを開発
きちりホールディングス
植物肉を使ったメニューをデリバリーサービス
51%出資
アジテック
大豆ミートを使用したハムなどを製造
グリーンカルチャー
大豆、エンドウ豆を使った代替肉、植物肉を販売
DAIZ
外食用の植物肉のほか、代謝物質を開発
ネクストミーツ
植物由来の代替肉を開発。アメリカで上場
日本は人口減少が続いているが、2022年に世界人口は80億人を突破し、30年には85億人に増えると予測されている。一方で、10人に1人が飢餓に直面しているとされ、このままでは食料問題が一層深刻化する恐れがある。農林水産省の農林水産政策研究所によると、世界の主要34カ国・地域の飲食料市場は、15年の890兆円から、30年には1,360兆円、特に人口増加が進むアジアは15年の420兆円から30年には800兆円に達すると予測している。しかし、市場拡大に伴う食料供給が追い付くかが課題だ。こうした課題を技術で解消し、食料増産と環境負荷低減の両立を目指すのが、フードテックだ。
代表的な技術が、代替食品の開発だ。大豆などの植物を加工した人工肉で、低カロリーでも栄養価が高いなどの特長を持ち、途上国だけでなく、菜食主義者や宗教上の理由で肉食できない人向けなどに実用化されている。細胞培養により、食べられる細胞だけを取り出して肉や魚、野菜などを作る技術も開発されている。 農業や水産分野でも、ICT技術を駆使して、ビニールハウスなどの内部環境をデータ管理して野菜や果物などを育てるスマート農業、天候や害虫に左右されずに砂漠など気候環境に厳しい地域でも屋内栽培できる植物工場、徹底した管理で魚介類を育てる陸上養殖などが進められている。 食品流通や配送でも、長期保存できる食材や梱包材料の開発、アレルギーの有無や個人の好みに合うレシピや献立作成などを提供するアプリも登場。食材を分子単位まで細分化し、新しい風味や食感を生み出す調理法なども考案されている。 一方、外食や中食では、移動しながら食事を注文・決済し、出来上がる時間に引き取るモバイルオーダーにより、飲食店でのフードロス削減につなげる。ロボットで料理の盛り付け、配膳、皿洗いまでを任せることができれば、人手不足解消ができる。さらに、体に必要な栄養素を一食で賄える健康食品など、さまざまな技術開発が進んでいる。
日本は欧米に比べて、フードテックへの投資が遅れていたことも事実。農水省によると、19年時点のフードテック投資額は、アメリカが9,574億円、中国が3,522億円、インドが1,431億円、イギリスが1,211億円に対し、日本は97億円と桁違いに小さい。EU(欧州連合)では、植物や藻類、昆虫などの代替タンパク質の技術開発を進めているほか、アメリカもバイオテクノロジーによるフードテック技術を輸出管理するなどの動きもある。日本の場合、食料自給率は低いものの、食料安全保障に対する意識が高まっていないことなどが要因とみられる。 こうした現状を打開するため、農水省は20年10月、フードテック官民協議会を発足。資源循環型の食料供給システムの構築、農業、水産業、小売り、外食など関連する異業種が連携して、新技術開発を進める考え。21年には、官民が連携して世界のフードテック情報を収集して発信するフードテック・ラボを開設し、技術開発を支援している。すでに、ゲノム編集によって食べられる量を増やしたタイの養殖、健康的な食べ方を提案するアプリなどが実現している。 ただ、フードテックはフードロスを減らせる半面、天然の食品や加工品などに比べ、コストがかかることが課題。普及させるには、技術の成熟化に加え、消費者の意識変革も求められている。
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