建設・設備関連業界の「現在」と「未来」
建設業者は国内に約47 万社 ゼネコンが頂点のピラミッド構造
建設業は大きく建築と土木に分けられ、その両方を手掛ける企業をゼネコン(GeneralContractor)とし、ゼネコンの中でも大手5社をスーパーゼネコンと呼ぶ。道路やトンネルなどのほか、マンションや高層ビル、さらには競技場などの大規模工事も手掛ける。日本建設業連合会(日建連)によると、国内の建設業者数は約47万と減少傾向だ。事業規模別では、資本金1億円以上の企業割合は1%程度と、大半が中小零細事業者。スーパーゼネコンを頂点として、準大手・中堅、そして中小事業者というピラミッド構造となっている。大手は海外展開も積極的で、海外建設協会によると、2021年度の海外工事受注高は1兆7,855億円にのぼる。
2021年度の建設投資は約62.6兆円。政府投資は堅調
国土交通省によると、21年度の建設投資額は、前年度比2.9%増の62兆6,500億円と、2年ぶりに増加する見通しだ。内訳は、政府投資が同2.4%増の24兆5,300億円、民間投資が同3.2%増の38兆1,200億円。建設経済研究所と経済調査会が発表した22年度の投資額は、同3.1%増と予測している。ピーク時の約84兆円(1992年度)には及ばないものの、ここのところは安定して推移している。
実際、日建連によると、21年度の受注額( 会員94社ベース) は同2.8 % 増の15兆4,633億円と伸びた。中でも政府投資は、21年度から始まった「防災・減災、国土強靭化のための5か年加速化対策」に伴う自然災害対策への工事需要に加え、2025年に開催予定の大阪・関西万博プロジェクトなどもあり、堅調な推移が見込まれる。ただ、民間投資の約4割を占める住宅投資は人口減少などで、今後は大きな増加は見通せない状況だ。
「i-Construction」で効率化。企業連携で新技術を開発
建設業が抱える課題は人手の確保。屋外工事が多く、労働環境が厳しそうなどの印象から若者の人気が低下。55歳以上の労働者の割合が34%と、他産業に比べ高齢化が目立つ。25年には約90万人の人手が不足するとの予測もある。これに対応し、国交省はロボットやICT技術などを活用して作業効率化、人手不足の解消などを目指す「i-Construction」を打ち出した。調査・測量から設計、施工、検査などの全工程でロボットやICT、AIなどを使い、生産性向上と人的負担の削減を目指す。民間側も21年に共同事業体「建設RXコンソーシアム」を結成。22年7月末現在で会員100社以上が参画。新技術の共同開発などを進めている。