機械(機械)業界の「現在」と「未来」
代表的な存在の総合重機。2021年の工作機械受注約70%増
造船を祖業とする総合重機各社は、発電機器、プラント、航空宇宙などに多角化してグローバルに事業展開し、一般機械業界の代表的存在といえる。このほかにも、建設機械、工作機械、産業用ロボット、繊維機械などは国際競争力が高く、輸出比率も高いのが特徴だ。
日本工作機械工業会によると、2021年の受注額は前年比70.9%増の1兆5,414億円に増えた。主力の外需が同78.6%増の1兆310億円と大きく伸びたのが主因。コロナ禍による需要減の反動に加え、半導体不足による国内外の設備投資増、電気自動車(EV)関連投資の増加などが寄与した。
工作機械は機械を作る機械のため「マザーマシン」と呼ばれる。旋盤、フライス盤、研削盤、放電加工機、複数の機能を併せ持ったマシニングセンターなどの機種があり、いずれも日本企業の世界シェアは高い。
2021年度の建機出荷額は3割増。自動運転のルール化進む
日本建設機械工業会によると、2021年度の建機出荷額は、前年度比31.5%増の2兆9,110億円と大きく伸びた。主力の外需が同55.7%増の1兆9,132億円と増加したことが寄与した。内需は同1.2%増の9,978億円。建機は油圧ショベルをはじめ、建設用クレーン、道路機械、コンクリート機械などと幅広く、各社とも得意分野を持つ。
建機業界の大きなテーマは自動化と環境対応だ。エンジンに代わり電池駆動車が登場。建設業界の人手不足にも対応し、ICTを使った自動運転や遠隔監視・制御、施工現場の無人化などの技術開発が進められている。国土交通省は22年4月、建設機械施工の自動化・自律化協議会を発足させ、自動施工の壁となっていた安全基準や施工管理基準などを整備。自動運転の共通ルールとし、25年度までに建機の自動制御・走行技術を確立するとしている。
ロボットは国内減、輸出増。IoT対応が進み、需要を掘り起こす
同様に世界で高いシェアを持つのがロボットだ。日本ロボット工業会によると、21年の出荷額は前年比23.2%増の9,623億円と、2年ぶりに増加した。国内が同7%増の2,230億円に対し、輸出は同29.1%増の7,392億円と増えた。ただ、中国や欧州勢の追い上げもあり、国内メーカーはAIやIoT技術の応用を進める。経済産業省は人手不足を補うサービスロボットの開発を支援しており、施設管理や自動配送、飲食業などでの普及を目指している。
1800年代から続く繊維機械。工業用ミシンなどで存在感
一方、国内で1800年代からという歴史を持つ繊維機械は、これを祖業とする機械、自動車メーカーもある。日本繊維機械協会によると、21年の生産額は前年比45.6%増の2,048億円で、大半が輸出だ。