発行部数の減少続く。電子版の強化が必要
日本新聞協会によると、2021年10月時点の新聞発行部数は、前年同期比5.9%減の約3,302万部と、17年連続で減少した。協会加盟89社の20年度売上高は前年度比10.3%減の1兆4,827億円。ただ、20年度の広告収入は同3.4%増の3,815億円と、前年のコロナ禍による落ち込みの反動が出た。
新聞は、全国で発行する全国紙、複数の都道府県で発行するブロック紙、都道府県単位の地方紙に分けられる。種類別では、政治経済から社会、国際などの情報を総合的に扱う一般紙、スポーツや芸能に特化したスポーツ紙のほか、国内外のニュースを配信する通信社や業界専門紙などがある。
ただ、無料のネットニュース利用者が増え、特に若者の新聞離れが続き、1世帯当たりの購読部数は21年には0.57部と、1部を大きく割る水準。このため、地方紙では夕刊発行を廃止するなどのリストラ策が相次ぐ。
それでも、新聞はテレビやネットに比べて速報性では劣るものの、情報の正確性や解説などの信頼性は高い。各社とも有料のネット配信、電子版の強化を進めており、いかに収益に結び付けていくかが課題だ。
民放もネットの影響大。リアルタイム配信もスタート
総務省の民間放送事業者の収支状況によると、20年度の地上波テレビの売上高は前年度比11.5%減の1兆8,948億円、衛星放送が同6.5%減の3,386億円、有線放送が横ばいの5,006億円。テレビ視聴機会は減少傾向で、収益の柱となる広告費も停滞傾向だ。
民放各局とも有料の動画配信に力を入れ、オリジナル番組も放映して顧客開拓を進める。加えて、21年の著作権法改正によりテレビとネットの同時配信が可能となったことで、22年から民放の在京・在阪各5局が地上波リアルタイム配信を始めた。パソコンやスマートフォンなどで視聴が可能だが、無料配信のため収益性の確保が課題だ。イベントや映画制作など収益源の多角化が求められる。