出版市場は3年連続プラス。電子出版がけん引
全国出版協会の出版科学研究所によると、2021年の出版市場は前年比3.6%増の1兆6,742億円と、3年連続でプラスとなった。ただ、内訳を見ると明暗は明らか。書籍、雑誌が同1.3%減の1兆2,080億円に対し、電子出版は同18.6%増の4,662億円。特に電子コミックは同20.3%増の4,114億円と大幅な成長が続いている。初回は無料で、継続的に読むためには有料になるビジネスモデルの漫画アプリが増えているほか、定額で読み放題のサブスクリプションサービスもある。
紙の出版でもデジタルを活用する動きがある。講談社、集英社、小学館の大手3社と丸紅は22年3月、出版流通の効率化で新会社「PubteX」を設立。ICタグで在庫、棚卸情報を管理するほか、AIで配本計画を最適化。第三者にも情報提供する。返本率が約4割とされる業界の効率化につなげたい考え。
広告費は増加に転じる。異業種からの参入が目立つ
電通の日本の広告費によると、21年は前年比10.4%増の6兆7,998億円と、前年のコロナ禍による減少から立ち直った。新聞が同3.4%増の3,815億円、テレビが同11.1%増の1兆8,393億円などマスコミ4媒体がそろって増加。ネット広告は同21.4%増の2兆7,052億円と成長が続く。ネット広告はSNSなどへの動画広告が同32.8%増の5,128億円と、5,000億円を突破した。ただ、22年4月の改正個人情報保護法により、特にネット広告ではネット閲覧情報の取り扱いについて厳格化されており、対応が求められる。
一方、ネット広告の拡大により、コンサルティングやデジタル企業などによる広告業への異業種参入が目立つ。デジタル広告へのアクセスデータを利用したマーケティング支援や、データ処理の強みを発揮する狙いで、広告会社との競争が激化しそうだ。