リユース市場は約1.2兆円。店舗数は全国に約3,900店
2018年に第4次循環型社会形成推進基本計画が策定され、リユース市場の調査が基本指標となった。これに伴い、環境省は毎年、市場規模調査を実施。それによると、2021年度のリユース市場は3兆4,048億円。内訳は、リユースショップ・中古品販売店での購入が2兆715億円、ネットオークションが4,034億円、ショッピングサイトが3,832億円、フリマアプリが1,895億円、フリーマーケット・バザーが454億円となっている。ただ、自動車や二輪車はリユース品の適用外とされ、それを除く市場規模は1兆2,328億円だ。
同省が行ったアンケート調査では、過去1年で中古品を購入した人は約3割に伸びており、特にフリマアプリの急増が寄与しているという。中古品の購入意向では、書籍64%、ソフト・メディア類55%、ゲーム機器40%が高い比率を示している。
こうしたリユース市場の拡大に伴い、衣類・服飾系、ブランド品、家具、家電などの中古品を買い取り、販売する企業が増加。日本リユース業協会加盟各社の店舗数は約3,900店(フランチャイズ店を除く)に達している。
環境保護意識とSDGsが追い風。ネット取引も拡大
リユース市場の拡大の一つの要因は、環境意識の高まりだ。00年に循環型社会形成推進基本法が施行され、環境への配慮として、リデュース(廃棄物の発生抑制)、リユース(再利用)、リサイクル(再生利用)という3Rの実行が推奨された。以前から古着店、古書店、質店、リサイクルショップなどの店舗形態があったが、いずれも個人経営がほとんどだった。だが、長引く経済の停滞や、15年には国連がSDGs(持続可能な開発目標)を発表したことで、新品に比べ安価に商品を購入できるリユース市場が拡大していき、参入障壁も低いことなどから各地に店舗展開を図る企業が増加した。
リユース市場の大きな変化は、フリマアプリやネットオークションに代表されるネット取引の拡大だ。これに伴い、大手各社は店舗買い取り・販売だけでなく、個人宅に出張して買い取ったり、ネットで買い取ったりなど商品仕入れ拡大している。ネットでは海外向け販売も可能となり、「ユーズド・イン・ジャパン」として拡販を図るところも出てきた。
さらに追い風となったのが、フリマアプリの急増だ。経済産業省の電子商取引の市場調査によると、21年のフリマアプリをはじめとする個人間取引は、前年比12.9%増の2兆2,121億円となった。フリマアプリは主に中古品を取引する例が多く、同省は中古品に対する抵抗感が薄れてきていると分析。リユース市場の拡大を予測している。
リサイクル産業は定着。9割を超える品目も多い
一方、日本のリサイクル産業は定着している。01年の資源有効利用促進法の施行をはじめ、品目ごとのリサイクル法の整備、分別回収の普及により、産業廃棄物と一般廃棄物(都市ごみ)を合わせたリサイクル率は約49%だ。産業環境管理協会のリサイクルデータブックによると、この比率は環境先進地域とされるEU(欧州連合)の約40%を上回る。
品目別のリサイクル率では、鉄鋼99%、自動車99 %( 重量ベース)、建設廃棄物97.2%、ペットボトル96.7%、アルミ缶94%、スチール缶94%、エアコン92%などが9割を超える高い比率。産業廃棄物、一般廃棄物とも処理や運搬には地方自治体から許可を得る必要があるが、いずれも品目ごとの処理・リサイクル業者が存在し、産業としての地位を確立しているといえる。