商社(アパレル・ファッション関連)業界の「現在」と「未来」
2021年の卸売額は約4%減。ブランドビジネスも展開
経済産業省の商業動態統計によると、衣服・身の回り品卸売業の2021年の販売額は、前年比4.5%減の3兆9,900億円と、減少が続く。コロナ禍による外出機会の減少や、リモートワークの増加で衣料品、ビジネス衣料など、アパレル小売りの落ち込みが響いている。
アパレルメーカーは商品を企画し、製造は外部工場に委託するのに対し、繊維・アパレル商社は、糸や生地、素材、アパレルなどを国内外から仕入れ、メーカーや小売りに提案するなど、資材調達から物流までを担う。海外ブランドの使用権を取得して商品を作るブランドビジネスを展開する場合もある。
大手は多角化が進む。商品の拡販支援にも強い
アパレル商社は、原材料中心の企業、メーカーから独立したメーカー系企業、総合商社系、独立系に分けられる。大手は繊維・アパレル関連だけでなく、機械や電子材料、産業資材なども扱うなど多角化が進む。自ら新素材を開発する企業もある。アパレル事業では、需要予測などのマーケティングから、商品の小売りへの売り込み、販売促進イベントの展開などを通じてメーカーと連携している。
メーカー機能を強化。ODM、OEMが増加傾向
アパレル商社は近年、これまでに培ったノウハウを生かし、自ら製造部門を強化する動きが相次いでいる。具体的には、ODM(Original Design Manufacturer)とOEM(Original Equipment Manufacturer) だ。ODMは、工場を持たない顧客から依頼され、
商品企画から製造まで請け負う。OEMは相手先のブランドで商品を製造する。ネット通販などで安価なアパレルの需要が増えていることから、ODMやOEMを採用する小売りが増えることも予想される。