ソフトウエア・情報処理・ネット関連(情報処理)業界の「現在」と「未来」
ITシステム構築を主導するSIer。2020年度売上高は約20.9兆円
システムインテグレーター(SIer)とは、顧客の目的に応じて情報システムのコンサルティングから基本設計、プログラム開発、ハードウエア・ソフトウエアの選定、運用・保守までを一括して請け負う。システムに関わるそれぞれの専門技術を備えた人材や企業を統括して開発を主導する。SIer業界は、IT機器のメーカー系、銀行や通信、商社などの大手企業の情報部門を分立させたユーザー系、独立系、中堅・ベンチャー系に大別される。総務省・経済産業省の情報通信業基本調査によると、2020年度の情報処理・提供サービス業の売上高は、前年度比8.1%増の20兆9,794億円、企業数は2,019社にのぼる。情報サービス産業協会によると、同協会加盟308社のSIサービスの売上高比率は44.5%。
SIerの役割は変わる。DX市場は約1.6兆円
SIerの役割が変わるという予想もされている。現行の情報システムは複雑化・老朽化しており、ベテラン人材が退職するなどで管理が困難になる傾向にあるためだ。それ以上に、クラウドコンピューティング、AI、ビッグデータ、IoT、5Gなどを活用したDX(デジタルトランスフォーメーション)の進展により、より専門的な知識を持つ先端ITシステムが必要とされるためだ。
電子情報技術産業協会によると、21年度のDX向けソリューションの市場規模は、前年度比13.2%増の1兆6,768億円と推定。
技術者不足が課題。採用から社内育成へ
一方、IT技術者の不足が大きな課題だ。情報処理推進機構のIT人材白書によると、IT企業、ユーザー企業とも過半が不足していると回答。解決策として、35の専門分野にわたりITスキルの指標を策定して見える化を促進。経産省はIT人材の採用から、社内育成への転換を求めている。