その他メーカー・製造関連業界の「現在」と「未来」
技術開発の外部委託が進む。受託開発は技術者派遣がメイン
その他製造業の中でも、成長しているのが受託開発業だ。技術の高度化・多様化などによって、製造業は自社で技術者を抱えることが難しくなっている。このため、新製品の設計から製造までを外部技術者に委託するケースが増え、顧客企業に派遣する受託開発ビジネスが定着。派遣技術者なども教育や研修によって技術力を向上させ、ニーズに応えている。
2020年の派遣技術者は約36万人。情報処理・通信分野が半数近い
受託開発業はユーザーの要望に沿って新製品、システム、ソフトウエアなどを開発する。かつてはITシステムやソフトウエア分野で多用されていたが、近年は機械設計、建設関連、研究開発など製造業全般に広がっている。
厚生労働省の労働者派遣事業報告書によると、2021年6月時点の派遣労働者の数は前年同期比8%増の約169万人で、このうち製造業務に携わるのは同15.9%増の約36万人。業務別の技術者派遣では、製造、建築・土木・測量、情報処理・通信、その他を合わせて約30万人にのぼる(無期・有期雇用の合計)。中でも、情報処理・通信技術者が13万5,793人と、半数近くを占める。ITやICT技術の進化に伴い、情報通信関連の需要が高いことを示しているほか、近年は建設関連の派遣も増えている。
DXでIT人材需要が高まる。求められる最先端技術者の養成
情報通信関連技術者の派遣需要は今後も拡大しそうだ。日本企業の間では、IoT、AI、ビッグデータなどを活用して事業変革を目指すデジタルトランスフォーメーション(DX)がキーワードとなっている。ただ、情報処理推進機構が21年に公表した「DX白書」によると、DX人材についてのアンケート調査で、企業内のIT人材が「やや不足している」「大幅に不足している」を合わせて76%に達している。同白書では自社の人材育成だけでなく、外部人材の活用も提言しており、技術者を派遣する事業者側もこれに対応した人材養成が求められる。