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業界&シゴト研究

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保育所とは?

認可と認可外、その違いは?

保育士を必要とする職場はさまざまであると紹介しましたが、もっとも募集が多いのはやはり保育所と呼ばれる施設です。保育所には大きく分けて、認可保育所と、認可外保育所があるのですが、その二つについてもう少し詳しく説明しましょう。

認可保育所

施設の面積、職員の配置と人数、屋外施設などが厚生労働省の定める基準を満たしていて、都道府県知事などから許可を得ている保育所のことです。運営費の多くは公費でまかなわれ、申し込みや保育料の支払いは市区町村にて行います。運営を地方自治体が行う「公立保育所」と、社会福祉法人や株式会社が行う「私立」があります。

保育料が比較的安く、人気は高いのですが、園庭の設置や人員配置の高い基準を満たす必要があるため、用地が確保しにくい大都市圏では数が不足しています。さらに、各市区町村における入園審査基準も高いため、待機児童問題の要因になっている面もあります。

こども家庭庁の統計によれば、2023年の保育所等の総数は3万9,589カ所。保育所の定員は約305万人と前年比で6,500人ほど増えています。待機児童の数も2,680人と前年比264人の減少となっています(こども家庭庁 令和5年4月1日 保育所等関連状況取りまとめ)。

認可外保育所

無認可保育所とも呼ばれ、認可保育所以外のすべてが該当します。運営費は基本的に各家庭が支払う保育料でまかなわれ、入所申し込みや保育料の設定はそれぞれの保育所が行います。企業や病院が、職員とその子どもたちのために独自に設置する「事業所内保育所」「病院内保育所」や、交通条件に恵まれない山間地や離島などの「へき地保育所」は、園庭の設置をはじめとする国の基準を満たすのは難しい環境で保育所を必要とする人々にとって、とても大切な存在です。

保育士と園児

また、認可外保育所には地方自治体が独自の基準で運営する「地方単独保育事業」もあります。認証保育所・認定保育所とも呼ばれ、「東京都認証保育所(東京都)」「横浜保育室(横浜市)」「ナーサリールーム(さいたま市)」「せんだい保育室(仙台市)」などがこれに当たります。これらは多様化するニーズに対応した柔軟なサービスで、待機児童解消のための役割が期待されているものです。

厚生労働省によれば、2022年3月時点では、認可外保育施設の総数は2万58カ所で、前年度比で205カ所減りました。入所児童の総数は23万2,995人で、前年より2,949人増えています(こども家庭庁 令和3年度 認可外保育施設の現況取りまとめ)。

認定こども園は保育所+幼稚園

保育所と幼稚園は、行政の管轄も事業の内容も異なることは既に説明しましたが、互いの長所を採り入れる取り組みが進んでいます。その流れを汲んで、都道府県が推進している新しい枠組みに、「 認定こども園」があります。

「認定こども園」は、保育所、幼稚園などのうち、就学前の子どもに幼児教育・保育を提供していること、そして地域における子育て支援を行っていることを条件に、都道府県知事から認定を受けることができます。認定を受けるためには、保護者が働いている/いないにかかわらず子どもたちを受け入れていなくてはなりません。また、すべての子育て家庭を対象に、子育て不安に対応した相談活動や、親子の集いの場を提供することなどが求められます。「認定こども園」とは、保育と教育を一体化させた、まさに保育所+幼稚園を実現する存在なのです

認定こども園には、地域の実情に応じて4つのタイプがあります。幼稚園と保育所の機能を併せ持つ単一の施設である「幼保連携型」、認可幼稚園が保育所的な機能を備えた「幼稚園型」、認可保育所が幼稚園的な機能を備えた「保育所型」、保育所や幼稚園の認可がない地域の教育・保育施設が必要な機能を果たす「地方裁量型」です。認定こども園でのキャリアを目指すなら、保育士に加え、幼稚園教諭免許状の取得も考えたほうが良いでしょう。認定こども園は2021年4月1日現在、認定件数は8,585件となっています(内閣府 子ども・子育て本部資料)。

認定こども園は保育所+幼稚園