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スペシャルインタビュー

スペシャルインタビュー
Vol.01

数多くある仕事の中でも
ひときわ素敵な選択です。

代表理事_野上美希さんVol.01

一般社団法人キッズコンサルタント協会
代表理事 野上 美希

処遇改善IIの導入や短時間勤務の保育士の活躍促進により
キャリアの選択肢が増える

野上美希さん_1

保育士不足が国の大きな問題となる中、より働きやすい環境を整えるための改善政策が進められています。2017年4月から導入された「処遇改善等加算II」もその1つ。この改善により、2つの役職が新設されました。1つは管理職となる「副主任保育士」、もう1つは現場で専門性を深める「専門リーダー」です。ゆくゆくは園の運営などマネジメント方面に進みたい人は副主任保育士を、現場で保育のスペシャリストを目指す人は専門リーダーを選びます。

自分の将来の希望に合わせて、着実にキャリアアップする仕組みとなるでしょう。キャリアプランが見えやすくなるのと同時に、2つのポジションに相当する技能と経験を持つ保育士には月額4万円がお給料に上乗せされるという実用面のメリットもあり、透明性が高くて保育士自身が処遇改善を体感しやすい制度になっています。

また、2021年度には「新子育て安心プラン」が導入されました。政府は待機児童の解消に向けて保育の受け皿を整備する方針を打ち出し、「短時間勤務の保育士の活躍促進」も掲げています。
将来的に育児をしながら保育士として長く働いていきたいという方も活躍できる環境が整いつつあるので、よりキャリアプランが立てやすくなるでしょう。

「安い」「きつい」は昔の話
保育業界は変化している

自治体では国が定める最低人数から1人保育士が増える毎に補助金をつけるなど、保育の質を維持・向上させるための取り組みを行っています。さらにこの業界はどこも売り手市場ですから、各々の園でも労働力を確保するために給与や労働環境が見直されています。とくにここ数年はICT(情報技術)の進歩によりデスクワークの効率が上がり、残業ゼロが実現できるようになりました。社会全体で活発な働き方改革の流れは保育業界にも浸透しています。

かつてこの業界は給料が安い、残業が多い、仕事がきついというイメージで語られることが多かったのですが、それはもはや昔の話。私は人材広告企業で働いた経験から多くの業界・仕事を見てきましたが、今の保育業界は給与と労働条件のバランスが非常に良いと感じています。研修が充実しているのも特徴的ですね。企業、研修センター、自治体、協会、園などの主導で日々さまざまな研修が実施され、常に保育の最先端を学べる環境です。では保育業界ならではの働きがいについて、もう少しお話しましょう。

未来を担う“人”を育成
長く続けるほど専門家に

野上美希さん_2

学生の皆さんはもうご存知でしょうが、保育の仕事にルーティーンはありません。人相手ですから、同じ年齢の子どもたちでも個性は全く別ですし、同じ1人の子どもですら毎日の体調や感情によって反応が違います。マニュアル通りに進まないからこそ、経験値が物を言うのです。つまり長く続けてたくさんの子どもたちを担当すればするほど知識が深まり専門的になるわけで、自分の成長をダイレクトに実感しやすい職業と言えるでしょう。

子どもは先生の姿を映す鏡。現場を見ていて、年配の先生方が総じて若々しいのは子どもたちと高いエネルギーを共有しているからではないでしょうか。営業成績等を求められる質の仕事ではないので、他人と競うことなく自分の仕事に集中する働き方ができるのも、この業界独自の魅力ですね。何より、目の前で日々成長する子どもたちは、世界の未来を担っていく人間です。幼児教育はその後の人生に多大な影響を与えるもの。そこに携わる保育士ほど有意義でやりがいのある仕事は、他にないのではないでしょうか。

AIに代替されない将来性
誇りを持てる専門職

保育業界はいま、国と社会から必要とされ、業界全体が成長を続けています。10年後にAIにとって替わられない職業が話題になり、実際に縮小している業界も多い中、この将来性の高さと安定感は抜きん出ています。保育士はAIが代わりになることのできない職業だとされていますが、その理由は専門性の高さにあります。

子ども1人ひとりの成長をきめ細かく観察し、数カ月後にどのように個性を引き出して伸ばしていくか柔軟なカリキュラムを設定して実行していく業務は、AIはもちろん保護者にもできないこと。保育は決して子育ての延長ではありません。この専門性の高さが、社会や保護者が保育士に求める資質です。誇りを持って、これまで皆さんが授業や実習で学んできた知識を存分に活かしてください。

入学したときの夢を叶え
後悔しない道を選ぶ

資格を取っても保育の道には進まない──そういう選択があってもいいでしょう。ただその理由が「お給料が安そう」「きつそう」など「何となく」のイメージならばもったいないことです。0歳~5歳というもっとも成長する時期の子どもたちと共に四季を感じ、自分の内なる感性を活かして仕事をする。それは皆さんが最初に思い描いた夢ではないでしょうか。自分が成長できる職場であり、経験に応じて評価される環境も整っています。ぜひ資格を活かして後悔しない道を選んでいただきたいと思います。

PROFILE
野上美希さん_3

一般社団法人キッズコンサルタント協会
代表理事
野上 美希

大手シンクタンクにて、コンサルティング、採用、営業を経験後、人材会社にて人材紹介事業の立ち上げに従事。妊娠を機に、幼稚園の運営に携わる。成長著しい時期である0歳~9歳(シングルエイジ期)においての一貫した教育を提唱し、子育てひろばや学童保育、認可保育園を開設。現在では学童指導員の地位向上と学び合う場を作ることを目的に、一般社団法人キッズコンサルタント協会を設立し学童指導員の育成にも力を入れている。