日本経済新聞 連動特集 新卒採用広告特集 企業から学生へのメッセージ

就活を振り返って、24年卒学生座談会 「成長を選ぶ」意識磨け

持続可能な成長実現へ、企業はこぞって「人財」重視、社員のエンゲージメント向上を掲げる。だが、会社と共に自らも市場価値を上げていける仕事を、若者はどう選べばいいのだろう。取材を進める中で、2023年3月に発行した前回の新卒採用特集で紹介した3人の大学生が再び集まってくれた。希望業種へ就職を決めた3人が就活生のヒントになれば、と語り合い、強調したのは、会社に選ばれることより、自分が望む成長を考え「選ぶ」意識の大切さだった。

会社を「見定める」

自身の就活の〝勝因〟は何だったのでしょう?

新井:自分は番組を作りたい、という強い思いがあり、テレビ業界しか考えていませんでした。もちろん全国ネットのキー局も受けましたが、最終的に入社が決まった準キー局は自由に挑戦できるという点で理想に近い進路です。勝因を挙げるとすれば、自分の一番の長所を押し出せたことでしょうか。留学経験で培った国際性や、学生時代の動画作成など様々なチャレンジを通して、いくつも「引き出し」を持っていることをアピールしました。
野澤:勝因かどうか分かりませんが、どの面接も「担当者に笑顔で帰ってもらう」ことは常に意識しました。具体的なエピソードを求められた時などに相手がクスリと笑える話をする。笑ってもらえると自信も出て、堂々と臨めました。最後は第1志望の航空会社に就職が決まり、採点するなら、100点だったかな、と。
酒井:私は「一緒に働く人」というのが企業選びの基準の一つで、各社でどんな人が働いているのか興味がありました。採用面接にもこちらが企業や担当者一人ひとりを「見定める」つもりでいましたが、第1志望から内定が出て後悔のない就活でした。

これもやっておけばよかった、と思うことはありますか?

野澤:後悔しているのはOB・OG訪問です。志望する企業に知り合いがおらず、したくてもできませんでした。企業研究が不十分なまま面接が進み、内定をいただいたものの、仕事内容への理解が深まらず結局辞退しました。実際に働く社員の「本音」を聞き、解像度を上げるべきだったと思います。
酒井:やり残したことがあるとしたら、大手企業やスタートアップ企業などへの挑戦です。希望業種は人材系で「企業とともに自分も成長する」が就活軸の一つだったので、志望はメガベンチャーに絞っていました。でも様々な規模の企業をみておけば、比べて初めて気づく第1志望企業の良さもあったでしょうし、多様な面接の経験は自信にもなったはずだと思うんです。

最後は〝縁〟?

新井:基本的には満足いく就活で、やるべきことは最大限やったと思っているんですが(笑)、どの会社からも良い返事がもらえない時期が続いた時は、正直焦りました。あのままテレビ局への就職がかなわなければ、家族に心配もかけたくなかったので、他の業界を考えたくなったかもしれません。そう考えると、就職というのは、最後はやはり「運」もしくは「縁」なのかな、と思ったりもします。

就活軸や就きたい仕事が固まらず悩む就活生もいます。

酒井:これは私もやったのですが、自分の「好き」を動詞で考えてみるといいんじゃないでしょうか。「人が好き」ではなく、自分が好きなのは「人と話す」こと、というふうに。それをいくつも探していければ、自分の夢や強みがきっと見つかると思うんです。
新井:自己分析の質問リストを作って、それに一つひとつ答えてみるといいかもしれません。そういう質問項目は、雑誌やインターネットにたくさん載っています。頭の中が整理されて考えもまとまり、そのまま面接にも生かせるはずです。
野澤:私は飛行機に乗るのが好きで、その中から「安全・安心・快適なフライトはスタッフ全員がつくる」ものなのだと感じ、その仕事に就きたい、と思ったところから就活軸を固めました。でも金融系の面接で「あなたはうちでどんな仕事をしたい?」と聞かれ、詰まってしまった失敗も思い出します。「やりたい仕事」は3つくらい用意して、会社に応じて使い分ける作戦がいいですね(笑)。

焦らず、諦めず

インターンシップの運用も含め、2025年卒の就活は風景が変わりそうです。

野澤:就活はますますスピーディーで複雑になっていく気がしますが、就活生は自分のペースを大事にしてほしい。内定が出る時期は人や会社によって違いますから、焦っても仕方がありません。就活軸を固めたら、どっしり構えて面接に臨めばいいと思います。
酒井:同期の中には理想と現実の折り合いを早々につけて、進路に妥協した人もいましたが、私は少しでも納得できない選択はしない、ということはブレないようにしました。どうしてもやりたいことが見えなければ、大学院進学や留学の選択肢もあります。就活を始める人には、視野を狭めず興味あることはとことん経験し、自分らしい成長を選んで、と言いたいですね。
新井:私の経験ですが、業界を絞ると他の業界・業種も見たほうがいいのではと不安になる瞬間があると思います。ただ合否には、その日の面接担当者と自分の相性など偶然の要素が少なからず絡みます。だからこそ、自分で判断して選ぶ意識を磨けば結果につながると信じて、やりたいことが決まったらリスクヘッジを考えず突き進め、とメッセージを送りたいですね。

PROFILE

新井 龍さん

早稲田大学国際教養学部。
志望業界をテレビ局1本に絞り就活に取り組む。多くのインターンに参加し、準キー局に内定。

酒井 夏さん

法政大学経済学部。
IT系や人材系を志望。複数の企業から、より挑戦できる環境を選び人材系のメガベンチャーに内定。

野澤 真奈さん

早稲田大学政治経済学部。
航空やマスコミ、飲料など幅広く志望。企業を比較する中で、一番興味のあった航空に内定。

企画・制作=日本経済新聞社Nブランドスタジオ

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