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この地を!
この地から!な企業
バス=地域のインフラ

[トモテツグループ]

地域とともに114年。
インフラとまちの未来を担う。

「交通権」という言葉を聞いたことはありますか?これは、誰でも自由に移動できる権利のこと。ヨーロッパなどでは20世紀半ばにいち早く浸透し、最近は日本でも人権の一つとして尊重されるようになったと言います。地方都市など過疎化が進む地域では、公共交通機関の維持が難しく、この交通権が脅かされています。今回、「この地を!この地から!」のテーマでご紹介する企業は、1910年に広島県福山市鞆の浦で創業したトモテツグループです。始まりは鉄道会社として。現在はバス事業をはじめ様々な事業を展開するトモテツグループの中核会社である鞆鉄道株式会社・常務取締役井上さんにお話を伺いました。

お話を聞いた人

常務取締役 井上雅弘
常務取締役
井上雅弘

広島県出身。新卒で広島銀行に入行し、2009年鞆鉄道株式会社へ出向。総務部長を務め、2013年鞆鉄道株式会社へ転籍、常務取締役に就任。現在は総務・人事を中心に、DX推進にも積極的に取り組んでいる。

INDEX

安心・安全・利便性が最優先。地域住民にとことん寄り添う路線バス。

現在6つのグループ会社からなるトモテツグループ。その中核が、バス事業を展開する鞆鉄道株式会社です。路線バスを運営する旅客運送事業部と貸切バスや観光バス、送迎バスを運営する貸切事業部で構成されています。「路線バスは現在12路線39系統あります。さらに高速バスが3路線4系統。1日に稼働するバスの運行本数は140〜150本です」と井上さん。地域に寄り添う事業の実態について伺うと「もともと市営バスが運行していた路線を、廃止になるタイミングで引き継いだことも。地域のインフラとして、役に立ちたいという思いで取り組んでいます」

※系統は、同じ路線の中で、起点、経由地、終点が異なるバスのこと。

広島県 トモテツがカバーしている地域
「路線バスは住民のみなさまの安全・安心と、利便性を最優先に考えています。半年に1度、運行計画を見直しますが、その際は路線の利用状況のほか、地域のみなさまの意見も参考に、鉄道、航空、船の運行時間、官公庁及び主要な病院、教育機関の始業・終業時間に合わせてダイヤを組み立てています。高校など学校の時間割は日によって異なりますし、試験の時には臨時便を出すことも。町の様々な状況に合わせて、バスを運行しています」と井上さん。なんと、地元の高校の時間割までチェックしているとは!地域への密着度がすごい。
ただ、地域のインフラとしての使命感はありつつも、ジレンマもあるそうです。「利用者が少ない路線は、身を削っているんです」と井上さん。加えて「2024年からバスやタクシー、トラック業界で働き方が大きく変わりました。労働時間の短縮、さらに人員不足への備えも考えると、運行計画の効率化も必要です。また弊社では希望する事務職の方に補助金を出して、バスの運転免許の取得をサポートする取り組みも行っています」

いつまでも人が住み続けられるように。地域のニーズに応えてきた。

“身を削っている”とはつまり赤字経営ということ。民間企業にはあまりにも大きな負担では?と質問したところ、「田舎のバスですからね。路線バスはうちしかない、なんとかしなくちゃという思いです。でも、もちろん経営がありますから、赤字に甘んじているわけではないんです。利益を出せる取り組みも考えています。その一つが送迎バスです」と井上さん。大学のスクールバスをはじめ、幼稚園などの送迎業務を受託し、送迎代行を行っていると言います。「契約は50〜60件ほど。送迎バスのおかげで路線バスが賄えている状況です」と教えてくれました。
やはり、路線バスの維持というのは本当に大変なんだと認識しました。しかし、なぜそこまで?と質問したところ「廃止にするということはその地域の方の交通手段がなくなるということ。地方は高齢化が進みます。昨今、高齢者の自動車事故が増え、運転免許証の自主返納を促す世論も高まっています。駅からも遠く、バスもない、免許もないでは、その地域に人が住めなくなり、やがてまち自体が失われてしまう。我々が114年この地とともに歩んでこられたのは、地域のみなさまの声に耳を傾け一緒にやってきたからこそ。これからも変わらず、最も大切にしなければならないのは、地域への思いです」

新規事業は、地域のためになるかどうかで考える。

バス事業以外にも、複数の事業を展開するトモテツグループ。その一つにフードサービスがあります。大学の学食運営です。コストを抑えて提供しなければならない学食は、路線バスと同様に経営が難しく、担い手が少ないと聞きます。「新しい事業を始める際は、地域のためになるかを考えます。学食を通じ、学生さんに身近な企業として感じてほしい思いもあります。この他、まちづくりや観光も、地域のみなさまと一緒に取り組んでいます」

2018年日本遺産に認定。鞆の浦を観光資源に地域を活性化。

鞆鉄道の創業の地でもある鞆の浦は、数多くの映画やテレビドラマのロケ地に選ばれるとても美しい地域だそう。2017年には伝統的建造物群保存地区に指定され、翌年には日本遺産に認定。観光資源に恵まれますが、集客にはなかなか結びつかないと言います。「現在、福山観光コンベンション協会と一緒に、観光に力を入れています。鞆鉄道が所有する1958年式のボンネットバスが、福山駅から鞆の浦を周遊する、定期観光バスとして現役で活躍しています。観光で外から人を呼び込み経済活動を活性化することで、地域はもっと元気になる。そう信じて、これからも鞆の浦のために、地域の方を巻き込み盛り上げていく。この地とともにある我々が、やらなきゃいけない使命だと思っています」

マイナビ編集部の声

地方のバス会社だと思ってお話を伺ったら、まったくの誤解だと気づかされました。路線バスはもちろんのこと、送迎バスも学食も観光業もすべて「地域のために」という思いが根底にありました。地域への愛があふれるトモテツグループ。「地域が発展して初めて会社も発展する」そう話してくれました。

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