たくさんの新商品は、消費者ニーズに応えるため! ロングセラーの定番商品から、期間限定の新商品まで。菓子パンや惣菜パンだけでなく、和菓子やチルドの洋菓子、クリスマスケーキなど、バリエーション豊かな“おいしさ”を届けている山崎製パン。なんと新商品数は、年間4,000点を超えるのだとか! そんな新商品開発の起点になっているのは“消費者ニーズ”だと越智さんが話します。 「これだけの商品を新発売しているのも、あらゆる消費者の方々に、飽きずに満足いただき続けるため。ただ、消費者の生活や嗜好は、社会の状況によってめまぐるしく変化します。そんな市場の変化をいち早く掴み、新商品のコンセプトに落とし込んでいくのが、私の仕事です」 最近では、リモートワークの定着や物価高の影響を受け、「できるだけコスパよく手軽に満足したい」というニーズが急増。実際に、1つで食事が完結する惣菜パンの需要が伸びており、こうした根拠をもとに新商品開発は行われているそうです。
おいしいのは、当たり前!満足感のあるパンを、お買い求めやすく。 とはいえ、年間4,000点となると、毎週60~70もの新商品が発売されていることになります。それって可能なのでしょうか…!? パンの新商品開発に携わる川土居さんは、「毎週新商品が出るので、いくつものパンを同時並行で進めています。ずっと走り続けている感じ。おかげで、仕事に飽きることはないですね(笑)」と、さすがの回答です。 しかも驚きなのが、それだけ新商品を発売しても、1年後に残っている商品はわずか1%程度だということ。多くの商品は、2〜3ヶ月間の販売を想定して開発しているそうです。「2021年には、トレンドをいち早く取り入れて『マリトッツォ』を発売したり、2024年には、おやつ需要を取り込むためにボリュームたっぷりの『極生ドーナツ』を発売したり。その時々の消費者ニーズに応え続けるためにも、スピード感が欠かせないんです」と川土居さん。 また、「当社では“良品廉価”を大切にしています。おいしくて、食べ応えのあるものをお買い求めやすく提供し、『このボリュームでこの値段ならお得だね』って思ってもらえるのが目標です。今の時代、おいしいのは当たり前ですからね」と教えてくれました。
大人気シリーズから、新たな定番商品を! めまぐるしい商品開発の現場。そんな中にも、「この商品は売り続ける!」という方針のもと開発される商品もあるようです。その一つが、2024年1月に新発売された『薄皮たまごぱん』。開発の背景を、越智さんが振り返ります。 「これまで『薄皮シリーズ』は、つぶあんやクリームなどの甘いものが多く、おやつとして食べられていました。そこに、昨今の惣菜パン需要を取り込めないかと考えたのです。2023年に『薄皮ハンバーグ&ケチャップパン』を発売してみたところすごく好評で、“絶対に売れる”という確信のもと、商品開発がスタートしました」 その開発に携わったのが、川土居さんです。「毎日食べるものだからこそ、飽きが来ないものを。そう考え、たまごを具に選びました。『ランチパック』の実績から、間違いないと思ったんです」と力強く話します。でも、すでにいろんな種類を展開している『薄皮シリーズ』なら、具材を変えるだけなのかな…? なんて思っていると、こう続けます。 「『ランチパック』は具を挟むだけですが、『薄皮シリーズ』は具を入れて焼き上げなければなりません。とくに、たまごは焼くと水分が蒸発してしまい、食感が損なわれたり量が減ってしまったりするので、最適な塩梅を見つけるのに苦労しました」。しかも、このシリーズの売りはなんと言っても、ずっしり具が詰まっていること。満足感のある食べ応えになるまで、何度も試食し、調整したそうです。その結果、発売から7ヶ月間で1200万パックという大ヒットを達成! お二人も誇らしそうです。
たくさんの人に愛される商品を、これからも。 トレンドをおさえた商品から、長く愛される定番商品まで。さまざまな商品を生み出す山崎製パン。商品開発に携わるやりがいを聞いてみました。 「新商品が出るたびにSNSをチェックしますが、『こういうのを待っていた!』という投稿を見つけると、すごくうれしいですね。当社では、本社だけでなく工場でも商品を開発しているため、商品開発に携わるチャンスが多いのも当社の魅力だと思います」と越智さん。川土居さんは、「全国の売り場に並んで、たくさんの方に食べてもらえるのももちろんやりがいですが、家族や友人から聞く『おいしい』がいちばん。家に帰って食卓に当社のパンが置いてあるとうれしいし、暮らしに根付いているんだなって実感しますね」と笑顔を見せます。たくさんの新商品が、日本中の人々の笑顔につながっていく。そんなやりがいと手応えを感じられる仕事のようです。