就職活動で
障害者手帳は使う? 使わない?
徹底解説
就職活動で障害者手帳を使うか、使わないか。
これは、障がいのある学生のほとんどが一度は考えたことがある問題で、誰にとっても簡単な選択ではありません。手帳を使う/使わないで、応募できる求人や採用の仕組みが異なるためです。
しかし、大切なのはどちらを選んでも“自分に合った環境で働く”という目的は同じだということ。
ここでは、手帳を「使う場合」「使わない場合」それぞれのポイントを見ていきましょう。
手帳を使って就職活動を行うときのポイント
手帳を使うことで得られること
障がい者雇用とは、障がいのある方が社会で暮らし、活躍できるように、企業が障がい者を採用する制度のこと。企業には一定数の障がい者を雇わなくてはいけない(全社員の2.5%:2025年時点)というルールがあります。そのため、就職して企業で活躍したいと考えている障がいのある学生にとっては、制度が整ってきている状況とも言えます。
障がい者コースでエントリーし入社が決まれば、自分の障がいや病気などに対する配慮を求めることができます。
例えば、通院や入院などが必要なときに休みや遅刻・早退を取得できる、仕事を進めるうえで必要なツールや機器を準備してもらえるといった、それぞれの障がいに合わせた働きやすい職場環境を企業側が提供してくれます。(合理的配慮と言います)
職場の上司や先輩社員も、障がいのある方が配属されることを事前に把握しているので、相談しやすい雰囲気を作ってもらえるなど、柔軟な対応をしてくれることが多いです。
また、近年は事務職・軽作業だけでなく、営業・企画・IT・デザインなど専門性を活かすポジションも少しずつ増えています。「手帳=限られた仕事」というイメージは、一歩ずつですが変化しつつあります。
チェックポイント
- 自分の障がいや病気などに対して、入社前も入社後も相談の上、配慮を求めることができる
- 近年は、職種の幅も広がっている
手帳を使うことで考慮したいこと
障害者手帳を利用して就職活動を行う場合には、いくつか考慮しておきたい点もあります。
障がい者採用コースでは、まだまだ職種の選択や職位の上昇が限定されている場合が多い傾向にあり、企業によって対応は様々です。そのため、総合職など幅広い働き方を希望する場合は、少し探す努力が必要になるでしょう。
また、障がい者コースそのものを設けていない企業も少なくありません。その中でも挑戦できる会社はもちろんありますが、企業ごとの対応方針を確認するなど、事前のリサーチが大切です。「自分から確かめていく」「お願いしていく」ことが求められる分、心理的なハードルを感じることもあるかもしれません。
さらに、企業によっては、契約社員としてスタートし、一定期間を経て正社員登用を検討する場合もあります。これは「お互いに働き方の相性を確認する期間」として設けられることが多く、給与や待遇が一時的に異なることもあります。ただ、その期間を通じて自分の強みを発揮できれば、安定して働ける環境につながっていく可能性があります。
チェックポイント
- 企業によって差があるため、希望や相性を確認しよう
- そもそも障がい者採用コースがない企業もある。自分から相談する姿勢が必要
- 契約社員スタートなど、入社形態に段階があるケースもある
手帳を使わずに就職活動を行うときのポイント
手帳を使わないことで得られること
障害者手帳を使わずに就職活動を行う場合、すべての求人にエントリーできます。一般コースを利用することで、周囲の同級生と同じ流れで就職活動を進めることができ、興味のある企業や職種に自由に挑戦しやすくなります。
一般コースでは、人物やスキル・意欲を重視するケースがほとんどです。そうした場面では、これまで積み重ねてきた経験や得意なことを、より等身大の形で伝えることができるでしょう。自分の力でチャンスをつかむ過程そのものが、自信につながるという魅力もあります。
一方で、手帳を使わない就職活動でも、必要なときに支援や相談を受けることはもちろん可能です。大学のキャリアセンターや公的機関など、手帳の有無にかかわらず利用できるサポートも多くあります。「使わない」という選択は、サポートを拒むことではなく、自分のタイミングで必要な助けを取り入れる選択肢でもあります。
チェックポイント
- チャレンジしたい仕事に挑戦できる
- 等身大の自分を評価してもらいやすい
- 手帳を使わなくても、支援や相談は受けられる
手帳を使わないことで考慮したいこと
障害者手帳を使わず就職活動する場合には、いくつか考慮したい点があります。
説明会や面接の場面では、障がいに関する配慮をその場でお願いすることが難しい場合もあり、入社後も自分から主体的に働きやすい環境づくりを相談していく必要が出てきます。障がい者コースでの入社であれば、障がいに対する配慮は企業側の必須項目として制度化されていますが、一般コースでの入社となると、それぞれの企業の判断に委ねられます。その結果、「配慮の申し出がしづらい」「障がいを伝えられずに一人で抱え込みやすい」といった状況・心境になることもあるかもしれません。
しかし、配慮を求めること自体は、どんな採用経路でも可能です。勇気がいることかもしれませんが、そのときは一人で悩まず、大学のキャリアセンターや就労支援機関、家族など、信頼できる人に相談してみてください。入社後も周囲の協力を得ながら調整していくことで、安心して働ける環境を整えられるはずです。
「手帳を使わない」選択をしても、サポートを受けることはいつでもできます。あなたの働きやすさを支える道は、いくつも用意されています。
チェックポイント
- 一般コースでは配慮は企業判断
- 選考中から自ら働きやすい環境づくりを相談する必要がある
- 困ったときは、キャリアセンターや支援機関に相談を
体験エピソード
手帳を使って就職活動
高校在学中に発達障がい(ADHD)があることが分かったSさん。
「大学の講義の選択やスケジュール管理などに苦労した経験から、就職活動に困難さが発生するだろうと予測。社会人になるともっと大変になるかもしれないと思い、障がい者採用コースでの入社を決意し、就職活動に取り組みました。
企業の面接官から、同じような障がいがありながらも働く障がいのある社員の先輩エピソードや職場での配慮などを聞き、就職活動を進めながら、自分の障がい理解も深まりました。第1志望の企業から内定が取れなかったものの、入社した企業では自分から必要な配慮項目を伝え、企業側も準備してくれています。
発達障がいは一瞬では障がい者かどうか伝わらないので、障がい者採用コースで就職活動をすると決めて良かったと感じています」
手帳を利用せずに就職活動
生まれつき股関節に障がいがあるFさん。
「先天性股関節脱臼という障がいがあるが、日常生活で特別な配慮が必要というわけではなく、また、周囲にも同じ症例でありながら、障がい者手帳を持っている人、持っていない人がいるため、障がい者雇用を意識することなく、就職活動を進めました。
一般採用コースでの就職活動、そして入社のため、通院の必要がある場合は有給休暇を取ることで対応。周囲には障がいといわず、生まれつきのケガのようなものと伝え、認知してもらっています。重たいものは持たなくていいよといった声かけを自然にいただいているので、現状、職場に不満などはありません」
途中から手帳を利用して就職活動
生まれつき心臓に障がいがあり、ペースメーカーを入れているFさん。
「フットサルサークルに所属し、週4で塾講師のアルバイトをするなど、アクティブな性格のため、一目見たかぎりでは、障がい者には見えないと思います。ただ、年に数回の通院の必要があり、数年に1回ペースメーカーの取り替え等の手術入院をしなくてはならないという配慮が必要でした。
就職活動の開始時は、障がい者雇用の存在を知らず、一般採用コースでの就職活動を進めましたが、たまたま大学のキャリアセンターで就職活動相談会が実施された際、自身の心臓のことを話すと、障がい者雇用でエントリーすることを薦められました。
それ以降は、障がい者雇用でのエントリーと一般採用コースでのエントリーを併願し、雇用体系や仕事内容が自分に合っているほうの選考フローを進みました。一般採用コースでは、面接が進むにつれて、自身の障がいのことを話すという自分なりのやり方を確立しています。最終的には、障がい者採用コースでエントリーした企業に入社したが、一般採用コースでの待遇、仕事内容と同じ条件で仕事しています」
まとめ
ここまで、障害者手帳を使う場合・使わない場合それぞれのポイントを整理してきました。どちらの選択にも良さがあり、同時に考慮しておきたい点があります。
大切なのは、どちらが正しいかではなく、あなたが安心して力を発揮できる働き方を選べるかどうかです。就職活動は、自分自身の特性・希望・働き方を改めて見つめるチャンスでもあります。どの選択であっても、迷いながら考えるプロセスそのものが、社会に出たあと必ず役に立ちます。
あなたが選んだ道の先に、「ここで働けてよかった」と思える出会いがあるよう心から応援しています!




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