日本経済新聞 連動特集 新卒採用広告特集 企業から学生へのメッセージ

「問い」から見つけるジブン軸 就活Q&A 「私ってどんな人?」 周囲に聞く

就職活動を控えた学生の多くは、自分が何者であるのかを改めて問い、どのような人生を歩みたいのかを考える。ただ、限られた時間で「正解のようなもの」を手にするのは難しい。だからこそ悩む。「得意なことを極めたほうがいいのか。好きなことを追い求めるべきなのか」「就職を前提にしているが研究もあきらめきれない」―。企業の人事・採用に詳しい人材研究所(東京・港)の曽和利光社長は、学生の声に耳を傾けつつ、様々な方策を提案する。まずは周囲の人に「私ってどんな人」と聞くこと。思い込みを捨てれば、客観的で等身大な自分の軸が見えてくる。

PROFILE

人材研究所 社長

曽和 利光

企業人事部へのコンサルティングを手がける。その知見を生かし、新卒・中途採用の就職活動者に向けた情報を発信。

経営学部

櫻井 陽葵さん

文系学部で会計やマーケティングを専攻している一方、研究職に興味があり進路を迷っている大学2年生。文系領域で研究視点を持つコンサル職を視野に入れる。

創造理工学部

安部 慶大さん

エネルギー、インフラ系を専攻していることもあり、商社や建設、ゼネコン業界への就職を検討中。現在大学1年生で、大学院へ進学するか悩んでいる。

文化構想学部

江頭 由奈さん

大学2年生。入学時には出版、広告代理店に興味があったが、「知るカフェ」スタッフとして採用に携わるうちに、人事の仕事にも関心を寄せる。

江頭さん
Q1:やりたいことを見つけるためには自己分析が大切ですよね。 何かコツはありますか?

曽和:まずは家族や友人、先輩、キャリアセンターの職員など身近な人に「私ってどんな人?」と尋ねてみてください。自己分析については、部屋で一人ノートに向かい、ひたすら自分のことを書き出すイメージがあるかもしれません。ただ、一人で考えていると徐々に思い込みが強くなり、自分の認識と他人から見える姿にズレが生まれやすくなります。客観的な意見に耳を傾け、自分の本当の姿を受け止めていくことが大切です。

江頭:私は友人にどう思われているかを直接聞きたい派なので、もっと尋ねてみようと思いました。他人から見た姿を理解していると面接でも有利に働くのでしょうか。

曽和:「自己認知ができているか」は評価基準の一つとなっています。例えば、自分ではリーダーシップがあると思っていても、周囲がそう見ていなければ客観性に欠けると判断されてしまいますし、自己認知がズレていると改善や成長も難しくなります。

面接などでつい話を盛ってしまいたくなる気持ちは分かります。しかし、面接官が見た人柄や適性検査の結果と、語る内容が一致しなければ「自己認知ができていない」と評価されて採用を見送られる場合もあります。他人から見た自分をしっかり理解できていれば等身大の自分をアピールできますよ。

櫻井さん
Q2:「得意分野・今の専攻」と「やりたいこと」が違います。
どちらを優先して就活に臨めばいいでしょうか?

曽和:内定の得やすさで考えるなら「得意なこと・できること」を軸にするといいでしょう。企業は入社後に活躍できる人材かどうかを基準に採用を行っているため、学生時代から培ってきた得意分野をアピールしたほうが選考に通りやすいのは事実です。

「やりたいことを仕事にしたほうがいいのでは」と思う人もいるでしょう。しかし、迷っている時点で、自分の中での優先順位はそれほど高くないともいえます。本当にやりたいことなのか。それが自分の軸になり得るのか。立ち止まって自問自答してみてもいいと思います。

櫻井:大学の学部は経営系を選びました。自分でも向いていると思っています。ただ、就活で様々な情報に触れるうちに理系分野にも興味が湧いてきて……。

曽和:自己分析の過程で何がやりたいのか分からなくなっても問題ありません。実のところ、やりたいことが明確でない学生のほうが多いです。社会人になってから見つけたり気づいたりして、転職によって実現している人もいます。異業種・異職種への転職経験者が半数以上というデータもあります。新卒で入社し定年まで勤め上げる時代から、ライフステージや成長に応じて働き方を自由に変えていく時代に変わりつつある今、どのような現場でも通用する「ポータブルスキル」を身につけておくと選択肢もより広がるでしょう。

安部さん
Q3:大学院への進学と就職のどちらも視野に入れています。どのように進路を決めていけばいいですか?

曽和:まずは大学院に進まないとできない仕事を調べてみてください。学部卒で研究職に就ける企業もありますし、研究・開発系を志望しているなら修士号が必須の場合もあります。研究室で新しい技術や素材を生み出すような仕事ではなく、現場に出て交渉したり既存の技術を活用したりといった実務に携わりたいのであれば、必ずしも研究職にこだわる必要はありません。自分が「理論をコツコツと研究したいタイプ」なのか。それとも「現場で動きながら考えたいタイプ」なのか。どちらにより近いのかを基準にして考えると進路の方向性が見えやすくなります。

安部:大学院に進んだ場合、給与や経験で後れを取ってしまう可能性はありませんか?

曽和:社会に出るのが遅れることに不安もあると思います。ただ、院卒の初任給を高く設定している企業もあり、大学院でしか積めない研究経験や人脈もあります。特に理系は院卒のほうが将来の選択肢が広がるという点で「つぶしがきく」ともいえます。迷っているのであれば、進学する前提で準備を進め、見極めていくのがいいでしょう。

櫻井さん
Q4:就活を終えた先輩の話を聞くたびに、当初思い描いていた自分の軸が変わってしまっている気がします。どうすればいいでしょうか?

曽和:自分の軸が変わっていくのは自然なことです。むしろ、いろいろな人の体験談を聞いて自分の志望や価値観を納得感のある軸に更新していくのは良いプロセスといえます。就活開始前に第1志望と決めていた企業に就職する人は少数です。例えるならば「中学生時代の恋人と結婚する人はあまりいない」でしょうか。自己分析や企業研究を重ね、先輩や社会人の話を聞いていく中で、自分に合った選択肢を見つけていくのが一般的といえます。

櫻井:考え方をアップデートしてもいいと知って安心しました。先輩たちの話はどの程度、参考にしたらいいでしょうか?

曽和:先輩の話はあくまでも一例ですからマネする必要はありません。就活成功の秘訣として語られる内容は、その人にしか当てはまらないケースも多く、自身の性格や志望企業によっては逆効果になる可能性もあります。

例えば「面接では誰よりも大きな声で自己紹介するといい」とアドバイスしている先輩学生も見かけますが、採用側からすると重視していないケースが多いのです。採用基準や面接対策で参考になる情報を知りたいなら、志望企業で働く人や採用担当者に話を聞くのがお勧めです。

安部さん
Q5:年収や働き方など企業選びの軸はいくつかあると思います。
学生が見落としがちなポイントがあれば教えてください。

曽和:企業選びに正解はありません。年収や勤務地、働き方など、どんな基準で選んでもいいのですが、注意したいのは「思い込みの軸」で決めてしまうことです。例えば「新しいことにチャレンジできる環境」を一番大事な軸と定めて就職先を決めたにもかかわらず、いざ働いてみると福利厚生や一緒に働く人の顔ぶれが重要だったと気づき、短期間で退職してしまうケースは少なくありません。

安部:やりたいことができる企業を探しているけど、本音では年収が大事っていう人もいますよね。それも間違いではないのでしょうか。

曽和:自分が大切にしている軸が「根っこから生えている軸」であれば問題ありません。見極めるためには「きっかけ」「意見」「行動」の3つがそろっているかを振り返るといいでしょう。本当に大事にしている基準なら、そう思うようになった「きっかけ」があるはず。もちろん基準について自分なりの「意見」を持ち、意見に基づいた何かしらの「行動」を起こしていると思います。この3つに答えがあるなら、自分の軸は確かなものだといえます。

うまく説明できないのであれば、他人の受け売りや一般論から何となく取り入れているだけかもしれません。自分が大切にしていることを一度じっくり見直してみてください。

江頭さん
Q6:企業は「採用する人・しない人」を判断するときに、何か明確な評価基準を設けているのでしょうか。

曽和:企業ごとに求める人物像は異なりますが、共通しているのは「自社で働いて成果を出すイメージができるか」という点です。

エントリーシート(ES)や面接で大事なのは端的に伝えることだと思い込んでいる学生もいますが、採用側が聞きたいのはきれいにまとまった言葉ではなく「どこで・何を・どう工夫したか」といった具体的な行動や思考のプロセスです。学生が話すエピソードから、入社後の業務でも同じように取り組んでくれるかどうかを判断します。つまり学びの姿勢や行動力、自己認知の的確さなどから「伸びしろ」を見ているわけで、優秀な成績や希少な経験があっても入社後のパフォーマンスが測れないと判断されれば、不採用になる可能性があるということです。

江頭:私はアルバイト先で採用にも関わっています。具体的なエピソードから人柄を知るというのは採用側として参考になります。

曽和:採用側の視点に立つと、就活で求められることも想像しやすくなりますね。例えば「相手の声に耳を傾け」「相手に寄り添って」など比喩的な言い回しをする学生も多いのですが、これでは実際に何をしてきたのか面接官もイメージしにくいはず。就活ではできるだけ具体的に、自分が取った行動や工夫の詳細を説明するよう心掛けてみてください。

「知るカフェ」で行われた今回の座談会は、様々な大学・学部から1・2年生に集まってもらった。学生からの熱のこもった質問に曽和氏は親身に答えていた。

今回の会場

知るカフェ 慶応義塾大学前店

大学1年生から院生まで、無料で利用できるカフェスペース。企業の担当者と学生が直接交流できる「Meetup」を定期的に開催。知らない業界や、興味がなかった企業に気づき、選択肢を広げるきっかけとして活用されている。大学内店舗を含め、全国に20店舗を展開。

〒108-0073
東京都港区三田3-1-5第一奈半利川ビル 2F
tel. 03-5439-4456

企画・制作=日本経済新聞社Nブランドスタジオ

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