インターンシップ選考内容から学ぶ、
一歩進んだ就活準備の進め方 ~後編~
自己分析が必要となる、ちょっと難しい質問に対する準備も始めよう
多くの企業がインターンシップ&仕事体験へのエントリー受付を開始しています。自己分析が必要な項目も多数あり、「意気込んでエントリー画面にアクセスしたものの、どう回答すれば良いの?」という状況に陥りがちです。今からしっかり準備を進め、インターンシップ合説で気になる企業を見つけたら、その日のうちにエントリーをスラスラと完了できるくらいになれば安心です。
それでは、どのような質問があるかを見ていきましょう。
事例12
変革を求め何かをやり遂げた経験と、そのプロセスを教えてください。
- ワンポイントアドバイス
- この質問のキーワードは「変革」です。意味はイメージできるかもしれませんが、まず正確な意味をネット検索などで確認しましょう。すると、「変革とは、改革・変わって新しいものになること」とあり、こうした説明を読むことで、たとえば「引っ込み思案な自分を変えるために挑戦した接客のアルバイトをとおして新たな自分に成長できたこと」などのネタが頭に浮かびやすくなります。
事例13
あなたらしさは何ですか。それがあらわされているエピソードについて教えてください。
あなたの自分ならではを、具体的なエピソードをまじえて教えて下さい。
- ワンポイントアドバイス
- どちらも言い回しは違っても同じことを問われています。自分の長所や特徴を自己分析しましょう。また、エピソードが問われているのも共通点です。友人に「自分の長所は●●だと思っているのだけど、どうかな? あっている場合は、どのような場面で発揮していたか、記憶の残っているものがあれば教えて」と質問してみましょう(他己分析と言います)。
事例14
学生時代にあなたが下した決断の中で、いま振り返っても正しいと思える決断を一つ、またその理由を含め具体的に記述して下さい。
- ワンポイントアドバイス
- 部活を辞めて受験に専念するか、合格した大学を選ぶか、浪人して目標の大学に再挑戦するか、どの学部に進学するか、資格取得の挑戦を続けるか、どちらのサークル・アルバイトを選ぶか、大学院に進学するかなど、選択してきたことは数多くあるはずです。その中で、現在の自分の成長にもっとも影響を及ぼしたと思える選択をとりあげてみましょう。
事例15
あなたの信念を教えてください。(30文字以下)
やりがいを感じる時はどのような時ですか。(30文字以下)
ストレスを感じるのはどのような時ですか。(30文字以下)
- ワンポイントアドバイス
- このように短文回答の質問を10問前後設定している企業もあります。この文字数では、エピソードを詳しく紹介するのは無理ですので、結論を記入しましょう。この例の中では、「信念」が少し難しいかもしれません。たとえば、「山はこれ以上大きくならないが、私はいくらでも成長できる」など、ネットで座右の銘を検索し、その中で自分にぴったりのものを見つけて回答するのも一つの方法です。
事例16
チームで成果を出すために、どのようにチームにかかわりますか。
- ワンポイントアドバイス
- この会社は、チーム活動経験を重視しているからこそ、この質問を設定したのでしょう。会社の質問から、求める人材像を想定することもできます。
事例17
意思決定を行う際に、気を付けていることは何ですか。
- ワンポイントアドバイス
- 多くの企業が人材に、チーム活動経験を有していることを求めています。そこで、個人とチーム活動のどちらも題材にできる場合は、「チーム活動経験」をもとに回答しましょう。
- 回答例
- チーム活動の意思決定までのプロセスでは意見や持論を積極的に発言すること、多数決で決定したチーム方針には、自分の考えと違っていても不満をもたないように気をつけています。
事例18
今までの人生で感じた最大の葛藤は何ですか。
- ワンポイントアドバイス
- まず葛藤の意味を調べましょう。「心の中にある相反する二つの気持ちの、どちらをとるかで迷うこと」などの説明を読むと、これまでの経験の中での葛藤を思い出しやすくなります。「先輩にも友人にも恵まれたサークルをあえて辞めて、将来のためにインターンに挑戦するか」と葛藤することになる人もいるかもしれませんね。
事例19
学生時代にあなたが行った最大の挑戦に関して、以下4つの要素を交えながら具体的に記述して下さい。(400文字以内)
1.挑戦した理由 2.何を心掛けて行動したか
3.どのような結果を出したか 4.挑戦から得た学び
- ワンポイントアドバイス
- 挑戦には目標が伴いますので、まずは大学合格時から現在までに学業や課外活動で設定した目標をリストアップしてみましょう。成績やアルバイトの業務に関連することやサークル全体での目標など、大小、複数の目標を設定してきたはず。どの目標を題材にするかが選択できれば、あとは「理由、心掛けたこと、結果、学び」と順番につなぎ合わせれば回答ができあがります。
事例20
将来果たしたい使命は何ですか。
- ワンポイントアドバイス
- 「将来…」を「仕事をとおして果たしたい使命」と読み替え、応募する会社の事業に関連した回答を作成しましょう。
- 回答例
- 私が将来果たしたい使命は、人類最大の課題である食料問題の悪化に少しでも歯止めをかけることです。
地球の砂漠化が温暖化で進んでいることを授業で学んだことをきっかけに、自分なりに調べてみました。
①その結果、環境省のWebサイトから、すでに世界の陸地の4割以上が乾燥地であることを知り、その延長線上で食糧危機についても関心をもちました。
②国連の人道支援機関のレポートによれば、紛争や気候危機で肥料や燃料価格が高騰した結果、活動費が膨らみ食料支援が追い付かず急性食料不安の人びとが増え続けているとのことです。
貴社の4つの重点成長分野の一つに、「農業・畜水産の生産性向上と安定供給への取り組み」があります。この点について理解を深めたいと考え、貴社のインターンシップに応募しています。
例文の赤文字部分は、それぞれ
①環境省「砂漠化する地球」
②国連WFP「世界的な食糧危機」
から一部引用しています。
使命に関連することを学習すれば、以下の回答例のように使える情報を得ることができます。
企業が選んだ質問項目から求める人材像を知り、今日からの学生生活で意識しよう
前編、後編にわたって20の質問例を紹介してきました。これらの質問を知ることでできることは回答準備以外にもあります。まず、基本的な質問に接し、
- ・バランスの良い学業と課外活動を重視
- ・興味や経験、スキルと応募する企業の仕事との一致を重視
- ・語学やITスキルを重視
する企業があることを理解いただけたことでしょう。
加えて、
- ・使命をもつ
- ・信念がある
- ・変革への挑戦姿勢がある
- ・決断力や意思決定力がある
- ・チームで成果を目指すという経験があり、チーム内での自分のポジションの明確化ができている
などを求めている企業があることも知っていただけたでしょう。
これらを知ることで、企業が求める人材像に近づくために今後の生活にどのように取り組むかの目標を設定できたと思います。
インターンシップは成長の材料。これから半年間、成長ギアをあげよう
インターンシップは参加することで完結するものではなく、就職活動や卒業後に取り組む仕事という未来につなげてこそのものです。インターンシップを、ギアをあげて成長を加速させるスタート地点としましょう。人は半年もあれば大きく成長できます!
周りの先生や先輩から、先にあげたような「難しい質問」について助言をもらうことで、自分自身を深堀してみてください。また、サークル活動で部員の意見の対立で葛藤したり、アルバイトの接客を通して使命感について考えたり、授業の教え方の違いから気づきを得たりなど、日常のなかにもスキルアップと気づきの種があるものです。
ぜひ、チャレンジと学習に満ちた日々を送っていきましょう。