インターンシップ選考内容から学ぶ、
一歩進んだ就活準備の進め方 ~前編~

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文:岡茂信
準備は、エントリーで回答しなければならない基本項目の理解から始めよう
インターンシップ&キャリアプログラムに参加するためには、エントリー(オンライン経由での申し込み)が必要です。エントリー画面には複数の質問が用意されているので、それぞれに回答していきます。インターンシップには選考が伴うものもあり、その場合はエントリーで回答する内容が第一次の審査資料となるため、準備は重要です。
質問は、主に「志望動機 / 学業紹介 / 自己紹介」の3つで構成されています。以下に、大企業、外資系企業がエントリーで実際に使用している質問と、回答のためのワンポイントアドバイスをご用意しました。これらを参考に今からしっかり準備し、良いスタートを切りましょう。


「志望動機」に関する質問
難関企業になるほど、志望動機を充実させることが大切です。どの会社にも使いまわしがきくような抽象的な内容のものではなく、応募したい会社の事業について学習し、説得力のある回答を準備するようにしましょう。
事例1
志望される職種を選択してください。
1:技術系、2:営業・企画系、3:スタッフ系、4:未定
- ワンポイントアドバイス
- インターンシップに臨むにあたっては、就きたい職種を自分なりに明確化しておく必要があります。この会社の場合、「未定の方」を対象とした「4」の選択肢を設けていますが、「1~3を選ぶ志望職種の明確な人と、そうでない人のどちらにプログラムに参加してもらいたいか?」を考えれば、4の選択肢は避けたほうが賢明といえます。
事例2
特に興味をお持ちのプログラムテーマを選択してください。また、選択したプログラムを希望する理由を教えてください。(300文字以上400文字以下)

- ワンポイントアドバイス
- この会社は10を超えるプログラムテーマを用意していることから、「現時点で、仕事を通して実現したいことが、より明確な人」を求めていることがわかります。豊富なプログラムを用意し対象者を絞ることは人気企業にしかできませんが、インターンシップに臨むうえで、そうした会社の期待レベルに応えることを目指しましょう。
また、応募前に日程情報は必ず確認しましょう。すべての日程に参加可能かどうか、自分のスケジュールを確認する必要があります。
- 回答例
- (「10年後の公共交通システム創造しよう」を選択した場合)
人手不足が原因でバスや列車のダイヤ改定で減便せざるを得ない、これが過疎地域だけでなく日本全域が直面する課題であることをニュースで知ったことが理由です。
少子化による生産年齢人口の減少が様々なシーンで色々な課題を生んでいることは以前から知っていましたが、働き手を確保しやすい大企業でさえもが直面していることから解決を急ぐ必要があると考えるようになりました。
頭の中で考えたアイデアを現実社会に導入するには、国のサポートが必要になります。試行するエリアの住民の方々の理解も必要です。この点で、公共交通分野はサポートも理解も得やすいのではないでしょうか。
この推測が正しい場合、公共交通分野は幅広い最先端技術を実験しやすい分野といえます。そして実験から得た知見や生み出した機器を広く公開すれば、他の分野の課題解決のスピードアップにも貢献できると考えたことも、このテーマを選択した理由です。(388文字)
事例3
当社のインターンシップを志望する理由を教えてください。
- ワンポイントアドバイス
- 先ほど紹介した質問「2」に比べると抽象的な志望動機の問い方ですが、こちらがよく見かける一般的な質問です。こうした一般的な質問の会社に応募する時こそ、その会社でできる仕事を研究したうえで、「貴社の●●プロジェクトに魅力を感じたからです」など、質問「2」でも通用するような志望動機を回答しましょう。そうすれば、「業績もよく、社会貢献もされている貴社について知りたいからです」といったレベルの志望動機とは差をつけることができます。
「学業」に関する質問
イノベーションが進めば進むほど、進化した社会に対応するための学習力が必要になります。企業は学業にも力を入れ、学業スキルを磨いた人を求めています。
事例4
学部で学んできたことの概要をご記入ください。修士の方は、修士での研究テーマと概要をご記入ください。学術学会での発表実績、表彰履歴、その他学業(留学含む)における実績があればご記入ください。
- 論文を発表している場合はそのタイトルも記入してください。
- 実績例:単位認定されている留学経験。学外活動での表彰、入賞、〇〇(査読中)等。
- ワンポイントアドバイス
- 大学での学びを重視する企業が増えています。まずは、過去の成績表を見ながら、学部入学から現在までに履修している授業を振り返り、力を入れた授業、特に記憶に残っている授業内容、提出したレポート課題と作成した内容を再確認しておくと、学業について紹介するネタが増え、後々、役立つでしょう。
事例5
所属されているゼミ・研究室名、指導教官名をフルネームで入力してください。
- ワンポイントアドバイス
- この項目では名称だけの記入でよいのですが、研究概要を専門外の人にも分かりやすく紹介する準備もしましょう。例えば、「世の中のこのような場面に役立つ研究で、目下の目標は、このような実験データを得ること」「〇〇について掘り下げることを通して、日本の価値観の変遷を明らかにして今後の変化を予測することが目的」など。
また、「未定」の方は「未定」と記入してもよいのですが、配属予定が決まっていれば、その名称を記入し「配属予定」、これから選考結果がでるのであれば「選考結果待ち」と記入しても良いでしょう。
PLUS1
これまでの学生生活の中で、最も熱心に取り組んだ学業について400文字以内でご記入ください。(研究室、ゼミ、資格勉強、留学など学業に関係するものであれば可)
- ワンポイントアドバイス
- 自己PRといえば「学生時代に力を入れたこと(ガクチカ)」と連想する人も多いでしょう。その連想が実情から乖離しているわけではありませんが、このように、学業に絞った自己PRを求める企業があることも知っておきましょう。
「自己紹介」に関する質問
語学力について質問する企業が多いです。スコア入力を求める企業が少なくないことを確認し、準備しておきましょう。今回のインターンシップに間に合わないとしても、半年後の就活を見据えて取り組みましょう。
とはいえ、企業は語学力だけを重視しているわけではありません。語学が苦手な場合は、他の得意なことに注力し、自分なりの強み作りに着手しましょう。
事例6
アルバイト・インターンのご経験のある方は、会社名・期間等を具体的にご記入ください。
- ワンポイントアドバイス
- 以下のように記入しましょう。
- 回答例
- 20●●年1月~20●●年12月 株式会社A書店で接客
20●●年9月~20●●年10月 株式会社B人材派遣会社でインターン
事例7
課外活動(クラブ・サークル)に所属されている場合は、名称をご記入ください。
- ワンポイントアドバイス
- 所属先を選んだ理由、課外活動で設定した目標と成果、その取り組みをとおして成長できたことを軸に作成しましょう。
事例8
あなたの英語レベルを選択してください。
1.初級レベル:読み書き・日常会話可能
2.中級レベル:ビジネスで利用可能
3.上級レベル:ネイティブと同様
4.英語使用の経験無し
TOEIC、TOEFLのスコアをお持ちであればご記入ください。その他、語学力に関して特記事項があればご自由に記入ください。
- ワンポイントアドバイス
- たとえば「研究所のプログラムに応募する場合はスコア860以上必須」などの応募条件を設定している場合もあります。応募に必要な資格等を、プログラムごとに確認しましょう。
事例9
日本語が母語でない方のみ必須回答。あなたの日本語レベルを教えてください。
1.初級レベル:読み書き・日常会話可能
2.中級レベル:ビジネスで利用可能
3.上級レベル:ネイティブと同様
4.日本語使用の経験無し
- ワンポイントアドバイス
- 対象者が指定された質問もあります。自分が回答する必要のない質問には回答しないよう確認しましょう。
事例10
ITスキル(プログラミング経験等)があれば種類とご経験期間をご記入ください。言語、OS、ネットワーク名(期間)。
- ワンポイントアドバイス
- IT企業の場合は、このような質問もあります。「Python(2年間)」などと記入しましょう。IT企業以外でもIT部門を抱えるなどITと無縁ではありません。経験のある方は積極的に紹介しましょう。
事例11
仕事で活かせると思われるご自身のスキルやご経験をできるだけ具体的にご記入ください。
【ガクチカ】を【仕事で活かせると思われるご自身のスキルやご経験をできるだけ具体的にご記入ください】に対応させるのは簡単です。別のものを作るのではなく、ガクチカを活かして作成することができます。
- 回答例
- (一般的なガクチカの場合)
大学生活では、教育系NPOでスポンサー企業の獲得活動に力を入れました。スポンサー獲得チームは私を含めて3人で構成されていましたが、心掛けたことは個々の得意分野を活かすことです。具体的には、私はプレゼンテーションのシナリオ作り、一人はシナリオにそったパワーポイントの資料作成、ひとりは候補企業のリストアップとアポイント取りを担当しました。
また、3人で一緒に企業を訪問し、プレゼンテーション本番を協力しあって乗り切りました。この結果、幸運にも企業のCSR室長や社長にプレゼンテーションすることができ、モバイル機器20台の無償貸与などを獲得することができました。
- ワンポイントアドバイス
- 例えば、IT企業に応募する場合は質問「10」の回答内容を、他業界の場合は質問「6」の回答内容をもとに作成できます。ポピュラーな「学生生活に力を入れたこと(ガクチカ)」で準備したものを応用して、この質問にも回答できるようにしておきましょう。
- ガクチカと仕事で活かせると思われるスキルや経験をかけ合わせた回答例
-
私の仕事で活かせるスキルは、プレゼンテーションと初対面の人とのコミュニケーションの二つのスキルです。
このスキルを磨いたのは、大学生活で力を入れて取り組んだ教育系NPOでのスポンサー企業獲得活動です。私を含めて3人のチームで候補企業のリストアップ、活動紹介のパワーポイント作成、アポイント取り、プレゼンテーションを行いました。この結果、幸運にも企業のCSR室長や社長にプレゼンすることができ、モバイル機器20台の無償貸与などを獲得することができました。
この経験をとおして、冒頭で紹介した二つのスキルに自信をもつようになりました。
後編ではさらに、ちょっと難しい質問に対する準備や、インターンシップの活かし方などを解説します。お楽しみに!