在留資格

~ 日本での就職に備えよう!~

「在留資格」の制度は、内容が複雑でわかりづらい…。そう感じている留学生の方は多いでしょう。そこで、在留資格取得における卒業区分や職種ごとの違い、手続きの流れなどをわかりやすく整理しました。日本での就職を目指すうえで、まず知っておきたい在留資格の基礎知識、そして注意点をまとめています。

「働ける条件」を正しく知ろう

留学生が日本で就職するために必要な在留資格とは?

外国人留学生が日本で卒業後に働くためには、就労可能な「在留資格」を取得する必要があります。特に多くの人が取得を目指すのが、以下の2種類です。

主な在留資格
在留資格名 特徴 主な対象
技術・人文知識・国際業務(技人国) 専門知識や技術を活かすホワイトカラー職種向け。学歴や職歴と業務内容の関連性が必要。 日本または海外の大学・大学院卒業者、日本の専門学校卒業者(認定校のみ)
特定活動46号 高度な日本語能力があり、日本語を使う業務で現場作業も含めて就労可能。JLPT N1以上、またはBJT 480点以上等が必要。 日本の大学・大学院卒業者、指定の専門学校(高度専門士)卒業者、短大・高専卒で学士取得者

💡どちらもフルタイムでの採用が前提です。アルバイトやインターンの延長では就労できません。また、特定活動46号では派遣社員として働くことは認められていません。

卒業区分ごとに取得できる在留資格とその注意点

留学生の出身学校・卒業区分によって、申請できる在留資格や審査の難易度が大きく変わります。以下に、主な卒業区分ごとの違いを整理しました。

卒業区分 主な在留資格 ポイント・注意点
日本の4年制大学 技人国/特定活動46号 JLPT N1以上またはBJT 480点以上を取得していれば特定活動46号も利用可能。文系・理系問わず広く活用されている。
日本の大学院 技人国/特定活動46号 職種との関連性を広めに見てもらえる傾向あり。専門性が評価されやすい。
自国の大学
(学士)
技人国 特定活動46号は対象外。職務内容と学部・専攻の関連性が特に重視される。
日本の専門学校(※専門士又は高度専門士) 技人国/特定活動46号 特定活動46号は法務省指定の「高度専門士」取得が必須。すべての専門学校が対象ではない。
日本語学校・語学学校 取得不可 卒業だけでは就労資格は得られない。他の学歴・職歴が必要。

💡海外の専門学校卒業者は原則対象外。ただし、大学レベルの高等教育機関と認められる場合は例外的に認められる例があります。その判断には、文部科学省が公開している各国の教育制度資料などが用いられます。

文部科学省|世界の学校体系(各国の教育制度資料)

学部・専攻と就ける職種の関係

在留資格の申請では、「どの学部・専攻を卒業したか」と、「どんな職種に就こうとしているか」の関連性が重要になります。申請時にこの関連性が弱いと判断されると、不許可となるケースもあるため注意が必要です。

特に「技術・人文知識・国際業務(技人国)」の在留資格を取得するには、大学や大学院で学んだ内容(専攻・履修科目)と、就職先の業務内容が一定以上関連していることが審査のポイントになります。関連性が認められないと、在留資格が不許可となる(または追加資料を求められる)可能性があります。

ただし、以下のようなパターンでは、関連性があると見なされやすいです。

比較的審査が通りやすい組み合わせの一例
学部・専攻 想定される職種(審査通過例)
経済学部・経営学部 営業職、企画職、事務職、人事・総務など
教育学部 教育関連、人事、育成支援など(学科による)
日本語学部 通訳、翻訳、IT企業の日本語対応業務、事務職など幅広い

💡特に日本語学部・学科を卒業している場合は、「日本語力を活かす業務」として比較的広く関連性を見てもらえる傾向があります。

💡ポイントは、「専攻名」だけでなく、「履修してきた内容」と「職務の関係性」をアピールすることです。履修科目の分かる成績証明書等も申請時に合わせて提出することで補強資料となることもあります。

在留資格取得の手続きとスケジュール

日本の大学や専門学校を卒業し、就職先が決まった留学生は、「留学ビザ」から「就労可能な在留資格(技人国または特定活動46号)」へ変更する手続きが必要です。この手続きには一定のスケジュールと審査期間があるため、企業側にも確認しながら早めの準備と計画的な行動を心がけましょう。

手続きの流れ(日本国内の大学・専門学校卒業生の場合)
時期 手続き内容
12月〜 在学中に「在留資格変更許可申請」を提出(卒業見込みの段階でOK)→ 留学ビザから「技人国」または「特定活動46号」へ変更申請
1月〜2月 入管から「審査完了通知(ハガキ)」が届く(=ほぼ許可された状態)
3月 卒業証明書を入管に提出 → 新しい在留カードが交付される。これにより正式に就労可能となります。
4月 在留資格変更が許可され、新しい在留カードを受け取った後、4月から正式に勤務を開始できます。
  • 個人によって在留資格取得のスケジュールは様々なので、就職活動と同時並行でスケジュールを自分自身でも確認するようにしてください。
  • 9月卒業で翌年4月の入社まで日本に在留して待機する場合は、技人国や特定活動46号への変更許可申請の前に、内定待機のための特定活動への在留資格が必要になります。

在留資格取得の手続きにおけるポイントと注意事項

卒業見込みで申請できます
「卒業してから」では間に合わないケースが多いため、卒業見込み証明書を使って12月ごろに申請するのが一般的です。書類の不備や追加資料の提出を求められる場合もあるため、余裕を持ったスケジュールで準備しましょう。なお、入管の管轄によって例年12月1日から申請を受け付けるところと翌年の1月以降に受け付けるところがありますので、前もって直接入管に確認するようにしてください。
「資格変更後」にアルバイトはできない
新しい在留資格(技人国・特定活動46号)が交付された時点で、「留学ビザに基づく資格外活動許可(アルバイト)」は無効になります。卒業後は「資格外活動」がそもそも使えないため、たとえ在留カードの期間が残っていてもアルバイト不可です。
→ 詳細は4 注意点編で詳しく解説します。
申請は誰がする?
  1. 本人が申請する場合:
    → 入管窓口へ提出し、審査完了後に通知ハガキが自宅に届きます。
  2. 行政書士に依頼する場合:
    → 必要な書類を預ければ、あとは行政書士が申請書や必要な書面を作成して入管に提出してくれます。オンライン申請での手続きにも慣れており、進捗管理もスムーズです。

審査が遅れるケースが増えています

申請が遅れたり、審査が長引いたりすると…

  • 4月の入社に間に合わない
  • 就労開始を延期せざるを得なくなる
  • 雇用側にも迷惑をかけてしまう可能性がある
  • 申請数増加により、入管での審査が全体的に遅延傾向にあります。東京入管など特に申請数の多いエリアでは、審査完了まで1~2か月以上かかるケースも珍しくありません。たとえば、12月に申請しても、2月から3月中に結果が出ないことが増えています。

また、「特定活動46号」については審査が厳格化の傾向にあり、審査が長引く可能性があるため、申請時期や必要書類の準備に一層の注意が必要です。

対策ポイント

  • 卒業見込みの段階で、なるべく早く申請する
  • 企業と連携して、申請書類を早めに準備する
  • 日本語能力の証明書(JLPT N1またはBJT)を確実に提出する

在留資格変更に必要な書類一覧

すでに学校や企業から案内を受けている方も多いと思いますが、知っているつもりでも、いま一度チェックしておきましょう。

書類名 補足説明
在留資格変更許可申請書 入管の公式フォーマット。本人及び受入企業が作成
パスポート・在留カード 有効期限内のもの。原本提示も求められる
卒業見込み証明書(申請時)
卒業証明書(交付時)
学校が発行。変更許可時には正式な卒業証明書が必要
成績証明書 専攻と業務の関連性を示す参考資料として提出することが多い
雇用契約書または内定通知書 就職先企業からの書類。職種・給与・雇用期間などが明記されているもの
会社の概要資料 パンフレット、登記簿謄本、決算書、法定調書合計表など。企業側で準備
履歴書 本人が作成。専攻・スキルと職務の関係が伝わるよう記載
日本語能力証明(特定活動46号のみ) JLPT N1またはBJT 480点以上の証明書が必要
顔写真(4×3cm) 申請書に貼付。過去6か月以内に撮影したもの
収入印紙(6,000円) 許可時に提出。コンビニや郵便局で購入可能。2025年4月以降は在留資格変更時の手数料が「6,000円」に改定されています(許可時に納付)
  • オンライン申請の場合は「5,500円」
  • 最新情報は出入国在留管理庁HPを確認するようにしてください

在留資格に関する注意点

在留資格の申請や切り替えには、見落としやすい落とし穴がいくつもあります。ここでは、留学生から特に質問が多いポイントや、審査に影響しやすい注意点をまとめて紹介します。

アルバイトに関する注意点

「留学ビザ+資格外活動許可」でのアルバイトは、卒業後または在留資格を変更した時点で自動的に無効になります。よくある誤解が、「カードの有効期限が残っているから、卒業後もアルバイトできる」。これは誤りです!

  • 卒業したら、たとえ在留カードが残っていてもアルバイトは不可
  • 在留資格を「技人国」などに変更した後も、資格外活動許可は失効するため、アルバイト不可
  • 違反すると入管法違反=不法就労扱いになるおそれあり

また、アルバイト時間の「少しの超過」にも注意が必要です。資格外活動の許可を得ていても、週28時間の上限をわずかに超えるだけで、在留資格の変更や更新に影響することがあります。アルバイト先から「もう少しだけ」とお願いされても、断りましょう。ルールを守ることが自分自身を守ることにつながります。

インターンシップの扱いに注意

報酬のあるインターンシップは、“就労”と判断される可能性が高く、留学ビザだけでは許可されません。資格外活動許可や在留資格変更が必要となるケースもあります。

報酬なしのインターンシップの場合は 留学ビザの範囲内で原則OKですが、実質的に労働と同じような内容・業務量だと、入管はそれを「就労」と判断する場合があります。「教育的かどうか」がカギになるので、心配な場合は学校や専門家に必ず確認を取りましょう。

在留資格変更の「許可が下りたタイミング」とは?

入管から「審査完了通知(ハガキ)」が届いても、それだけで正式な許可ではありません。正式な許可は卒業証明書を提出して在留カードを受け取った時点で完了します。

「就労資格、持ってますか?」と言われたけど、それって何?

就職活動中に、企業の担当者から「就労資格を持っていますか?」「就労ビザの取得は可能ですか?」と聞かれることがあります。これは法律上の正式な言葉ではありません。

「就労資格」というのは、「就労が認められている在留資格」を指す、実務上の言い換え表現(俗称)です。つまり、「技術・人文知識・国際業務(通称:技人国)」や「特定活動46号」など、就労が可能な在留資格のことを、企業側がまとめて「就労資格」と呼んでいるだけです。

特定活動46号は、審査が厳しくなっています

特定活動46号の審査基準が以前よりも厳格化しているという指摘があります。特に、以下のようなケースでは不許可となる可能性が高くなるため注意が必要です。

  • 日本語能力を活かさない業務内容
  • 単純作業が中心の職務(レジ打ち、棚卸しなど)
  • 職務内容が曖昧で、学んだ分野との関連が見えにくい場合

審査基準は明文化されているわけではありませんが、実務では「日本語力(JLPT N1やBJTスコア)をどう活かすか」「学んだ内容と職務のつながりをどう説明できるか」といった点が、審査上、重視される傾向にあります。

対策ポイント

  • 職務内容を明確に説明できるよう、会社に職務内容証明書の記載を依頼する
  • 申請書や申請理由書に、日本語を使う業務であることを強調する
  • 日本語能力の証明書(JLPT N1またはBJT)を確実に提出する

在留資格取得の成功は、「情報」と「準備」がカギ

就職活動と並行して在留資格の準備を進めるには、正確な情報と計画的な行動が欠かせません。JLPT N1やBJTのスコアは、在学中から準備しておくと有利ですし、専攻と職種の関連性を理解し、どういった業界を目指すのかをしっかりと考えることも、申請の成功に大きく影響します。スケジュールにも注意が必要で、「知らなかった」という小さなミスが、不許可や手続きの遅れにつながることもあります。アルバイトをするうえで必要になる資格外活動許可の有効期間や在留資格変更許可申請のタイムスケジュールなど、細かな点にも注意しましょう。

在留資格の取得は、留学生の皆さんが日本で社会人として歩み始めるための第一歩です。書類や制度が難しいかもしれませんが不安や疑問があれば、一人で抱えず、学校や企業の担当者に相談し、ぜひ日本就職を実現させてください。心から、皆さんのチャレンジを応援しています!

<参考リンク(外部)>
出入国在留管理庁|在留資格一覧

法務省|特定活動(告示46号)概要

監修:
行政書士谷国際法務事務所
代表行政書士 谷 勇

  • この記事は2025年8月時点のものです。申請時は最新の情報を確認するようにしてください。