病院

病院には、難易度の高い治療が必要な患者さん、手術を受ける患者さん、珍しい症例の患者さんなど、主に歯科医院では対応できない方が来院します。これらのケースに対応する歯科衛生士には、どんな意識やスキルが求められるのでしょうか。

職場の概要

病院の歯科では、地域の歯科医院では対応が難しいケース(例えば、出血のリスクが高い難抜歯や全身麻酔を用いて治療したい場合など)も扱います。地域の医療機関から患者さんを受け入れ、治療が終われば再び地域に送り出すというかたちで連携することもよくあります。

また、内科、整形外科、小児科といった他科に入院中の患者さんが歯科領域の問題で困っている場合も、主治医と連携しながら対応します。虫歯や歯周病を引き起こす菌が歯茎から血管に侵入するとさまざまな病気(脳卒中、肺炎、狭心症、糖尿病など)を悪化させることが分かっており、逆に他科の疾患が歯科疾患と密接に関連していることもあるので、双方の治療を並行して進めていくことが多いです。

求められる意識やスキル

患者さんが安心して診療を受けられるように、歯科衛生士には介助の知識やスキルが求められます。あらゆる科の患者さんが対象となるので、歯科の知識だけではなく、幅広い疾患について学んでおく必要があります。全身状態や服用している薬について勉強すれば、患者さんの状態をより深く理解しやすくなるでしょう。検査や処置、手術に対する不安や病状への戸惑いなどを察して、適切な声かけや心配りができるようになるはずです。

手術を担う病院であれば、術前準備、術中の補助、術後の口腔管理といった知識も必要です。同時に、口腔ケアの手技も磨いていきましょう。口腔ケアは、がん治療や外科手術などの副作用や合併症を予防・軽減する効果もあるからです。歯科衛生士は、治療と予防の両方に関わり、患者さんの予後の改善や QOL 向上にも大きく貢献する存在なのです。

また、コミュニケーション能力や調整力を駆使して多職種と関わることも求められます。「看護師や管理栄養士などに口腔ケアを指導する」「地域の医療機関と連絡を取り合う」といった場面もしばしばあるでしょう。

よく検討したいポイント

今の時代は各病院の公式ウェブサイトが充実しており、スタッフ募集のページから職場の様子が分かることも多いでしょう。身に付けてきた知識やスキルを生かせるか、新しい学びや経験を得られるか、自分のビジョンと照らし合わせて検討しましょう。病院の実績として、病床稼働率や手術件数といったデータも参考になるでしょう。また、特定機能病院、災害拠点病院、救急指定病院といった指定の種類を確認すれば、地域における役割を知ることができます。

労働環境に関わることとして、平均的な残業時間や夜勤の頻度の実際も知っておきたいところです。病院勤務を選ぶ場合、基本的に定時で帰宅できる歯科医院勤務に比べて気力・体力が必要になることが多いです。忙しさによっては通勤時間の長さを調整すべきかもしれません。また、系列の病院がある場合は、転勤の可能性もゼロではありません。それを望まない場合は、事前に確認しておきましょう。

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