介護福祉施設

介護福祉施設では、利用者さんができるだけ口から食べたり飲んだりできるように努めています。同時に、誤嚥性肺炎などのリスクに細心の注意を払う必要があるので、歯科衛生士のニーズが高まっているようです。

職場の概要

歯科衛生士は、利用者さんの口腔に異常がないかを確認しながら、口腔ケアを行います。口腔内に異変があると、食欲が低下して栄養不足を招きます。痛みや違和感があれば、睡眠の質が低下することもあるでしょう。異変に気付いたら、早めに医師に報告して治療につなげることが大切です。また、口内を清潔に保つことは、風邪やインフルエンザ、肺炎を予防する観点からも重要です。

また、嚥下リハビリテーションも欠かせません。嚥下機能が低下すると、高齢者に多い誤嚥性肺炎を招きやすくなるからです。嚥下機能の維持は、安全に食事できるようにすることだけでなく、疾病予防のためにも大切なのです。また、咀嚼することで脳に血流や刺激が加わるので、認知症の予防にもつながるといえます。

求められる意識やスキル

口腔衛生と嚥下機能の維持・向上に生かせる知識やスキルが必要です。「自分の口から食べる」という行為は、単なる栄養摂取の枠を超えて体力の維持や心の健康にもつながり、利用者さんのQOL向上に大きく貢献します。しかし、取り組みの成果が見えづらいこともあり、利用者さん・歯科衛生士の双方が目標を見失うこともあるでしょう。継続的にケアしていくため、評価方法や目標設定のコツについても学んでおきたいところです。

また、歯科衛生士がベッドから車椅子への移乗を介助したり、座ったときの姿勢を整えたりすることもあるため、ある程度の介護の知識も求められます。座ったときの姿勢がいつもと少し違うだけでも「うまくかめない」「飲み込みにくい」「むせてしまう」といったことになりかねないため、誰が対応しても同じ姿勢でケアが提供できるように、施設内のスタッフと連携する力も必要になります。

利用者さんを敬い、その自尊心を尊重しながら関わることも大切です。加齢に伴って、聞き取りづらくなったり、思うように体を動かせなかったりする方もいます。「何度も同じことを説明しなければならない」「昨日できていたことが今日はうまくできない」といった場面があるかもしれませんが、本人の心身に寄り添いながら丁寧に接していきましょう。

よく検討したいポイント

業務範囲は施設により異なるので、まずはその点を事前に確認しておきましょう。施設の理念や施設長の思いなどに目を通しておくこともお勧めです。利用者さんにどんなケアを提供したいのかという意思が読み取れるので、職場選びの助けになるでしょう。

実際に施設内を見学できるのであれば、掲示物や装飾物の様子、利用者さんに対するスタッフの声のかけ方なども確認しておきたいところです。スタッフの心配りは細部に宿るので、玄関のスリッパがきれいに並んでいたり、季節を感じられる掲示物があったりすると、思いを込めてケアしていることが分かります。また、「気持ちの良いあいさつができている」「話すときに利用者さんの目線に合わせて腰を屈めている」といった様子からは、丁寧に温かいケアを提供していることがうかがえます。

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