将来医療の世界で活躍できる実力を身に付けるため、実習の機会を活かさない手はありません。限られた期間の中で、できるだけ多くの学びを得るための事前準備や心構えのポイントをご紹介します。
実習中に感じたことや見聞きしたこと、後で確認したいことなどは、記憶に頼るとあやふやに……。メモ帳やボールペンは、その場でサッとメモするための必需品です。「自宅にあるボールペンを適当に持ってきたらインク切れだった……」ということもよくあるので、事前に確認してください。
室内シューズの準備にも気を配りましょう。実習先によっては、スリッパではない、かかとのあるシューズを持参する必要があります。筆記用具なら当日の朝に調達できるものの、シューズは困難。当日の朝に焦らなくて済むよう、早めに準備してください。
初めて訪れる実習先の場合は、自宅からの経路を調べておくと安心です。電車のダイヤが乱れたり、急に運行状況が変わったりする可能性もあります。メイン経路が使えないときに備えてサブ経路も把握しておけば、より安心です。
実習先が最寄りの駅から少し離れていることもあります。「当日、地図アプリでルートを見ながら向かえばいいや」と思っていても、スマートフォンを持参し忘れたり、ルートが正しく出てこなかったりして焦るかもしれません。事前に地図を確認したり、ルートの下見をしておいたり、念には念を入れて準備してください。
患者さんの氏名、性別、家族構成、健康状態といった情報は、個人のプライバシーに関わるセンシティブなものです。こうした情報の取り扱いについては個人情報保護法を遵守する必要があり、実習前に誓約書を提出することもあります。実習中はカルテや医療記録、職員のミーティングなどからたくさんの情報を見聞きするので、慎重に取り扱いましょう。
医療用語に慣れておくと、実習現場での理解や立ち居振る舞いがスムーズになります。例えば、「リハ＝リハビリテーション」「サチュレーション＝SpO2（血液中の酸素飽和度）」「do＝同じように実践する」といった言葉を、カルテや会話の中で頻繁に見聞きするでしょう。事前に学習していても、初めて触れる用語をゼロにはできないはず。そのときは、積極的に質問して理解に努めましょう。
また、他の医療従事者の役割についても知っておくことをお勧めします。医師、看護師、薬剤師だけではなく、理学療法士、医療ソーシャルワーカー、管理栄養士など、たくさんの職種が患者さんやご家族を支えています。それぞれの役割を知っておけば、現場でのチームワークのあり方を学んだり、患者さんの全体像を一歩踏み込んで理解したりできるでしょう。
一緒に実習する仲間はとても心強い存在です。さほど親密ではなかった相手でも、実習前から意識的にコミュニケーションを図っておけば、お互いの距離がグッと縮まり、どんどん話しやすくなるでしょう。慣れない実習先の環境に身を置くと、身体的な疲れだけでなく精神的な疲れも出てきます。そうしたとき、「今日は大変だったね」「明日も頑張ろうね」と言い合える仲間がいれば、「心の再起動」をしやすくなるはずです。
実習に限ったことではありませんが、体調管理は非常に重要です。体調がいまいちだと、せっかくの実習に専念できません。かぜ気味だったりしたら、一緒に実習する仲間や実習先の方々にうつしてしまうおそれもあります。うがい・手洗いなどの感染対策の基本を忘れないでください。
また、睡眠不足や栄養不足にも要注意。実習中はストレスを抱えやすく、生活リズムが崩れやすくなります。すると、夜更かしや暴飲暴食に走ってしまうことも少なくありません。あらかじめ生活リズムを整えておき、そのままの流れで実習に臨んでください。
そのためには、実習期間中の予定を詰め込みすぎないことも大切。特に多いのが、実習先からアルバイトに向かい、夜中に帰宅するというケースです。これでは実習の振り返りや記録をする時間を確保できず、寝不足のまま翌日の実習に臨むことになってしまいます。できる範囲で調整して、体調面でも無理のないスケジュールで動いてください。
このように、実習が始まる前からできる準備はいくつもあります。時間的にも精神的にも余裕が生まれ、実習に集中してさまざまなことに気を回したり、学びを深めたりすることができるでしょう。抜かりない準備をして、実習からしか学べないことを思いきり吸収してください！
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