
大学では生体電子工学を学び、脳波の研究に携わっていた。IoT関連企業を中心に就職活動をする中で、海外と関わる機会が多いことや自身が大学生活の中で打ち込んできたことに対して最も評価をしてくれたことが決め手となり、スミダ電機に入社。ファッションが趣味で、お気に入りのイタリアブランドの洋服を身に纏って散歩をするのが休日の楽しみ。
自動車が段差を通る時、大きな段差であればあるほど上下に「揺れ」が発生します。その振動を減衰させ、乗り心地や操縦性を向上させる上で欠かせない車載装置が「ショックアブソーバー」です。私が携わっているのは、この装置の電子制御を司るコイルの研究開発。常に衝撃が加わる部分に使われる部品なので、性能だけでなく強度も求められる点が大きな特徴です。
万が一強度が不十分だった場合、装置の故障によって自動車に乗っている人の生命に関わるような事故が起こるかもしれない。それほど重要な製品の主担当として試作から量産化までのすべての工程を任せてもらうというのは、プレッシャーも大きいですが、同時に「スミダ電機に入社して良かった!」と入社後に思えた理由の一つでもあります。製品と数年間のスパンで向き合える仕事だからこそ、「この製品のことだったら社内の誰よりも自分が一番詳しくなってみせる」という気概の下、専門性の高い知識・経験が身につけられ、仕事への自信にもつながっています。
これまで関わった中で最も大変だった仕事は、入社2年目で初めて主担当を任され、現在も進行中のコイル製品の開発です。ご依頼主は、初めてスミダ電機がお取引することになった海外のお客様。いただいた概略設計図に目を通した時、納品希望サイズを見て思わず頭を抱えてしまいました。なぜなら、お客様の求めている小型かつ省スペースのコイルを実現した実績が、今までスミダ電機には存在しなかったからです。従来のやり方では通用しないものづくりに挑むことになった私は、あらゆる角度から試作を繰り返し、時には何度も行き詰まりながら、何とか障壁を一つずつ乗り越えていきました。
そして約1年後、ようやく機能・条件を満たした試作品が完成しました。現在は量産設備を工場に投入し、量産化に向けて準備を始めている段階です。主担当として量産準備の立ち合いのために中国の工場に行くのは、今回が初めて。自分が考えた製品がどのように形になるのか、自分の目で確かめるのが楽しみで仕方ありません。
若手であっても難易度の高い製品の開発に挑戦できるのは、職場の先輩方が親身に相談に乗ってくださる人ばかりだからこそ。つまずいても、周囲のフォローのおかげで前進できています。しかし、だからと言って、聞き癖がついてしまって「ここは何でこういう構造にしたの?」と誰かに尋ねられた時、「先輩に言われたから」と答えてしまうようではいつまでも成長できません。そこで、初めて製品の主担当を任されてからは、まずは自分なりに考え、その上で「自分ではこうすると良いと思うのですが、どうですか?」といった相談の仕方に変えました。
すると、今まで何度も私にダメ出しをしてくれていた先輩が「良いじゃん!今までと考え方が変わったの、自分でもわかるよね?」と誉めてくれたんです。その言葉をもらえた時は、本当に嬉しかったですね。今後は海外との関わりもさらに増えていくと思うので、技術はもちろん語学も身につけ、海外のお客様と一緒により良い製品を開発し続けていきたいです。