マラリアの感染予防に尽力
命を繋ぐ防蚊塗料

日本ではあまり問題視されていませんが、マラリアはアフリカでは社会的な問題となっています。そこで関西ペイントグループは、防蚊塗料「Kansai Anti-Mosquit Paint」をザンビアとウガンダに上市しました。この塗料は、住宅の内装に塗るだけで蚊をノックダウンさせることができる画期的な製品です。防蚊塗料はもともと、南アフリカにある子会社が開発していましたが、グループ内の情報共有を推進するなかで、マラリアとよく似たデング熱対策にヒントを得て、応用展開に成功。まさに世界各国にグループを構え、ベストプラクティスを模索しているからこそ生まれた成功事例といえます。ザンビアへの上市にあたっては、JICA民間技術普及促進事業として、同国の保健省とも連携。約2年間実証モニターを行い、同国政府機関の認証を得た上で本格販売を開始し、安全面にも徹底的に配慮しました。
すでに東南アジア、日本などで販売が開始されている同製品。マラリア感染撲滅を掲げる国において、大きな期待が寄せられています。住宅だけでなく、公共、商業施設でも使用できる設計になっており、人や環境には無害なため、さまざまな生活シーンで活用できます。さらにグローバル展開をするためには、各国の規則・規定に適合した製品開発が必要となりますが、配合設計を改良することで柔軟な対応が可能。これもまた世界中にグループ内のネットワークを持つ関西ペイントならではの強みといえます。これからも官民連携の取り組みで、信頼性を高めながら普及を図り、世界中の人々の暮らしの安全を守り、経済発展へも貢献していきます。

防蚊塗料でアフリカの社会問題に挑む
防蚊塗料(AMP)は、蚊をノックダウンさせる機能があり、デング熱・ジカ熱が世界的に流行した2016年に注目を集めた製品です。2017年のTICAD(アフリカ開発会議)では、ブース展示やプレゼンを通じ、アフリカの3大感染症であるマラリア対策への可能性に対し、大きな反響を得ました。上市への取り組みをスタートさせたものの、防蚊剤が含有されているため、政府認可の取得が障壁となりました。そこでJICA(国際協力機構)との官民連携を図り、ザンビア保健省と折衝を開始。一般民家でのサーベイでは、世界最強といわれるハマダラカに対し90%以上のノックダウン効果を発揮し、「蚊がいなくなった」「窓を開放できるようになった」など、現地の方から喜びの声をいただきました。これにより認可が受領され、ウガンダ、南スーダンへの上市にも成功。社会問題に取り組む会社としての認知度も向上しました。今後も市場を開拓しながら、ペインターの育成と雇用促進を進め、さらなる社会貢献への挑戦を続けます。

自動車産業でも活躍!
環境保全にも貢献

近年急速に普及が進む電気自動車や蓄電デバイスですが、性能面では改善の余地が多くあります。リチウムイオン電池では、電気を輸送する導電カーボンの分布状態が電池性能に直結するため、これをいかに分散できるかが課題でした。当社では、液状物スラリー※を長年扱ってきた技術と知見を生かし、電極スラリー(特に導電カーボンスラリー)ビジネスへの参入を決意しました。塗料は、さまざまな技術の集積によって形成されています。なかでも顔料分散の知見は、導電カーボンスラリーの安定性や、乾燥膜中の導電パス形成に対し、大いに役立ちました。これを生かしながら試行錯誤を重ね、電池性能を阻害しない分散剤、および適切な分散調整法を見出しました。これにより電池性能を阻害しない安定した導電性を持つスラリー※を実現しました。
※スラリーとは…液体中に固体粒子が分散・懸濁した状態。泥状の流動体。
環境問題の改善が進むなか、自動車産業では欧州、中国、インドがガソリン車規制を行い、自動車メーカーが電気自動車の生産目標を宣言するなど、大きな変革が起きています。当社では、研究の余地が多くある電極スラリーの中でも、その構成物である導電カーボンスラリーに注力。電池性能には出力、耐久性、安全性などが求められ、優先順位により使用される導電カーボンが異なりますが、ニーズに応じた処方の体系化を進めながら、技術を蓄積しています。今後もリチウムイオン電池をはじめとした新たな領域に挑戦しながら、多くのユーザー、サプライヤー、異業種、アカデミアと融合し、塗料が持つ可能性を広げ続けます。

異分野に挑戦。コア技術が電池性能の向上に貢献
日本人開発者がノーベル化学賞を受賞したことで注目されているリチウムイオン電池。これまで電池性能に直結する導電粒子の分散が課題でした。当社は専門的に研究してきた顔料の分散技術を生かした新しい挑戦を始めました。これまで経験したこともない電池性能を追い求めるにあたり、まずは評価法や解釈を掴むことから始めました。顧客やアカデミアの指導を得ながら、当社なりのノウハウを丁寧に積み重ねていきました。当社の導電カーボンスラリーは電極製造工程のほんの一部品であり、だからこそ次工程において使いやすいものに仕上げる必要があります。そこで顧客とやりとりを重ね、ハンドリング性に長けた付加価値の高いスラリーに作り込みました。研究を始めた当時は将来性が不透明な部分もあったものの、自動車業界が電気自動車の普及に舵を切ると宣言したことをきっかけに需要量も予測でき、社内の取り組みも活発化しました。社会や時代背景とマッチし「分散」という当社のコア技術が優位性を持ったことで、実用化のフェーズが見えてきました。効果が目に見え、社会的意義もあるこの取り組みは、研究に従事する技術員のモチベーション向上にもつながっています。

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