実装技術開発のミッションは、半導体製品をカメラ等の最終製品に搭載するモジュールの実装技術(構造設計・開発)をすることです。
実装技術開発の中でも私が所属する部署の役割は、実装技術を進化させることでカメラモジュールの性能を最大限に活かし、スマートフォン等の製品の進化につなげることです。
業務内容はモジュール部材の設計からプロセス開発、不良解析、テスト評価など多岐にわたります。私が担当しているのは、ソニーのイメージセンサーを基板に接合(ボンディング)するプロセスの開発であり、イメージセンサーや各種部材を組み立ててカメラモジュールをつくる工程の中でも性能に大きく影響する重要な技術です。この技術の難しいところは、単にイメージセンサーと基板が機械的にくっつけばいいというものではなく、材料の反りや熱線膨張の影響、イメージセンサーへのダメージなど、様々な視点を踏まえた安定したプロセスを開発するところです。

カメラモジュールにおいて重要な、イメージセンサーと基盤をつなぐバンプの不具合に対応する中で、実装プロセスを大幅に見直しました。
私が担当する開発プロジェクトにおいて、イメージセンサーと基板を接続するバンプが垂直に押しつぶされず、倒れた状態になってしまうトラブルが発生しました。本来、カメラモジュールにおいては導電性のバンプがイメージセンサーと基板間をつなぐ配線となり、接続されることで正しく動作するように設計されていますが、バンプが倒れた状態では、本来接続されるべき電気の経路が未接続状態になることで正常な動作ができないため、実装プロセスの構築にはこのバンプ倒れの解決が必要不可欠でした。
解決のアプローチとして「ソニーシックスシグマ」というツールを用いて、バンプ倒れが及ぼすプロジェクトへの影響や発生状況を改めて整理し、抽出された因子の中から重要因子を解析した結果、特殊設計されたキャリアで基板を固定するための治工具が適切に機能しておらず、実装プロセスの見直しが必要だとわかりました。そこで、特殊キャリアが基板を固定する力を理論的に考察し、キャリア材料の見直しや治具形状、各寸法を最適化することでこのトラブルを解決しました。

時代の最先端を行く高品質なイメージセンサーで世界トップシェアを維持し続けるソニーグループにとって、将来を見据えた先行技術の確立は非常に大きな意義のある業務だと感じています。
私はカメラモジュールの実装技術の中でも特に接合まわりのプロセス技術開発に携わっており、2つのやりがい・面白さを感じています。
①理論と現場の両面からプロセス開発に携われるところです。私の部署にはバンプを立てる装置やフリップチップボンディングでイメージセンサーを基板に接合する装置を自分でクリーンルームに入って操作出来る環境が整っています。そのため、実際に自分の手を動かし、自分のアイデアを目に見える形で反映したモノづくりをすることが楽しいと感じています。
②最先端の技術の開発に携われるところです。自分の考えたアイデアが将来のカメラモジュールの進化に貢献できることは技術職として非常に大きなやりがいにつながっています。
