データサイエンスのミッションは、数理計算を駆使した予測や制御、分類のモデル構築や、システム開発です。主に「VM(仮想計測技術)技術」により、リアルタイムで製品の特性を予測し、歩留まりや品質の向上に貢献しています。
データサイエンスでは「VM」を、製品の特性の予測だけではなく、製造工程における「装置」の特性を予測することにも活用しています。たとえば、半導体の製造工程にある、ウェーハを加工する装置から得られる装置信号(処理温度、圧力、薬液情報)や、前作業時の出来栄え(配線幅や膜厚等)の情報をデータセットとして用い、様々な機械学習や統計手法を掛け合わせることで、作業後の出来栄えの予測を行っています。事前に出来栄えや特性に対して管理値を設定しておき、管理範囲を超えた異常を検知することで、未然に不良品が大量に出ることを防止することができ、結果として製品の特性の安定化につなげることが可能になります。

最近では、イオンインプランテーションのイオン注入装置に対して「VM-EQC(Equipment Quality Control)」の導入を担当しました。
これまでイオン注入処理時には、プロセスの出来栄えは未測定であり、EQC未実施期間に製品が流動した場合に大量不良の危険性がありました。VM-EQC技術を導入することにより、製品着工ごとにEQCを予測することができ、装置変動の早期検知が可能となりました。結果として、大量不良の未然防止だけではなく、EQC予測結果を別の特性予測へと活用することもできるようになりました。
実際に取り組んでいる時には、データサイエンス技術部メンバーだけでは解決できないことも多いため、プロセス技術部やFAシステムメンバーと密に連携することで、データをやみくもにインプットして機械学習するのではなく、それぞれのドメイン知識やデータセット周辺の理解を行うことで、確度の高いデータを用いた予測モデルを構築することができました。

AIなど先進技術の進化に合わせて、高い難易度の技術に挑戦し、自分たちのスキルを進化している感覚があります。
日々AI技術は進歩していますが、単に最先端の技術を使えば高精度や予測やシミュレーションができるわけではなく、データの前処理やノイズの除去、手法の選択(複雑な非線形性を考慮するのか、条件付きモデルか)など様々な工夫が必要です。その工夫に自分の経験やアイデアを取り入れることができるので、自身のスキルと成果がしっかりつながる感覚にやりがいを感じています。
また入社してからこれまで、より高い難易度の技術に挑戦し続けている中で、データ取得周りの効率が向上するなど、自分の成長を実感しているので、新たな課題に挑戦することの面白さを知ることができました。
