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INTERVIEW
新しい鉄道を建設できる
可能性があるのなら
そのチャンスにかけたい
フィールド:機械
駅を利用する人たちのための機械設備を設計・施工する
伴 京亮
東京支社 設備第一部 機械第一課
理工学部 機械工学科 2018年入社

エレベーター、エスカレーター、可動式ホーム柵、自動改札機といった利用者に馴染みのある旅客設備の他、駅などの空調換気設備、車両のメンテナンスを支える車両検査修繕設備などの計画・設計・施工に関わるのが機械系の仕事。その他、レールの敷設や架線の延線に必要な工事用機械装置の調達や保守も担っている。

※掲載内容は取材当時のものです。

自分の仕事が地図に残ること、地域の発展に貢献できることに
魅力を感じ、鉄道業界を志す

大学では材料工学、計算力学の研究室でスポット溶接構造について学んでいました。このテーマを選んだのは、その時点で最も興味があった自動車の部品やボディの溶接技術を追求してみたいと思ったからです。理工学部ですからものづくりを仕事にできればいいな、と考えてはいましたが、特定の企業や職種と結びつけて考えたことはありませんでした。

就職活動は鉄道業界を軸に展開しました。「多くの人々の生活を支えるインフラをつくる」「自分の仕事が地図に残り、地域の発展に貢献できる」この2つを実現できる業界はどこかと考え、方向を絞りました。JRTTに決めたのは、鉄道建設の計画から施工までのすべてに関わることができる点に魅力を感じたからです。社会的インフラに関わる業界・企業の方向性が維持管理へ向いていることは十分に理解していましたが、新しい鉄道を建設できる可能性があるのなら、そのチャンスに懸けたいと思いました。

私の地元は千葉で新幹線とは縁がないのですが、学生時代から全国を旅行し、新幹線の開業によって発展した地域も訪れましたので、面接ではそういう仕事がしたいと伝えました。アピールしたのはコミュニケーション力です。私は学生時代、地元の小さな学習塾で勉強する意思のない中学生に勉強を教えていました。仕方なく塾へ来る子どもたちといかにして信頼関係を築き、やる気にさせたか。そんな話をした記憶があります。

機械系職員として入社した私の最初の仕事は、2019年11月に開業した相鉄・JR直通線の開業準備です。開業まではまだ1年以上ありましたが、鉄道建設プロジェクトとしては終盤。私は先輩のサポートを受けながら、開業に向けた機械設備(エレベーター、エスカレーター、可動式ホーム柵、自動改札機など)の検査・試験、機械設備を使用する鉄道事業者への説明、開業イベントの準備などをおこないました。

「全国的な異動があること、早ければ入社1年目から施工監理担当として現場に出ることは選考段階で聞いていました。心配よりも楽しみの方が大きかったですね」
初めての施工監理は、相鉄・東急直通線の新横浜駅、
新綱島駅の機械設備工事

その後、2023年3月開業の相鉄・東急直通線の新横浜駅、新綱島駅の機械設備の設計業務と発注準備業務を先輩から引き継ぎました。具体的な仕事は、外部の設計コンサルティング会社への図面や設計計算書の作成といった設計業務の発注とそのチェック、予算と目的に応じた機械設備の仕様策定と工事施工会社への発注、開業以降、機械設備の運用・保守をおこなう鉄道事業者との配置などに関する協議などです。

鉄道事業者との協議において、新人が意見を求められることは多くはありません。しかし、いずれは発注者側の機械系職員の代表として参加し、主張を通さなければならない日が来ると聞いていましたので、毎回、緊張感を持って議事録を作成していました。疑問に感じたやりとりや、聞いたことのない専門用語もすべて書き留めて文献やネットで調べ、それでも分からないことだけを先輩・上司に教わるようにしていました。JRTTでは入社後の集合研修以外にも定期的なフォローアップ研修がありますので、横浜本社に集まったときは同期入社の仲間と情報交換していました。先輩には気軽に話せないこともあるので、同期の仲間の存在は心強かったです。

施工監理担当として新横浜鉄道機械建設所へ配属されたのは、2年目の秋。自ら設計・発注した新横浜駅、新綱島駅の機械設備工事が、私にとって最初の現場となりました。JRTTの施工監理業務で多くを占めるのは、作業をおこなう工事施工会社やメーカーの技術者、JRTTの他系統(電気・土木・建築)の職員とスケジュールや設計変更、機材の搬入経路などについての協議。現場での話し合いによって落とし所を見つけていきます。

落とし所を見つけるには、相手の話を聞くだけでなく、根拠を示しながら主張する必要があります。主張しなければこちらが抱えている問題を理解してもらうこともできません。新人や現場経験の浅い職員にとっては難しい仕事で、私も当初は試行錯誤の連続でしたが、上司をはじめ周りにいるあらゆる人に教わりながら知識を蓄え、技術を知って信頼関係を築いていきました。

2年目の秋まで東京支社で設計と発注をおこなっていた伴さん。「聞けば何でも教えてくれる先輩、何でも話せる同期の仲間のおかげでいつも前向きに仕事ができました」
搬入経路がどんどん少なくなっていくなか、
難しい判断を迫られる場面が続いた

この初めての現場で最も困難だったのは、新横浜駅の機械設備の搬入に伴う工程管理です。新横浜駅は環状2号線の地下33mの場所にホームが位置する4層構造の地下駅で、私が建設所に着任した時点では地下に巨大な倉庫ができたような状況。まだ4層構造にはなっておらず、コンクリートの打設も完了前。環状2号線の地上部分には大きな口が開いていました。

機械設備の搬入作業が始まったのは、それから1年以上も後のこと。すべての工事が本格化しており、狭くなった搬入開口を土木、建築、電気と交代で使用する必要がありました。地下の搬入経路も壁や床の施工が進むと使えなくなるので、その前に搬入を完了しなければなりません。また、エスカレーターやエレベーターの製作は最長で半年かかるため、各部門の工程表を確認し、半年後の現場を想像してメーカーに製作を依頼する必要がありました。工場では予定通りにエスカレーターの製作が終わったのに、工事現場の受け入れ態勢が整っていない場合、エスカレーターの保管場所の確保と費用について協議するのも、JRTTの技術者の仕事の1つ。搬入経路がどんどん少なくなっていくなかで、何を優先して他部門とどう折り合いをつけるか。難しい判断を迫られる場面が毎日のように続きました。

だからこそ、すべての機械設備の搬入を完了したときは本当にうれしかったですね。これから先も忘れないと思うのは、エスカレーターの搬入工事に立ち会った日のこと。照明に照らされた環状2号線の真上で鉄製の大きなトラスがクレーンで吊され、地下に下ろされていくのを見たとき、入社前に考えていたことが叶ったと思いました。

現在は、新横浜駅、新綱島駅の開業準備と契約変更の手続き、しゅん功手続きをおこなっています。開業準備は、鉄道事業者を含めた検査のスケジュール調整や立ち会い計画の立案など。契約変更手続きは、設計変更が生じた場合に、金額面をはじめ、工事施工会社との契約内容を見直す手続きのことをいいます。しゅん功手続きは竣工に伴う事務処理で工事の終了を見届ける業務です。

行政や消防署の検査なども残っていますが、鉄道事業者をはじめ関係者の方を現場へご案内し、自身が設計・施工に関わった機械設備を見るたびに誇らしく感じます。
開業には新横浜駅で立ち会う予定です。開業を迎えたときには生涯忘れない感動があると先輩たちから聞いていますので、本当に待ち遠しいです。

2つの新駅の設計から施工監理までを担当した相鉄・東急直通線の開業準備を進める伴さん。「叶うなら、開業を見届けた後は北海道新幹線の機械設備を施工してみたいですね」

MESSAGE

学生の方へメッセージ

私自身、入社前はあまり気にしていなかったのですが、JRTTはワーク・ライフ・バランスをとても大切にしている職場です。たとえば年次有給休暇は年間20日(夏休みを含むと27日)。新卒職員も4月から取得できます。施工現場では不測の事態に対応できるよう、同じ工区を担当している先輩と休暇が重ならないように調整する必要がありますが、オン・オフの切り替えが容易な環境です。

施工監理担当に必要なのは、現場で直面した課題と向き合い、ひとつずつ解決していくこと。新人の意見を真剣に聞いてくれる上司、困っている人がいれば助けずにいられない先輩たちが近くに必ずいますので、それさえ忘れなければ技術者として成長できると思います。また、課題に直面するときは想像以上に早くやってくることも胸に留めておいてください。

学生時代に身につけておいて損はないと思うのは、物事の本質を理解して相手に順序立ててわかりやすく伝えられる、という意味でのコミュニケーション力です。研究発表など通じて身につけることができると思いますので、自ら機会を作って取り組んでみましょう。また、機械に興味がある方は新幹線や都市鉄道の機械設備について調べてみるのもいいですよ。

伴さんが設計、施工監理業務で携わってきた相鉄・東急直通線は2023年3月に開業。「お近くの方はぜひ、地下33mの新駅を利用して、そのスケールを感じてみてください」