将来、どこまで自分自身のキャリアに対する理想の実現を目指すか。どれくらい家族や恋人に合わせた選択をするか。キャリアについて考えると迷ってしまうことがきっとあるだろう。
そしてもし自分の大切な人が住んでいるのが日本ではなく海外の場合、その人との関係をどう続けるかだけでなく、きっと自分自身のキャリア選択にもさらに大きな悩みが伴うはずだ。そんな国際的な恋愛経験を持つ人生の先輩たちは、困難な状況に対して、何を大事に選択してきたのか。恋愛もキャリアも諦めない、最高の人生の送り方について探っていきたいと思った。
そこで今回は、実際に国際結婚や、海外での結婚生活を送ったことのある3人の方々に取材を実施。ご自身の人生における選択についてお話を伺い、キャリアの実現と、家族や恋人と一緒にいることを両立することのヒントを探してみる。
1人目:松本直子さんの場合
松本直子さんはご自身が「国際結婚をしたい!」と思い、国際結婚相談所を探したところ、そういったサービスが見つからなかったため、国際結婚&海外結婚相談所TJM を設立。 その後、日本国内での国際結婚相談所の運営に限界を感じ、英語のコミュニケーションスキルを学ぶため、アメリカへ渡航し現地での起業を模索。
2006年に、ロサンゼルスで現在の旦那さんであるドイツ系アメリカ人の男性と出会い、国際結婚の夢をかなえた。2009年に第一子の海外出産を経験、子育てをしながら本格的にマッチメーキングの事業の世界展開を開始した。2010年から、世界の様々な都市で外国人男性と出会うための婚活イベントを現地で実施したり、女性の意識向上のためのファッションやカラーコーディネートのセミナーを開催したりしている。
現在はオンラインを中心に出会いのイベントや婚活セミナーを実施。さらなる事業拡大のため、国際結婚をしている海外在住日本人女性の働く機会を提供するために、マッチメーカー養成講座も企画。海外の日本人を幸せな結婚へ導く目標に向け、日々邁進している。
松本さんは「サラリーマンにならなくては」という一般的な生き方にとらわれず、柔軟に、自由に生きてきたことが、恋愛とキャリアの両立に関する悩みを減らすのに役立ったと話す。また「恋愛もキャリアも、どちらも選びたい」という考えに対し、松本さんは、「キャリアも恋愛もしたい人は、どうしても恋愛や出産のほうがタイムリミットがあるから、恋愛を優先した方がよい場合もある」と語る。
国際恋愛専門の結婚相談所を利用し、国際恋愛をしている人の中には医師など日本でしか使えない資格を持つ場合、パートナーが日本で職を見つけにくいことも多い。そんな場合は、「女性側が大黒柱になる」ということもある。他にも、「FIREしたり投資で生活する」、「職場復帰しやすい国の場合、一旦キャリアを手放し、子育てし、子供が成長してから復職する」「独立起業をする」「プログラマーやエンジニアなど、リモートで働ける職種や環境で働く」などの道を選択し、パートナーとともにいながらキャリアも叶えることを実現しているそうだ。
松本さんご自身は、「海外で通用する語学力と起業スキルを身に着けてパートナーがいる海外で暮らす」、「恋愛とキャリアに悩むくらいなら、恋愛もキャリアにする」という生き方をしている。そして恋愛をキャリアにできる人をさらに増やすことで、さらに多くの人が国際的な恋愛とキャリアが両立できるようにサポートしている。
2人目:鈴木さん(仮名) の場合
高校時代にイギリスへ短期留学した鈴木さんは、その後アメリカの大学に進学した。卒業後は日本で留学斡旋業者で2年、アメリカで日本の旅行会社の社員として数年働いたのち、日本で海外の大使館の職員として働き始めた。日本にいながら海外の環境で働ける環境に魅力を感じ、続けている。
ブラジル人のパートナーとは言語交換アプリで出会い、友達として始まった関係は、最初は結婚に前向きでなかった旦那さんに2年間毎日プロポーズする日々を経て、やがて人生の伴侶へと変わっていった。
どこを生活の拠点とするか考えていくうえで、鈴木さんご自身が日本語と英語、旦那さんがポルトガル語と日本語を話せるということから、どちらも働くことができる日本を選んだ。また子どもが生まれてからは、育児環境の面でも日本が最適だと考えている。
パートナーがいて良いことや楽しいこととして、チームメイトのように、相談し合ったり、家事などを進めていったり、苦手なことを補い合ったりできることを挙げられていた。他にも、大学でインターナショナルコミュニケーションを学んでいたこともあり、パートナーとの違いを楽しめるという。それだけでなく、話をたくさん聞いてもらって心の支えとなったり、仕事がつらくて辞めたくなったときにも助けてくれたりと、どちらかが沈んでしまうようなときに助け合えることが良いと語る。「キャリア」と「恋愛や家族との暮らし」は相互に支え合っている。
鈴木さんは恋愛に限らず、人生における選択において自分が何をしたいかをしっかり考え、多少反対されても自分で決断することで、覚悟を決めることができてよいとお話しいただいた。
3人目:飯野さんの場合
飯野さんは東北大学の分子科学工学科を卒業後、東京大学大学院を卒業し、アメリカや、日本の大学や研究機関、オーストリアでの勤務や海外でのMBAの取得の経験を経て、現在はUNIDO(国連工業開発機関)タイ地域事務所の所長としてタイで働いている。
飯野さんは、奥さんがカウンセラーの資格を持っていて、英語も話せたため、英語が通じる国ではどこでも働くことができ、一緒にいることができた。また、奥さんが日本に住みたくないという希望もあり、それに合わせて働く場所を選んだりもした。本人も奥さんも、協力してどちらもしっかり子育てに取り組んだことで、子どもとオープンでなんでも話せるような関係を作ることができたという。
国連やその他の飯野さんが働いてきた職場では、国際恋愛や遠距離恋愛をしている人が多かったそうだ。そのような人たちは、女性側が主で稼いで旦那さんが支えていたり、パートナーがどこでも使えるようなスキルを持っていたりする。また働く組織の理解により、働き方や勤務地を配慮し、配偶者のリクルートまでも支援してくれることもあるそうだ。
そこでは恋愛をうまくできることは個人同士が幸せになるだけでなく、社会的にも価値があるという考えが共有されている。日本は学歴社会であるということもあり、学生時代は勉強が一番重要な価値であるかのように育てられることも多いが、対人関係を築く能力というのは、新しいものを創り出すことを大きく支えるため、経済や国の発展にとても役に立つという。
また、人と話し合う、ということは問題解決に重要で、目まぐるしく変化し、先が見えない様々な課題を抱える今の時代には欠かせないことである。その、「人との関わり」の第一歩として、パートナーとよい関係をつくれる、というのは大事な価値のあることだと認識されている。
経済発展すると結婚する人が減り、高齢化が進む傾向は世界各地で見られるが、経済発展もしつつ恋愛・結婚する人を減らさない方法はいくつかあるそうだ。例えば、北欧では、「女性が男性の転勤などについていかないと」「男性が家計を主に支えないと」という日本ではまだ多いアンコンシャス・バイアス(無意識の思い込み)が弱いため、柔軟な夫婦やパートナーの働き方を受け入れることができ、働きながらもうまく恋愛・結婚生活をやっていけるようだ。
他にも、プロムのように公的にでも、非公的にでも、もしくは社会的な空気間でも、学生時代にパートナーと関わり、楽しむように皆の目を向けさせられる機会や、どう人と付き合うか、どう相手を尊重するか、どう関係を続けていくか、どう対立を乗り越えるか、など対人スキルをアップできる機会があることが有効だそうだ。
3人へのインタビューを終えて
今まで私は「勉強が得意な人」として生きてきた中で、「学力を上げることこそがゴール」、「恋愛なんて勉強の邪魔、必要ない」という人が周りに多い環境で育ってきた。また結婚して家庭に入ることだけが幸せでなく、キャリア達成することが幸せ、という考えにもこれまでよく触れてきた。
しかし私自身はいくらテストで高い点数が取れても、恋愛が捗らないと十分に満たされている実感を得られず、「たしかにキャリアも大事だけど恋愛ってめっちゃ必要じゃない!?」と感じてきた。
幸せになるために、いかにも必要そうなキャリアの情報は記事やイベント、ビジネス書などでたくさん得られる。一方で仕事と恋愛をどううまくやるか、の情報はほとんどないから、今回は充実したキャリアを築いてきた方々に、あえて仕事のことでなく、どう恋愛をうまくやったのかを聴かせていただいた。
すると、グローバルに活躍している人の中には恋愛や結婚生活が自分の仕事の支えになっており、仕事を頑張ることで恋愛や結婚生活もうまくいくと考えている人も多くいる。恋愛かキャリアで悩むのではなく、「恋愛をキャリアにする」という選択をした人までいる。
私の今までの考え方とは違い、「学力や仕事といった社会的な成功」と「恋愛」は対立しているものとは限らず、お互いに高め合い、補い合うことができることがわかった。
受験生で、恋愛に興味がなく、勉強に一筋である人をうらやましく思う。頭がいい人はそんな色恋沙汰に興味がないというステレオタイプや周りの空気に嫌気がさしている。そんな昔の私や同じような恋する男の子・女の子に伝えたい。
恋愛は邪魔者じゃないのだ。むしろ仕事の材料にしたり、モチベーションを上げたりと、あなたのとっても強い味方なのだ。
しかも恋愛を大切にできるあなたは優秀なのだ。
たまに恋愛かキャリアかで悩んでしまうことがあっても、解決する方法はきっとある。
自立していて王子様なんていらない強いプリンセスもあり方として素敵だけど、自立していて勉強や仕事もできるけど王子様がいないと病むし、無理、っていうプリンセスも素敵なあり方だ。全く悪くないし、全く弱くない。
今回学んだ、お三方の恋愛もキャリアも楽しむ生き方を参考に、楽しいよくばりライフを送っていきたい。
次回は「AIと恋愛」をテーマにする。そもそも恋愛って何?というのを私の専攻分野であり、最新のテクノロジーでもあるAIを通して考え直そう。