小さいサービスエリア・パーキングエリアほど地域性豊か⁈

 ほのかに香るコーヒー、食堂からの少し脂っこい匂い、旅へと向かう人々の熱気。サービスエリアとパーキングエリア(SA・PA)はたくさんのものが入り混じった少し雑多な雰囲気がする“地域の推し”が詰まった場所。

 その中でも世間から注目されやすいのは、大規模のSA・PAであると思う。でも、SA・PAの規模が大きすぎると、その地域からは離れすぎた場所のお土産が大量に並んでいたり、どこでも食べられるようなチェーン店が入居していたり、全然関係のないディスカウントストアが入っていたりすることがあり、私が求めている"地域の推し"というものが薄れてしまっているなと感じることがある。

 そう。私は“地域の推し”がより分かりやすく詰まっているのは中小規模のSA・PAではないか思っている。

 まず、ここで定義している中小規模のSA・PAとは、中規模→売店と食堂、小規模→トイレと自販機というような規模感のイメージである。ここで少し豆知識。皆さん、SAとPAの違いは知っているだろうか。規模が大きいほうがSAで小さいほうがPAと思われているのではないだろうか。それも定義として間違いではないのだが、正確にはSAとPAの違いは距離である。交通量により差はあるが、SAは約50KMごと、PAは約15KMごとに設置されている。江戸の街並みをモチーフにした大規模なエリアがPAで、トイレだけの小規模なエリアがSAなんていうこともたまにある。

 もう一度言おう。私は小さなSA・PAが大好きだ。

 SA・PAが好きだと言ったとき、かなりの確率で聞かれる質問「なんで好きになったの?きっかけは?」。私は、これを問われるたびに好きになった理由を探している。しかし、まったく思い出せないのである。思い出せる気配すらない。

 でも、振り返ると、幼稚園生くらいのころからSA・PAに対する執着はあったなと思う。昔、お盆や正月に祖父母の家がある愛媛県まで、家族で帰省をしていた。そのときに、瀬戸大橋を渡る道中にある与島PAによって、うどんお子様ランチを食べるというこだわりがあったらしい(父が道を間違えて立ち寄れなかった際、大癇癪を起こして大変だったそう…)。そこでしか食べられない美味しいうどんを食べているという満足感に浸っていたのだろう。当時の私にとって、愛媛県までの長い長い道のりの中で、SA・PAがひと時の休息になっていたのかもしれないし、うどんという香川名物を食べて“地域の推し”を感じるきっかけになっていたのかもしれない。
 このような感じで、愛媛までの帰省がSA・PAを好きになる引き金となったことは確かであると思う。好きになった理由を探していたけれども、小さいころは与島PAに立ち寄ることだけをこだわりとしていたものが、ほかのSA・PAまで興味の幅が広がったというだけの話で、好きになった明確な理由があるわけでもない気がしてきた。私にとってSA・PAを好きになるということは、自然な流れだったようにも思う。

 “地域の推し”がわかる場所として小さいころから関心を寄せていたのかもしれない。

 では、なぜ今も好きなのか。高速道路の歴史や地域の魅力からイベント開催まで、とにかく多方面を網羅していて、立ち寄るだけで楽しい。気分が上がる。目的地に向かう途中で不意に現れるという特別感。SA・PAのみでしか感じたことのない独特な高揚感に包まれる。高揚感がどこから来ているのか考えてみた。それぞれにお土産だったり、建物だったり、掲示板だったり、何らかの“地域の推し”や特色がある。この高揚感は、次のSA・PAでは、どのような特色、個性があるのだろうという好奇心・探求心と少しずつ目的地の地域へ近づいていっているという何となくの感覚がSA・PAの商品を実際に見ることにより、明確化されることから来ていると思った。

 昨今、メディアや高速道路会社がSA・PAを目的地にしようという動きをよく話題にしている。しかし、これをしてしまうと私の感じている高揚感はなくなってしまう。私、一個人としてはSA・PAを旅のプロローグまたはエピローグに使いたいと思っている。道を進むにつれて変わる特色や地域性の変遷を楽しみたい。高速道路は旅の最初と最後に使うもの。プロローグでは目的地に近づいていることを実感する場になり、エピローグでは旅の楽しかった思い出を、ご当地ものから振り返り、まとめる場になる。

 こういうとき、中小規模のSA・PAにも立ち寄ってみてほしいなと思う。コンビニエンスストアの一角に設けられたお土産スペースや狭い売店スペースに並べられたお土産たち。それでは、品ぞろえが少ないのでは?ネガティブキャンペーンでは?と思われたかもしれない。品数が少ないからいいのである。品数が少ないからこそ、本当に食べてほしい、手に取ってほしい一品が並んでいると思う。そこに並んでいる商品は地域の“最”推しなのではないだろうか。

 例えば、中国自動車道の勝央SAには、岡山土産がコンパクトにまとめられている。最も目につきやすい場所には地元である岡山県津山市銘菓の柚子風味の白餡を皮で包んだ「桐襲(きりかさね)」が並んでいる。横には岡山名物「きびだんご」がある。津山市という少しマイナーな都市のお土産が、かなりのスペースを締めているのが、地域性があって、とても面白い。地域性という点から見て、万博土産と関西土産が少し申し訳なさそうに並んでいることには目を瞑るとしよう。

 地域の“最”推しがわかる手段のもう一つに建物があると思う。阪神高速道路3号神戸線の京橋PAは南京町の中華街が近くにあることから、赤を基調とした中華風の外観になっていたり、京橋PAと書かれた横に你好と書かれていたりする。

 このように、中小規模のSA・PAには魅力が詰まっている。普段は、トイレを使って終わりかもしれない。しかし、SA・PA、特に中小規模のSA・PAに立ち寄った時、建物や売店に少し目を向けてみれば、単なる休憩ではなく、あなたの旅に少しアクセントを加えてくれるだろう。あなたもSA・PAで“地域の推し”を感じてみてほしい。

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