だれもが知ってる、
「通学電車」の知らない仕事

通学や通勤で、人々が毎日当たり前のように使っている電車。この電車の運行には想像以上に多くの企業や仕事が関わっています。今回は、だれもが知っている電車を入口に、皆さんがきっと知らない仕事を紹介していきます。

電気や水、ガス、インターネット、さらに今回の電車のように、皆さんの毎日の暮らしに欠かせないサービスをつくったり、提供したり、支えたりしている企業のことを“インフラ企業”と呼びます。このインフラ企業は、常にあって当たり前のサービスを提供しているため、いざ、「やりたい仕事はなんだろう?」と自分の興味から会社を探す時にはなかなか選択肢に浮かばない学生も多いのです。でも、このインフラ企業は社会貢献度が高く、業績も安定しており、やりがいある仕事に長く関わりたい人にはとってもおすすめ。自分の一日の生活を朝から思い出し、「毎日必ず使っているものは、どこが提供しているのだろう?」「その提供しているインフラ企業の周りには、どんなインフラ関連企業があるだろう?」と世界を広げるのも一つの手です。

山手線は当社製。
みんなの乗る車両をつくる仕事。

今回お話を聞いた社員さん

原田 篤弥さん
株式会社総合車両製作所

2020年入社の7年目。初期配属は新津事業所(新潟県)の構体課で、2年ほど車両の構体製造に携わる。その後、1年の出向を経て、横浜事業所(神奈川県)の検査課に配属。そこで車体検査や完成した車両の機能検査を担当。2025年3月より入社以来希望していた海外事業本部へ配属。現在は海外事業本部の製造戦略グループで、フィリピンのマニラ南北通勤線の延伸プロジェクトで案件履行の業務を担当している。
※取材当時の情報です。

通学電車と
どう関わっている?

国内には大手鉄道車両メーカーが5社ありますが、当社は関東圏を中心に公民鉄や東日本旅客鉄道株式会社の車両を手掛けています。皆さんにも馴染みの深い山手線は、全車両を当社が製造しています。ほかにも横須賀・総武快速線の新型車両や、中央線に導入された2階建車両、また北陸新幹線もあります。2019年度には車両製造の国内シェア No.1になり、横浜事業所と新津事業所で、年間で最大400両ほど製造しています。製造期間は6〜9ヶ月程度かかります。ちなみに、現在通勤型車両で多く取り入れられている、ステンレス車両の原点は当社なんです。日本初のオールステンレス車両を1962年に発表しました。オールステンレス車両は美観性が高く、腐食性が低いためメンテナンスがしやすく、耐久性にも優れています。現在はより環境に配慮したディーゼルハイブリッド車両や、水素ハイブリッド車両も登場しています。日常で目にしている車両は完成した状態なので、私たちの仕事は直接皆さんの目に触れることはないですが、じつはとっても関わりの深い企業なんですよ。

どんなところが、面白い?

当社の総合職は入社後、ものづくりを学ぶという観点から技術系・事務系共に製造部門からキャリアをスタートさせます。私も新津事業所で車両の床部分にあたる台枠の製造に2年ほど携わり、溶接を用いた組立て作業を担当しました。手順書と図面を基に造りますが、現場で作業をしてみると、予想外のこともあります。先輩に相談したり、現場から声を上げたりすることで、効率化や改善につながることもあります。車両製造は人の手による工程も多く、自分も入社するまで知らなかったので驚きました。現在は、念願叶って海外事業本部でフィリピンのプロジェクトを担当し、車両のリスク分析や試験を行なっています。日本の鉄道技術が認められ、日本の規格で進めていますが、それでもお客様からのご要望にお応えしながら、うまくバランスを取って進めていく必要があります。まさに0からインフラをつくっていく、貴重な経験をしています。海外のプロジェクトはほかにも複数の案件が同時に動いていて、挑戦しがいのある環境です。

入社のきっかけ

ものづくりの上流から下流まで。
鉄道業界を牽引する
存在に魅力。

鉄道に憧れ、ものづくりに一貫して携われる企業を探していたところ、関東圏で唯一、車両製造工場を構え、さらに新幹線も手掛けている点に惹かれました。歴史や伝統もあり海外展開していること、また鉄道業界を牽引する存在であると感じ入社を決めました。社名からは何をしている企業か想像がつかなかったので(笑)、リサーチする大切さを実感しました。

会社の好きなところ

手を挙げれば、
チャンスが巡ってくる。
成功も失敗も
実体験から修得できる。

少数精鋭で、任せてもらえる機会が多いため、成功も失敗も身をもって経験できます。もともと海外事業に従事することを希望していたため、実現に向けて電気関係の知識や車両システムを学びながら、ステップアップできるよう経験を積ませてもらい、入社4年目には3ヶ月のフィリピン出張も経験させてもらいました。挑戦する人を応援してくれる会社だと思います。

鉄道の安全を守り抜く
システムや装置を生み出す仕事。

今回お話を聞いた社員さん

H.O.さん
株式会社京三製作所

2015年入社。新入社員研修を経て開発技術部に所属し、制御機器に搭載する制御ボードの設計業務を担当。その後2016年に、入社以来希望していた、ホームドアを担当する信号事業部第3技術部に配属され、現在は信号事業部プラットフォームセーフティシステム部でホームドアの設計業務を担当。大学時代の専門分野でもある電気系の設計に携わっている。
※取材当時の情報です。

通学電車と
どう関わっている?

画像はイメージです

当社はひと言でいうと、鉄道運行の安全を担う企業です。「運行管理システム」をはじめ、線路に設置し列車の通り道を切り替える「転てつ機」や人々の安全を守る「踏切しゃ断機」「ホームドア」といった設備、さらには列車が制限速度を超過した場合や緊急時に自動的に列車の速度を制御する「列車制御装置」なども手掛けています。たとえば、運行管理システムは線路上を走っているすべての列車の位置情報をリアルタイムで把握するものなのですが、列車の正確な位置に合わせて進路を制御し、信号や転てつ機を作動させることで、安全でスムーズな列車の走行を支えているのです。私も入社するまでは、列車が時刻通りに来るのは当たり前と思っていましたが、その裏には、様々な装置の支えがあることを、この会社に入社して知りました。皆さんの目に付くものから、見えない所まで、それらすべてが連動し、初めて安全な鉄道運行が実現する。毎日、始発から終電まで、何一つ欠かすことができない装置やシステムを生み出していることに大きな誇りを感じています。

どんなところが、面白い?

現在、私はホームドアの設計を担当しています。ホームドアは扉が開閉するだけと思われがちですが、制御するソフトウェア(情報)分野、各機器を動作させるための電気分野、ホームドア本体の機械分野の様々な技術が必要です。近年異なる路線の相互乗り入れが増えていますが、列車の規格は様々で、ドアの位置や大きさが一律ではありません。すべてのドア位置に対応するために、単に扉を大きくするだけだと隣のドアに干渉するため、スライド時に小さく納める工夫が必要です。ホームドアの強度、重さ、機能、さらには各駅特有の設置条件などを繰り返し検討し、お客様との綿密な打ち合わせを経て仕様を固めていきます。その後生産に半年程度、検査を経てようやく設置です。旅客がいる時間帯は作業できないため、終電から始発までの夜間に行います。現場の環境にもよりますが、だいたい2週間〜1ヶ月かけて、調整と現地での検査を経てようやく稼働です。時間がかかった分、いちばんうれしい瞬間ですね。

入社のきっかけ

安心・安全と
ものづくりへのこだわり。
OB訪問も、
企業理解の手助けに。

もともと鉄道インフラに興味があり、列車を動かす装置に携わりたいと考えていました。大学の先輩から京三の話を聞き、興味を持ったことが直接のきっかけです。ホームドアは入社時からの希望です。多くの方の目に留まり、安心・安全を守ることを自身でも実感しやすく、やりがいも大きいと感じています。2000年に運用が始まり、これまで14,000開口以上の納入実績がありますが、さらなる拡大に向けチャレンジを続けたいです。

会社の好きなところ

責任感が強い、仲間。
お客様との信頼関係も深い。

安全に真摯な社員が多いですし、みなさん責任感が強いと感じます。お客様とも信頼関係を大切に、長期的なパートナーとして、課題解決に貢献していく文化があり、誇りを持って仕事に取り組める会社です。お客様とのやりとりの中では、社会インフラを保有する事業者側の観点から、メーカーには無い視点の話も伺うことができ、新しい価値観も発見できて勉強になります。

ミリ単位で列車を足元から支える。

今回お話を聞いた社員さん

古屋 裕太さん
東鉄工業株式会社

2023年入社。横浜支店横浜出張所に所属し、線路のメンテナンス工事における施工管理を担当。工事計画の策定や施工計画書の作成、材料手配などを通じ、協力会社とともに列車の安全・安定輸送を支える。
※取材当時の情報です。

通学電車と
どう関わっている?

線路って、列車が走るたびに少しずつ歪んだり、レールが摩耗するのをご存じですか? 私たちの仕事は、列車が走らない深夜にそうして消耗した線路をメンテナンスすること。いわば、毎朝の定期運行と乗客の安全・安心を足元から支える仕事なんです。線路部門のある支店は関東を中心に8つあり、それぞれの支店ではJR東日本の保守エリアを中心にメンテナンスを実施し、他の鉄道事業者のメンテナンスも担当しています。私が所属する横浜出張所では、毎晩5~6か所の工事を協力会社と共に施工しており、私はその工事計画や材料手配、産業廃棄物の処理など、現場がスムーズにいくための準備と資料の取りまとめを行っています。メンテナンス工事の一環としてレールやまくらぎ、道床バラストなどの軌道材料の交換や、その仕上がり状態の確認なども行うのですが、一つの数字を間違えるだけでも列車の脱線や、快適な運行を損なう恐れがあります。万が一にもそんなことを起こさないよう、社内での確認体制を厳重にしています。

どんなところが、面白い?

レールやまくらぎなどの軌道材料は大きく重たいものなんですが、敷設する際にはミリ単位での精度が求められます。たとえば、軌間と呼ばれる左右のレール同士の幅は、JR東日本の在来線では1067mmという規定値があるため、その幅は常に一定の値に収まっていなければいけません。他にも、列車の進行方向に対する高低差の歪みや、横方向に膨らむような歪み、左右のレールの高さの差などが、大きくなると最悪の場合は、列車の脱線に繋がる恐れがあります。その安全性を担っているわけですから、常に緊張感もありますし、大きな責任もあります。でもその分、工事が無事終了することの達成感は大きいですね。現場の夜間作業が終わって数十分後には、始発列車が走る。そんな光景を目の当たりにすると、自分の業務が多くの人の移動や貨物の輸送を支えていることに直結し、社会に役立っているんだと実感します。

入社のきっかけ

鉄道という日本が誇る
交通インフラを支えたい。

大学では、交通インフラを専攻。いずれは鉄道という日本が誇る交通インフラを支える仕事がしたいと考えていました。ゼミの教授が過去に当社と共同で横浜駅の工事の仕事をしており、授業でよくその話を聞いていたんです。私が横浜出身だったこともあり、「あの時の横浜駅の工事が教授の仕事だったんだ」と興味が湧き、目指すようになっていました。

会社の好きなところ

責任感と緊張感が大きい分、
チームの信頼関係が厚い。

一番は「社会に貢献している」という実感を得られることです。さらに電車の乗り心地の良さでも、自分たちの仕事の成果を実感できる点も気に入っています。また、この仕事はチームの信頼関係がとても大切。私自身はプレッシャーに強いタイプでも、人と話すのが得意なタイプでもありませんが、先輩をはじめ、話しやすい職場の雰囲気も当社の大きな魅力だと思います。

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