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Q テーマ解説
インタビュー

NHKのリソースを自由に使えるとして、25歳以下の若い世代に「公共メディア」としてのNHKの価値をどうやって届けるか考えてください。

日本放送協会(NHK)

園部彩香 さん/ デジタルセンター


今回のテーマは、1950年の設立以来、公共メディアとして日本のみならず世界中に情報を届けている日本放送協会(NHK)さんより出題をいただきました。「NHKのリソースを自由に使えるとして、25歳以下の若い世代に「公共メディア」としてのNHKの価値をどうやって届けるか考えてください。」というテーマについて、出題の背景や企画を考えるうえでのポイントをお話頂いています。

「公共メディア」として、暮らしに必要な情報を発信してきたNHK

─── 今回のテーマについてお伺いする前に、まずはNHKについて教えてください。

園部さん NHKは1950年に設立された長い歴史を持つ放送局 です。受信料で成り立つ公共メディアとして、テレビ・ラジオを中心に日本中、世界中の人々の暮らしに寄り添い、情報を届けてきました。最近では、「安心・安全を支える」「新時代へのチャレンジ」「あまねく伝える」「社会への貢献」「人事制度改革」の5つの重点項目を掲げ、 より時代にあった公共メディアの実現を目指しています。


─── 園部さんの所属されるデジタルセンターでは、どのようなことに取り組んでいるのですか?

園部さん NHKと聞いてテレビやラジオをイメージする方は多いと思いますが、現代では情報を伝達する媒体はこの二つに限りません。デジタルセンターは2018年に新しく発足した部署で、インターネット上でも最新ニュースや災害情報をいち早くお届けする「NHK NEWS WEB」や、ネット同時配信・見逃し配信アプリの「NHKプラス」、各番組と紐づくSNSの企画・運営など、様々な形で時代にあった情報発信をしています。


───なるほど。情報を伝えることを起点にして、活躍の場を広げていたのですね。

若い世代にこそ、これからの「公共メディア」の価値を考えてほしい。

───さて、今回の出題テーマは「NHKのリソースを自由に使えるとして、25歳以下の若い世代に「公共メディア」としてのNHKの価値をどうやって届けるか考えてください。」ということですが、このテーマに至った背景を教えていただけますか。

園部さん NHKは公共メディアとして、すべての世代に合わせた情報を発信することを大切にしてきました。 しかし、若い世代、特に25歳以下の方たちとの接点が急激に減っているという状況にあります。その背景には、インターネットやSNSの発達による、テレビ・ラジオ離れがあります。この世代は、小さい頃はNHKの番組を見て育ったのに、大きくなったらインターネットやSNSから情報を得ることが増え、自然とテレビやラジオから離れてしまった世代です。



個人的にはNHKは若い世代にも興味を持ってもらえるような面白いコンテンツをたくさん発信していると思っていますが、それを知る機会を生みだせていないことに課題を感じてきました。もう一度NHKと触れ合う機会を持ってもらうことで、改めて公共メディアの価値を伝えたい。若い世代にこそ公共メディアに触れてもらい、新しい公共メディアの時代を共につくっていきたい。そういった思いから、今回のテーマを設定してみました。

───園部さんから見て、インターネットやSNSから情報を得ることの強みと弱みはどんな点にあると思いますか?

園部さん インターネットには、テレビやラジオにはない情報の拡散力と、生活への浸透力があると思います。テレビやラジオは、決まった時間にその媒体の前に行かなければ情報を手に入れることはできませんが、ネット環境があれば、いつでも誰でも欲しい情報にアクセスすることができるのは、大きな強みですよね。ただ、膨大な情報から必要なものを取捨選択したり、その情報が正しいかどうかを判断したりするのが自分自身に委ねられてしまうのが、インターネットの難しいところだと思います。そして、その部分にこそ、公共メディアが果たすべき役割があると考えています。

ちなみにNHKにはZ世代の若者についてリサーチし、NHKと若い世代との関わり方を検討するプロジェクト(通称「NABE(なべ)」プロジェクト。コンセプトは「せかいを煮込む」)があります。プロジェクトに関わって感じるのは、人それぞれ異なる価値観を持っているということ。つまり、公共メディアのあり方、捉え方も人それぞれ異なってくると思 います。ですから、まずはNHKの提供するコンテンツにたくさん触れていただき「自分が価値を感じる“公共メディア”のあり方」を考えてみることが、今回の課題に取り組むスタート地点になるのではないかと思います。

NHKのリソースに、あなたの個性を組み合わせてみて。

───テーマの中に「NHKのリソースを自由に使えるとして」という言葉があります。NHKの持つリソースの強みについて教えてください。

園部さん NHKの持つリソースは大きく3つに分けることができると思います。 一つは広範なネットワーク力、二つ目は多様なコンテンツ力、三つ目は膨大な文化的知見と技術的知見です。まず、ネットワークについて。NHKは公共メディアとしてあらゆる情報を集め、広く、あまねく伝える役割を持っています。各都道府県、さらには世界各国に取材網を 持っており、現地のリアルな声を拾い、情報をより迅速に正確に届けることを可能としています。これほど、世界の情報に手が届く環境があるというのは、NHKの大きな強みだと思います。

次に、コンテンツ力。上に挙げたネットワーク力を駆使して、毎日途絶えることなく情報を発信しているNHK。ニュース、福祉、ドラマ、バラエティ、教育、趣味など、視聴者のあらゆるニーズに応えたコンテンツを企画・制作できるのもNHKの魅力ですね。ここまで多くのコンテンツがあると、必ず一つは自分のお気に入りが見つかるはず。そこを切り口に、みなさんとの接点を考えていくのもいいと思います。

そして、文化的知見と技術的知見について。NHKには、NHK放送文化研究所(文研)とNHK放送技術研究所(技研)の2つの研究所があります。文研では、国内外の放送事情の調査のほか、視聴者の意向を把握する世論調査など時代と社会に向き合いながら、多彩な分野の調査研究に取り組んでいます。 技研は、放送技術分野を専門とする日本唯一の研究機関として、8K映像やAR・VRなど新しい放送メディアの創造をリードする研究に取り組んでいます。この二つの分野が融合することで、よりニーズに合った新しいメディアを実現することが可能に なると考えています。


───これらを自由に使ってもいいとしたら、どんなことでも実現できそうな気がしてきました。

園部さん たしかにそうですね。今回の課題解決プロジェクトの採点項目の一つに「実現可能性」というものがありますが、私たちはそこにあまり重きを置いていません。というのも、一見すると実現性の低い提案であっても、この豊富なリソースがあるNHKであれば、なんらかの方法で実現することができるかもしれないからです。あまり実現性に縛られすぎず、日常生活の中で「こうだったらいいのに」「これ、どうにかならないかな」という空想を叶えるいい機会だと思って、自由にアイデアをぶつけてもらえると嬉しいです。NHKのリソースと、一人ひとりの個性を掛け合わせれば、可能性は無限に広がっていくと思います。

「面白そう」「やってみたい」と思わせる工夫を。

───人々に多くの情報を届けるNHKですが、自分達の考えを「伝える」ことに関してなにかアドバイスやヒントはありますか?

園部さん やはり放送局として、アイデアを伝える工夫ができているか、わかりやすい資料づくりができているかについては、着目したいところですね。NHKで働く職員には、どんな職種であっても番組や新事業についてアイデアを発案する機会が与えられているのですが、基本的に、提案書A4用紙1枚など簡潔にまとめることが求められます。 大切なのは、提案書の文章だけでも、企画内容が具体的に理解できるかどうか。そして、一人でも多くの人が「面白そうだね!」「やってみよう」という気持ちになるかどうか。学生のみなさんの提案を審査する際にも、私たちは同じような視点で資料を読むと思います。

伝わる資料づくりのためにアドバイスをするとしたら、たくさんの人に資料に目を通してもらうことですね。誰もが企画内容を理解し、イメージできるような言葉の選び方、伝える順序、構成などを心がけていただきたいです。また、NHKは視聴者のみなさまからの受信料で成り立っていますので、そのアイデアによって社会にどう貢献できるのか、視聴者のみなさまにどう還元できるのか、という視点もぜひ取り入れていただきたいと思います。

───最後に、課題解決プロジェクトに取り組む学生の皆さんへ、メッセージをお願いします。

園部さん NHKでは多くの職員がアイデアを持ち寄る機会がありますが、どの企画にもその人の愛情や熱い想いがこもっています。奇抜に見えるような企画でも、その気持ちに心を動かされて実現できた企画も少なくありません。課題に取り組む中で、自信がなくなってしまったり、悩んでしまったりする こともあるかもしれませんが、最後まで自分のアイデアに愛情を持って、その愛を私たちにぶつけるような気持ちで課題に取り組んでいただければと思います。みなさんの応募を楽しみにしています!


───本日はお話しいただき、ありがとうございました!


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園部 彩香 さん
日本放送協会(NHK)
デジタルセンター

技術職としてNHKに入局し、最初の配属先である仙台放送局で、復興などをテーマにした地域に寄り添った情報発信に携わってきた。昨年よりデジタルセンターへ異動。現在は、さまざまなデジタルメディアを活用して、より多くの情報を、より早く、必要としている人に届ける方法を日々検討中。また若い世代にNHKのコンテンツを届けるためのプロジェクト「NABE」 にも所属し、Z世代の方と定期的にディスカッションしながら、テレビやラジオを越えたこれからの公共メディアの在り方を考えている。