最終更新日:2025/3/1

三菱ガス化学ネクスト(株)

  • 正社員
  • 既卒可

業種

  • 化学
  • 薬品
  • 半導体・電子・電気機器
  • 精密機器

基本情報

本社
東京都

取材情報

事業について伝えたい

縁の下の力持ちとして社会に貢献! 業界でも珍しい高抵抗器専業メーカー

PHOTO

世界の研究機関を下支えする「E&C事業所」の製品群

高電圧・高抵抗・高精度に特化した三菱ガス化学ネクスト株式会社の抵抗器事業。同社のE&C事業所で開発・製造された製品は、私たちの想像を超えた分野で活用されている。最前線で活躍する3人の先輩に話を聞いた。

林 和男さん(写真中央)
E&C事業所長
1979年入社/高等学校電気科卒

釣 一博さん(写真左)
E&C事業所 製造技術部 部長
1996年入社/理学研究科物理学専攻修了

山下 和良さん(写真右)
E&C事業所 E&C事業部 営業グループ
2011年入社/グローバル・メディア・スタディーズ学部グローバル・メディア学科卒

先輩の仕事風景

数多くの製品を開発してきた林所長。「当社の電子部品事業は、世の中の最先端に携わることができます。ときには仕事であることを忘れるくらい楽しいですよ」
「高抵抗器の開発では、産業技術総合研究所等の先生方からお話を伺う機会が多々あ ります。ハイレベルな共同研究はとても刺激的ですね」と釣さん。
高抵抗器は電子部品の中でも開発が難しい部類の製品。「世界的な研究機関から評価されていることが、仕事のモチベーションになっています」と山下さん。

“職人的な発想とアナログ手法”で最先端の技術開発に挑戦!

E&C事業所は、当社における電子部品事業の開発・製造・営業拠点です。私は44年のキャリアのうち、10年にわたって“特殊品”と呼ばれるオーダーメイド抵抗器の開発にあたりました。この頃の開発エピソードから、当社独自のモノづくり手法をご紹介しましょう。

あるお客さまからは、湯飲み茶碗のような形状の高抵抗器を依頼されました。 不思議な形ですが、まずは精度の高さが求められます。そのため、真円を形成することができるろくろ製作からスタート。試行錯誤の結果、本体に抵抗の成分を均一に塗布し、依頼どおりの製品を完成させたのです。後に知ったのですが、この製品は1台10億円にもなる半導体製造装置に使われるものでした。最前線で使われる重要部品を、自分たちがアナログ的な手法でコツコツと作っている――。これこそがモノづくりの奥深さと面白さだと実感しました。

当社が得意とするのは他社が手掛けていない特殊な製品ですから、大学の研究室から依頼を受けることがよくあります。ある先生から頼まれたのは、襖サイズの巨大な抵抗器。抵抗体は850度の高温で土台に焼き付けるのですが、そんな大きな炉は当社にありません。開発は困難を極めました。それとは逆に、2センチ角の小さな箱の内側に抵抗体を塗布したこともあります。この時は膜厚の均一さを保つことに苦労しました。この装置は量子力学の実験に使われ、教授は論文を発表されています。

もっと分かりやすいところでも、当社の高抵抗器は積極的に使われています。代表例は宇宙開発分野。運用は終了しましたが、日本初となった火星探査機や、月探査機に搭載された光学分析器に、当社が開発した高抵抗器が使われました。真空状態や特殊なガス環境下で使われるので、開発の難易度はかなり高かったですね。また、世界最高の分解能を持つ電子顕微鏡にも、当社の高抵抗器が採用されています。

製造部門や開発部門を経て、私は2020年から事業所長を務めています。管理者としての私が心掛けているのは、従業員の働く環境を改善すること。世の中を変える大胆な製品を生み出すには、誰もがストレスなく仕事に取り組める環境が欠かせないからです。今後も若い皆さんと一緒に、当社の強みを生かせるユニークな製品を開発していく所存です。
(林さん)

世界一の標準器を目標に、公的機関とタッグを組んで製品開発

抵抗器は電流や電圧を制御するための電子部品です。もし抵抗器がなかったり壊れていると、大電流や高電圧が直接回路に流れてしまうので、電気回路はあえなくショート。抵抗器を組み込んだ電子部品だけでなく、そうした部品で成り立っている電気製品そのものが壊れてしまいます。

国内外には多くの抵抗器メーカーがありますが、高抵抗領域(1 MΩ~1 PΩ)レベルの製品を開発・製造しているメーカーは数えるほどしかありません。当社はその高抵抗器に特化したメーカーで世界的に見ても極めて珍しい企業といえるでしょう。

高抵抗器の用途は「高電圧の制御」と「微少電流の検出」の二つです。前者はX線検査装置、電子顕微鏡や高エネルギーをつくり出す加速器などに、後者は環境中の微粒子計測・管理、医療用・環境放射線計測や赤外線センサーなどに使用されるコア部品として、当社のさまざまな製品が使われています。これらは、お客さまのご要求に対して極限まで性能を高めた付加価値の高い製品群です。

この様にユニークな製品を開発している我々に対して、日本の先端技術を担う研究機関からもお声をかけていただいています。

産業技術総合研究所(以下産総研)とは長年にわたり共同研究を続けております。その研究目標は、各国の計量標準を担う国家機関の高度な要求を満たす超高抵抗領域の標準器の開発です。最近この研究の成果として、世界最高の安定度を誇る製品が完成しました。現在、産総研とともに世界の国家計量機関に使用してもらうための活動を続けています。

また、さらに次世代の応用を見据えた高抵抗器を開発するためのプロジェクトも産総研とともに開始しています。10年後の人々がより豊かで安心できる生活を送るためにはより精度の高いセンサーや計測器が必要になっているはずです。そのセンサーの性能を上げるためには、我々の製品のレベルも上げる必要があります。産総研が持つ高度な知見と技術が我々のモノ造りの経験と融合することでできる製品は、人々の豊かな生活の礎になっているはずです。その過程を間近で見て経験できることに対して心を弾ませています。

当社が目指しているのは、抵抗器の開発・製造を通して社会へ貢献することです。高度化・高性能化が求められる高抵抗器の分野で、私たちはこれからもチャレンジを続けていきます。
(釣さん)

世界的な研究機関に自社製品を納入しています

私は先輩方とは異なり、営業部門に所属しています。学生の皆さんは当社の高抵抗器がどのようなお客さまに販売されているのか、なかなか想像できないはず。12年の経験を基に、私が分かりやすく説明しましょう。

当社の製品の大きな特徴は、長年にわたって同じお客さまにお使いいただいていること。私たち営業担当者はルート営業を通じてそうしたお客さまをフォローアップし、必要に応じて新規の製品を提案しています。

当社のお客さまは、医療機器、セキュリティー系、半導体製造装置関連など、使用する機器に高電圧電源を必要とするメーカーが中心です。最終製品はほとんどが業務用の機器ですが、身近なところでは人の動きを検知する赤外線センサー、家庭用セキュリティーカメラなどのセンサー部にも、当社の高抵抗器が使われています。

販売先は国内メーカーに留まりません。その精度の高さや信頼性の高さから、当社の製品は国際的な研究機関でも使われています。納入数こそ多くありませんが、同機関では当社が表面実装用に開発した2種類の精密級平板抵抗器が使われています。どちらもカタログから選んでいただいた既成品で、オーダーメイドの特注品ではありません。ほかにも、未来のエネルギー開発を担う超大型国際プロジェクトやイギリスの大学研究施設などで、当社の製品が使われています。

私自身も、アメリカの標準研究所に製品を提供した経験があります。ここは、様々な量に対する計測・計量についての標準を管理している国立機関。高抵抗の計測は、その中でもかなり困難な技術で、その標準の実現・維持管理に当社の製品が用いられたのです。私は2度にわたって現地を訪問。開発を通じて自社の製品を大きくレベルアップすることができました。

営業は引き合いのあったお客さまにお応えする形が基本なので、国内外に向けた製品の告知と丁寧な対応が欠かせません。そうした苦労はありますが、世の中を変えるような研究プロジェクトに参加できる喜びは想像以上に大きいですね。私も、仕事をとおして社会の発展に貢献している実感を得ています。

これらの研究機関だけでなく、海外のメーカーを広く開拓することがこれからの課題。私たちはまだ取引のない海外のお客さまに向け、積極的に営業活動を行っていく予定です。
(山下さん)

学生の方へメッセージ

企業研究中の学生の皆さんは、企業の事業内容や福利厚生、待遇などを比較検討されるでしょう。それは当然のことですが、私はその前に「好奇心が湧くかどうか」という観点で企業を見てほしいと思っています。諸条件がそろっていても、好奇心を満たせない環境なら長続きしないからです。かくいう私は入社後も周囲の研究が気になって仕方ないくらい好奇心旺盛なタイプ。その姿勢が製品開発でも役に立っています。
(林さん)

企業を比較検討する際は、事業のどの部分に強みがあるのかをよく調べておきましょう。競争相手の多い業界であれば、他社にはない独自性が成長のカギになるかもれません。学生のうちに身に付けていただきたいのは、基礎的なコミュニケーション能力です。当社の技術者は研究職の先生方にヒアリングしますし、お客さまの代弁者である営業担当者とも距離が近い。入社後は聞く力と話す力の両方が求められので、学生のうちから意識しておくといいでしょう。
(釣さん)

会社訪問した際は先輩社員の話をじっくりと聞き、社内の雰囲気をしっかり感じ取ってください。リアルな体験は、その会社が自分に合っているかどうかを判断するきっかけになるはずです。また、企業を選ぶときは有休の取りやすさや働く環境、経営の安定性にも目を向けましょう。当社は化学業界の大手である三菱ガス化学のグループ企業。入社後は安心して仕事に取り組むことができます。
(山下さん)

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製品開発を支えているのは、部署の垣根を越えて発揮される優れたチームワーク。開発・製造・営業の各部門が協力しながら新たな製品を世に送り出している。

マイナビ編集部から

今回は電子部品事業を展開しているE&C事業所の3名に、同社が得意とする高抵抗器について詳細なお話を伺った。大学や専門学校で電気を専攻した学生なら分かるだろうが、数多い電子部品の中でも、抵抗器は最終製品の性能を左右する重要パーツの一つ。そのため業界には競合他社が多く、競争も激しい。同社は開発が難しく用途が限定される高抵抗器に特化することで、業界内に独自のポジションを確立した。

取材して驚いたのは、同社の製品が世界に名だたる研究機関で使われていること。三菱ガス化学ネクスト株式会社の高抵抗を用いた物理学やエネルギー関連で今後も大きな発表が行われるだろう。その背景で、三菱ガス化学ネクスト株式会社の小さな高抵抗器が大きな貢献を果たしているのだ。3名の先輩方も、仕事のやりがいとして社会貢献度の高さや最先端の技術開発に立ち会える点を挙げていた。

経験の長い社員が多い同社だが、各部門で若手社員の育成が図られているのも特徴だ。全部署に共通する風通しの良さ、形式張らない上下関係、若手の意見を尊重する姿勢は、新入社員が成長する上で大きな後押しとなるだろう。取材現場ではベテラン社員と若手社員が交流している様子がそこかしこに見られた。

国内外から高い評価を得ている同社の高抵抗器。今後は新分野の製品開発にもチャレンジしていくという。同社の活躍の舞台は、今後ますます広がっていくだろう。

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高抵抗の標準維持・供給を目指して開発された「HVR10000」シリーズ。

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