最終更新日:2025/3/19

キヤノンメディカルシステムズ(株)

  • 正社員

業種

  • 医療用機器・医療関連
  • 商社(精密機器)
  • 精密機器

基本情報

本社
栃木県

取材情報

プロジェクトストーリーを紹介したい

全国発明表彰で文部科学大臣賞を受賞した超音波技術の開発ストーリー

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キヤノンメディカルの技術力

今村さんが入社した当時、海外から遅れを取っていた超音波診断装置。それを超える製品を開発すべく、プロジェクトが立ち上がった。そのメンバーの中に、当時入社4年目の今村さんの姿もあった。

今村智久さん 
超音波事業部 超音波クリニカルソリューション担当 参事
大学院総合理工学研究科熱エネルギー工学専攻修了
1998年入社

夢に向かう技術者

音響学の本に差周波について書かれているのを見つけ、この技術を応用できないかと思ったのが発明のきっかけです。
私の入社動機は、世界の医療に貢献したかったから。これからも画像診断という領域で、人々の命を救う仕事をしていきたいというのが目標です。
公益社団法人発明協会が主催する平成30年度全国発明表彰で『文部科学大臣賞』を受賞した際の授賞式風景。日本の医療に大きく貢献したことが高く評価されました。

常にトップを走る技術を狙う。それはキヤノンメディカルシステムズのDNA。

ドクターが診断に使用する超音波診断装置。そこに映し出される画像をいかにきれいにクリアなものにするか。それが、私が入社以来取り組んできたテーマです。
入社4年目の春。新しいハードウェアや機能を搭載した新製品のプロジェクトが発足する中、性能アップするその装置をより活かすためには、どんな映像技術を導入すればいいのかという課題が持ち上がっていました。その頃の超音波診断装置というと、第2高調波を用いた海外の製品がスタンダードになりつつあり、その開発で日本は遅れをとっていました。そこで私たちは、追いつくのではなく追い抜くべく、新しい映像技術の開発に着手したのです。

当時の超音波には、浅い位置にあるものはクリアに見えるものの、深い位置のものは見えにくいという課題がありました。この課題を解決すべく、機械、電気、物理などの専攻分野出身の技術者が集まって新映像化技術を研究するプロジェクトがスタートしました。ある日、私と4年上の先輩二人で新しい技術を考えている中で海外の文献と出会い、「差音の現象は使えないか」という話になりました。音響の世界では一般的に知られている現象ですが、それを超音波診断装置の分野に取り入れようという発想はこれまでになかったものです。

この差音の技術が応用できれば、戻ってくる差周波と第2高調波をプローブで受信・映像化することで、深部まで映像化でき、さらにより分解能の高い画像を得ることができる。それは、課題を抱える既存装置の性能を大きく越えることを意味していました。
さっそく私たちは、資料をまとめて会社に提案。理論と根拠をしっかりと説明し、相談、議論の結果「やってみましょう」と言ってくれるのが当社の社風です。すぐにゴーサインが出て、プロジェクトチームが立ち上がりました。当時の私は入社5年目。若手社員のひとつの意見やアイデアであっても、新しいチームを作ってそこにメンバーを揃えてくれる。そんな社風も技術者の意欲を駆り立てます。

特許を取得した超音波診断装置の発明で「文部科学大臣賞」を受賞

ここからは、まだ世界で誰も手掛けていない技術への挑戦でした。原理や現象はわかっていても、超音波診断装置の中で実現させるためには、制御技術において数々の難題を越えなくてはならず、理論上、できそうだと判断できても、性能を製品化レベルまで引き上げていくには、数々の壁が待ち受けていました。ひとつひとつトライしていく地道な作業の連続でした。

開発が進んでいくと、評価のための試作品を病院に持ち込み、ドクターに診断に有効かどうかを評価いただくという重要な作業に入ります。その場には営業だけではなく、開発の私たちも同席し、いただいた意見や感想を製品づくりに反映させていきます。そうしたプロセスを経て、アイデアから2年ほどの歳月を費やし、製品化を実現しました。

超音波診断装置『Aplioシリーズ』は、身体の深部にあるためにこれまでは診察に限界があった腸や胃といった消化管まで鮮明に診ることができます。これにより、より正確な医療診断を可能にしました。
2010年。申請していた『2つの基本波の差周波と第2高周波を利用する超音波診断装置の発明』で特許も取得。製品の普及と、医療の進歩に大きく貢献したという評価から、2018年5月、公益社団法人発明協会が主催する平成30年度全国発明表彰において、私たちの発明が『文部科学大臣賞』を受賞しました。

ワークライフバランスの取れた働き方ができる点も大きな魅力

当社では、新人もベテランも関係なく自分からアイデアを出し、マネジメントに提案、自分で試作品を作って自らユーザー評価まで担当し、エンドユーザーの声を聞きながら製品をつくり上げていく。つまり、製品づくりの一部分だけでなく、アイデア出しから製品化まですべてに関わることができるのが当社の魅力です。
試作品段階においても、病院の臨床検査の場に参加させていただきドクターと情報交換していきますから、医療の最新情報が手に入り、それが次のアイデアに結びつく。このループがより良い製品づくりを実現し、面白い仕事ができる環境へとつながっているのです。

もちろん仕事だけではなく、ワークライフバランスの取れた働き方ができる点も、当社の魅力です。私は体を動かすのが好きなので、週末はいつもスポーツクラブでリフレッシュしていました。年間24日の有給休暇も自由に取れますし、場所柄、スキー場が近いので、冬には職場の仲間とスノーボードを楽しんだりもしています。5時に仕事を終えて、6時にはもうナイターで滑っていましたね(笑)。当社の技術者たちは会社一辺倒の仕事人間ではなく、オンとオフのバランスの取れた生活を楽しんでいる人たちばかりです。

当社の特色は、「工学と医療に特化した会社」であること。人の命を救いたい、自分の知識を役立てて世界の医療に貢献したいという方、「これはどうなっているんだろう」といった好奇心を持ち、問題点に興味が湧けばそれを解決したいという探求心と意欲を持つ方には、最適な環境があります。
共同開発している会社への訪問や、ユーザー評価などを目的として、ヨーロッパ、アメリカ、オーストラリアといった海外へ出向く機会も多い会社です。早い人は、3年目くらいから海外出張を経験しています。私も多い時には年間13~4回ほど海外に行きました。2週間後にも、製品評価のためアメリカへ飛ぶ予定です。

学生の方へメッセージ

当社の採用方式は「職種別採用」です。それは「入社」ではなく職に就く「就職」。
内々定の時点で、入社後の職種が確定するため、キャリアイメージを持って入社いただけます。
入社後も、医療用機器の製品知識や臨床知識などを習得するための専門研修が充実しており、各分野のプロフェッショナルへの成長をサポートしていきます。

当社の社員は経営スローガンである『Made For Life』を胸に、医療従事者や患者さんの立場に寄り添い、最適なソリューションを提供するために日々業務に取り組んでいます。
経営スローガンに共感いただき、私たちと一緒に未来を切り拓いていきたいと思っていただけたら嬉しいです。医療を通じて社会に貢献したいという志を持つ方とお会いできることを楽しみにしています。

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「取材の研究開発職に限らず、当社では文理を問わず、若い頃からチャレンジ出来る環境、グローバルに活躍できるフィールドがあります。」

マイナビ編集部から

『Made For Life』を企業スローガンに掲げ、日本国内および世界における医用技術の分野で数々の先進的な取り組みを続けている同社は、医療システムのパイオニア的存在と言っても過言ではない。CT、MRI、超音波、X線診断装置といった製品群を主力とする『画像診断システム』の分野では、世界マーケットでベスト4(※1)。CTとX線診断装置のシェアでは国内トップ(※2)を走る。
キャリアやポジションに関係なく、自分でアイデアを出し、カタチにしていく。同社にはそんな企業文化がある。今回取材した今村さんも、若手時代から自分の意見をカタチにしていく仕事のダイナミズムにやりがいを感じていたと振り返る。仕事の一部だけでなく、開発にトータルに関わりたい人には最適なステージが待つ会社だ。

アメリカの研究機関や日本国内の大学と手を組み、数々の産学共同研究を進めてきた同社。高度化する医療への対応を先取りしていくためには医療のIT化が不可欠であり、その延長線上にはAI(人工知能)の活用もある。技術者としての面白さは、これからますます加速していくことだろう。
(※1:自社調べ ※2:日経デジタルヘルス2017年1月30日号)

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本社のエントランスフロア。同社は画像診断メーカーとして日本の医療業界をリード。

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