最終更新日:2025/1/24

関西設計(株)【Kanadevia Group】

業種

  • 建築設計
  • 機械設計
  • 機械
  • 建設コンサルタント
  • プラント・エンジニアリング

基本情報

本社
大阪府

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高さ日本一!世界初の免震構造の大観覧車プロジェクト(EXPOCITY)への挑戦

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プロフェッショナルたちの英知を結集。プロジェクトを成功に導く

◆久保 竜也さん
建築設計部 部長
2002年入社
◆高橋 宏一さん
建築設計部(プロジェクト参加時:構造計画部)
2010年入社
◆山下 修平さん
産業機械部
2012年入社

2016年7月にEXPOCITYにオープンした高さ日本一の大観覧車レッドホースオオサカホイール(REDHORSE OSAKA WHEEL)。大臣認定が必須となって以来、不可能とも言われてきた123mを世界初の免震構造で実現。前例のない試みに挑んだ技術者たちの軌跡を追った。

シゴト場拝見!

「『世界初の免震支承を採用した遊戯施設』として業界の注目を集めました。私も家族と一緒に乗り、6歳の娘に自慢できてとてもうれしかったですね」(久保さん)
「当社には営業部門がありません。仕事の成果が次の依頼へとつながるのです。若いうちから最前線で自分を鍛え、成長できる環境が魅力です」(高橋さん)
「設計を担当した駆動部は、観覧車を動かす重要部分。大観覧車という超大型構造物に関わるプレッシャーもありましたが、大きく成長できたと感じています」(山下さん)

【全体総括】耐震から免震構造への転換という大きな決断でプロジェクトが大きく前進/久保さん

大阪万博エキスポランド跡地に、日本一の高さとなる123mの大観覧車をつくる──。そんな壮大な依頼が舞い込んだのは2013年のことでした。2007年に建築基準法が改正され、高さ60mを超える場合は国土交通省の大臣認定が必須となってから、日本国内で該当する遊戯施設(観覧車、ジェットコースターなど)の建設実績はゼロ。法改正後の全国初の適用物件となるため、当社にとっても前代未聞のチャレンジとなりました。

プロジェクトを進める上で最大の難題となったのは、地震対策でした。もともとは耐震構造で設計を開始したのですが、建設予定地は活断層の北端に位置し、大きな地震が発生すると相当な揺れが生じることが判明。耐震構造で対応するには国内に見られるこれまでの観覧車と比べて数倍もの寸法の鉄骨が必要となります。しかも中心軸径が過大となり、陸上輸送の限界を超えるという致命的な問題が発生しました。そこで考えたのが、免震構造への転換でした。方法としては、従来の建築物で実績のある基礎免震を採用することで、地震対策をクリアすることに成功したのです。
また、風圧力の確認をするために、約2mにもなる1/80スケールの模型を製作し、実際に風を当てて、構造上の問題がないか入念にチェックするなど、設計の細部を詰めていきました。そして1年半をかけて、大臣認定の審査をクリアすることができました。

建設にあたっては、鉄骨製作は技術力の高い業者に、組立て工事は日本有数の鳶職人の協力を得るなど技術の粋を結集。私も積極的に現場に出向き、現場所長をはじめ関係者の方々と密にコミュニケーションを取りながら関係づくりに努めました。そのおかげで現場を知ることができ、知識や発想の幅も広がりました。それ以来、机上だけではなく、現場を考慮した設計ができるようになったことも、私にとって大きな財産になったと思います。

様々な試行錯誤を重ね、ついに2016年7月、エキスポシティに堂々オープン!「日本一の大観覧車」としてメディアにも数多く取り上げられました。
この経験を生かして、今後さらに高い構造物や人を楽しませる遊戯施設を手がけ、関西設計の強みにしていきたいですね。世界には次世代型観覧車と言われるさらに大型で、客席で食事も楽しめるようなものもあります。いつか世界をあっと驚かせるような観覧車をつくれたらと、夢を膨らませています。

【解析】高度な解析技術を駆使し、構造分野における様々な問題を解決/高橋さん

大観覧車プロジェクトでは、主に全体構造の骨組解析とFEM(有限要素法)解析を担当しました。具体的には、実際に建設する前に、設計図面から3Dモデルをコンピュータ上に作成し、耐震性や耐風性、耐久性などを検討。解析結果をもとに評価し、求められる基準に満たない場合は、構造変更・補強などの改善を行い、再度、検証・評価するという業務です。

日本一高い免震構造の観覧車の建設を実現するに当たっては、あらゆる側面からの解析・評価が必要となりました。まずは123mという超高層観覧車ということで、全体モデルによる時刻歴応答解析を用い、時々刻々と変化するリアルな地震波を使ってシミュレーションし、全体構造を成立させました。また、観覧車自らが回転することによる繰り返し応力の疲労を考え、疲労照査を実施したほか、応力集中部については、応力緩和対策のため徹底的にFEM解析を行いました。

大変だったのは、急遽、耐震構造から免震構造へと大きく舵を切ったことです。もともとは耐震構造でスケジュールを組んでいたので、免震構造に転換となるとまたゼロからのスタート。タイトなスケジュールの中、免震構造を観覧車に用いるという前例のないチャレンジをするのは困難の連続でしたね。とにかく必死で毎日、知識・技術の習得に努めました。そして着手から3年の月日を経て、2016年の夏にエキスポシティに大観覧車が完成。社会に大きなインパクトを与えるランドマーク的なものを手がけたのは初めてだったので、達成感はひとしおでしたね。

今回のプロジェクトでは、たまたま建設現場が会社から近かったため、現場で工事関係者の方々と直接打ち合わせをする機会も多く、現場サイドの様々な意見を聞けたことは大変意義のあることでした。得た知識や経験、現場の声を今後の設計業務に生かしていきます。そして設計者・技術者として独り立ちし、「関西設計の高橋さんに任せたい」と頼られるような存在になり、お客様の要望に応じた付加価値の高いアドバイスができるよう日々研鑽を積んでいきたいと思います。

【駆動部設計】免震構造の大観覧車を動かすため、新しい駆動装置の設計に挑戦/山下さん

プロジェクトが始動したのは、私が入社2年目の時でした。担当したのは、駆動装置の設計。既存の観覧車の駆動がどのように動くのか、実際の観覧車を参考に仕組みを把握することから始め、何度もミーティングを重ねながら設計を進めていきました。

完成した大観覧車は、123mと日本一の大きさで、駆動装置で回転輪を回転させるとともに、軌道保持を行う構造となっており、地震や風圧等による振動を吸収する目的から、駆動装置自体が可動式となっています。観覧車には72台のゴンドラが取り付けてあり、約18分かけて1周します。この観覧車を動かしているのが、観覧車の下部に設置されている駆動装置です。モーター付きの24個のタイヤで全体を回しています。

第一の課題は、地震や風圧等の厳しい荷重条件への対応でした。風で観覧車が揺れれば、駆動装置も一緒に動く必要があります。言うのは簡単ですが、装置だけでもその重量は8トン近くになります。課題解決に必要な強度を実現しようと、海外の大型観覧車の構造からヒントを得て、最終的には横方向に揺れを逃がす機能を採用。続いて、観覧車を動かすタイヤ部分の機構。ここも随分と悩みましたね。上下2つのタイヤでレールを挟み、押し出すことで観覧車を回転させるのですが、下部のタイヤを重力に逆らいレールに押し戻す方法を模索。悩み抜いた末、強力なバネで押し戻す機構を考案しました。新しい機構を生み出すなど、貴重な経験ができたと感じています。

また、遊戯施設は安全性が第一。実際に工場で駆動装置を製作し、タイヤに水をかけて雨の日でもスリップしないかなど、様々な環境下での負荷テストを行い、設計上のミスがないか細部に至るまで注意深くチェックしました。テスト結果で私が計算していた値とほぼ同じ値が出たことも嬉しかったですね。工場の方々の協力もあって、大きなトラブルもなくスムーズに駆動装置の試験を終えることができました。

生みの苦しみを味わったプロジェクトを最後までやり遂げられたのは、若手に任せる社風があり、どんどん提案できる環境とともに、豊富な経験を持つ先輩方及び協力会社の方々からアドバイスやサポートを受けられる環境があったからだと感じています。観覧車の試運転の日、早起きして万博公園の駅を降りた時にゆっくりと回る観覧車を見た時には、「上手くいった」と嬉しく思うとともに、言葉にできないほどの大きな感動に包まれました!

企業研究のポイント

【久保】ダイナミックで意匠性も高い建築を形にするにはしっかりした構造技術が不可欠です。建築計画の研究室だったので、当初は建築設計事務所を中心に企業研究をしていましたが、プラントや船舶など大規模で複雑な建造物を扱うエンジニアリングに興味を持つようになりました。そんな時に出会ったのが関西設計です。私もそうだったようにいろいろな企業を見て回るうちに、本当に自分のやりたいことが見えてくると思います。

【高橋】大学では船舶構造を学んでいましたが、船以外にも建築物や機械など、幅広い分野の仕事が第一線でできる企業を探していたところ、関西設計を見つけました。ネットでの情報収集はもちろんですが、企業へ足を運び、実際に働いている方とお会いしてみて、一緒に働きたいかどうかが大切だと思います。いろいろな企業を見て、興味を持ったらOB訪問をしてみる。私はこれを実践することで、多くの発見がありました。

【山下】中学生の頃からエネルギー事業に関心を持ち、エネルギー問題に少しでも寄与できる仕事がしたいと考えていました。その中でも海洋や原子力、プラント、建築など、幅広い分野で「設計」に特化した仕事内容に興味を持ちました。また若手のアイデアを周囲が尊重してくれる社風とか、その企業の雰囲気が自分と合いそうかという視点も大事だと思います。自分の興味や、やりたいことなど、自分なりの軸を見つけて企業研究を進めてください。

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各分野のプロたちが知識・技術を結集することで成功した「大観覧車プロジェクト」。魅力的なランドマークであり続けることを願い、また新たな挑戦を続けていきます。

マイナビ編集部から

オンリーワンの技術力で土木・建築構造物をはじめ、プラント、各種機械、遊戯施設、船舶、海洋構造物など、様々な分野の設計・エンジニアリングをトータルに手がける総合エンジニアリング会社として躍進を続ける関西設計。日立造船グループという安定基盤のもと、常に新しいチャレンジを続けている。

営業部門がないのが同社の特徴。各分野でのオンリーワン、ナンバーワンをめざして技術を磨いてきたことで、多くの顧客から高い評価と信頼を獲得。リピート率が高く、次々と依頼が舞い込んでくるのだ。そんな同社の成長を支えているのが優秀な技術者たちだ。特に最近では技術伝承に力を入れており、新人教育だけでなく、中堅層のレベルアップにも取り組んでいる。生涯にわたり技術者としてスキルアップしたい方には理想的な環境。昨年から海外進出を見据えて英会話教室もスタートしている。

社内は風通しが良く、誰もが「さん付け」で呼び合うフラットな雰囲気。ボウリング大会やビアパーティー、ゴルフコンペなど、社員同士の交流を図る機会も豊富。社員たちは自由でチャレンジングな風土の中で、夢と情熱を持ってみなイキイキと活躍している。ジャンルが多岐に亘っているので、大学での学びを生かすのはもちろん、全く未知の分野にチャレンジすることも可能。モノづくりが好きで、新たな領域を切り拓いていきたい方にはチャンスが豊富にありそうだ。

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オープンでフラットな社内では、若手・ベテランの区別なく、チームとして自由にディスカッションしたり、アドバイスしたりと、一人ひとりが伸び伸びと働いています。

会社概要に記載されている内容はマイナビ2025に掲載されている内容を一部抜粋しているものであり、2026年卒向けの採用情報ではありません。企業研究や業界研究にお役立てください。

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