最終更新日:2024/9/4

(株)木暮旅館【ホテル木暮】

業種

  • ホテル・旅館

基本情報

本社
群馬県

取材情報

経営者の視点

創業440年を超える会社でありながらベンチャー気質の強い会社

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これからは「みんなと同じ」でなくてもいい

電子回路設計エンジニアとして日系・外資系企業で約15年間勤務した後、ホテル経営者へと転身した木暮さん。他の世界を知っているからこそできた決断や、同社の社風やカルチャー、今後の展望等について伺った。

オーナー 木暮 啓春さん

オーナーに聞く!会社の特徴と魅力

現場の声が経営者に直接届く距離感は中小企業ならでは。会議中以外、オーナーの部屋は常にオープン。従業員はいつでも部屋に入って話ができる。
就業規則の副読本「幸せの手引書」を希望する学生さんに配布。規則が決まった背景など、働く環境を整備した会社の考え方を入社前に知ることができる。
「お客様の次に大切なのはスタッフ」という考え方のもと逆三角形の組織図を採用。管理職や経営チームはサポート役として、縁の下からスタッフや会社全体の舵取りをします。

働き方の多様性を認める柔軟な会社を目指す!

小学生の頃から電気電子に興味を持っていた私にとって、ハードウェア・ソフトウェアの双方に携われる設計エンジニアになることが青春時代の夢でした。この夢を叶えるかたちで、大学卒業後は携帯電話の回路設計エンジニアとして、日系企業ならびに外資系企業に約15年間勤務。海外オフィスの多国籍チームの一員として、育ってきた環境も文化も価値観も全く違う人々と一緒に勤務していた時期もありました。憧れの職業に就いたこともあり毎日が楽しく、昼夜を問わず働いていましたね。2015年からホテルの経営に参画することになりましたが、エンジニアとして国内外で様々な働き方を経験したことが、私の経営に対する考え方の核となっています。

日系企業・外資系企業の双方で仕事をしてみて気づいたのは、それぞれの働き方に長所があるものの、両者に共通する“唯一の正解”は存在しないということ。それと同様に、全ての社員に当てはまる“唯一の正解”も存在せず、社員一人ひとりに“正解”があるということです。会社を経営する立場になった今は、働く皆さんが迷うことなく仕事に取り組むことができるよう、方向性やガイドラインを示すなど各種規定を整備していますが、一人ひとりにとっての“正解”があること、その“正解”は無数に存在することを念頭に置いて、柔軟に対応しています。

判断のベースは、「法律に違反していないか?」「道徳に背いていないか?」「倫理を逸脱していないか?」。一人ひとりで“正解”の異なる「良い」「悪い」ではなく、「納得できる」「納得できない」を基準にして、働き方の多様性を認める会社を目指しています。創業以来440年超の歴史を誇る老舗湯宿というと古めかしいイメージを抱かれる方が少なくないかもしれませんが、当社にはこれまでの仕事の仕方や考え方に執着するカルチャーは一切ありません。時代の流れに合わせて就業規則を更新することも、全く厭いません。最近では、副業を解禁したほか、ペットの忌引き休暇制度、大切な人を看取るための休暇制度を整備。より身近なところでいえば、現場の社員の提案をきっかけに、バックオフィスの業務用エアコンや女子寮の洗濯機の増設を即断即決したこともありました。ちなみに、インターンシップに関しても、卒業予定年度は限定せず、開催日時や内容も学生さん一人ひとりの希望に合わせるかたちでカスタマイズしています。

過去の成功体験や業界の常識にとらわれることなく、絶えず前進する会社へ

歴史的に見て、多くの革新的な発明やサービスは、既存の枠組みや思考から脱却することで生み出されてきました。記憶に新しいところで言えば、新型コロナが騒がれたことをきっかけに、これまでの常識が一気に変わるような体験をされた方が少なくないと思いますが、多くの情報が飛び交う世の中では、変化のスピードがこれまで以上に加速して、つい最近まで必要とされていたことが不要になり、これまでの非常識が一瞬にして常識に変わってしまう。こうした事態が、ますます頻繁に起こるようになっています。予期せぬ変化に対して即時に適応するためにも、既存のやり方や思考パターンにとらわれることなく、新しいアイデアや解決策を模索し続ける姿勢がますます重要になっているといっていいでしょう。

当社は1576年の創業以来、440年超にわたって事業活動を継続してきましたが、絶えず変化する市場環境の中でかくも長きにわたって発展を遂げることができたのは、過去の成功体験や業界の常識にとらわれることなく前進を続けてきたからこそ。「守るべき事」よりも「変わるべき事」を大切にしつつ、中小企業の最大の利点である迅速な意思決定を生かして積極果敢に挑戦を続けてきたからこそだと自負しています。持続可能な成長とイノベーションを達成するためには、柔軟性と開放性、そして失敗から学ぶ勇気が欠かせません。異なる背景を持つ人々とのコラボレーションを促進し、多様な意見やアイデアに耳を傾ける。新しい技術、理論、市場動向を積極的に学び、組織全体の知識を常に更新し続ける。新しいアイデアを試す際には失敗がつきものですが、当社では失敗を“学習の機会”として積極的に捉え、「前進する文化」を育んでいます。こうした取り組みを今後も継続していく方針です。

当社は今後、「サービス業の新たな常識」を創り、「さまざまな業界からベンチマークされる企業」へと発展を遂げるべく、人材やサービスの質の向上を図っていく方針です。その中核となるのは、新しい課題に対して積極的に行動できる社員。“他責” “指示待ち”ではなく“自責”で物事を考えられる社員です。若手には明確な意思を持って自らの意見を発信し、行動を続けてもらいたいと思っています。一方で、若手がワクワクしながら働ける会社、多くの方々に「ホテル木暮で働いてみたい」と思ってもらえる会社をつくることが、私のミッションだと考えています。

社内で働く全員が“幸せ案内人”。宿泊業は人間にしかできない仕事の宝庫だ!

AI技術の進歩により、様々な仕事がテクノロジーによって奪われる可能性があると警鐘を鳴らされていますが、宿泊業の仕事は機械化できない部分が多く、人間にしかできない仕事の宝庫であると考えています。コンピューターと人間の得意分野は全く異なりますので、テクノロジーと人間がどのように協力し、補完し合うかを考えるべきではないでしょうか。膨大なデータを迅速に処理・分析し、パターンや傾向を特定することや、同じタスクを何度実行しても同じ方法で精密に計算することは、コンピューターが最も得意とする分野であり、どんなに優秀な人間であっても勝ち目はありません。一方で新しいアイデアや概念を組み合わせて独自の提案を生み出すことや、倫理的な問題に対して判断を下し、道徳的な観点から行動を選択すること、未知の状況や曖昧な問題に対して柔軟に適応し、解決策を見つけ出すこと、さらには、言語のニュアンスを理解し、非言語的コミュニケーションを用いて豊かに表現することは、コンピューターには決して模倣することができない人間独自の特徴です。こうした人間の特徴を大いに生かすことができるのが宿泊業なのです。

私自身がエンジニア出身ということもあり、当社では新しいテクノロジーを積極的に導入。コンピューターにできる仕事を徹底的に自動化することで、人間が時間と労力をかけて行っていた仕事を急速に減らしてきました。ITの活用により、従来は5名で行っていた業務を1名で完了できるようにする。1時間かけて行っていた手作業を5分で完了できるようにする。このようなかたちで省力化を進めてきた結果、社員は人間にしかできない仕事にフォーカスできるようになっています。

こうした環境下で働く皆さんは全員が「幸せ案内人」としての役割を担っています。そして、皆さんが幸せにする対象はお客様だけではありません。当社の社員は同じ会社で働く仲間たち、お取引先など、関わる全ての人を幸せにするというミッションに基づいて行動しています。人間は自分のためではなく、自分以外の人を幸せにするために最大のパワーを発揮できるようにプログラムされているはずです。疲れているときに自分一人であれば何もしないけれど、好きな人のためなら頑張ってしまう。こうした経験をお持ちの方であれば、その仕組みをご理解いただけるのではないでしょうか。

企業研究のポイント

何よりも大切なのは、自分の進むべき道は自らの意思で選び取るということです。学生生活とは違い、社会に出ると“卒業”といった決められた目標はありません。何もない場所に自ら「人生」というレールを敷き、その道を進むことになるからです。重要なのは「どこに向けてレールを敷くか」。レールの行き先を他人や運に任せる人生と、自ら選択する人生では、辿り着く先も大きく異なっていきます。そして、人生という壮大な旅の目的地を決める選択の第一歩が企業研究です。あなたが敷いた「人生」というレールを思い切り走ることができる風土の根付いた組織、最高の仲間のいる環境を見つけていただきたいと思います。
忘れてはいけないのは、「人生」の目標も、それを実現するのに適した環境も、一人ひとり違って当然だということです。自分の選択が他の人とは違っていたとしても、不安を覚える必要はありません。大切なのは、自分に必要な情報を自ら積極的に集めることです。多くの会社の内定を獲得して、誰よりも早く企業研究を終えることが、必ずしも良い選択に結びつくとは限りません。「この会社はなんとなく自分に合いそう」「この会社なら長く、楽しみながら働けそう」「自分にはどうも合わない」――。こうした感覚を大切にしながら、自分に合った環境を見つけてください。「疑う力」を発揮しながら、自分なりの“正解”を見つけるための行動を積み重ねていきましょう。

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中小企業では特に経営者の考えが現場にダイレクトに影響します。経営者を知ることは会社を知る近道でもあります。

マイナビ編集部から

群馬県の名湯・伊香保温泉を代表する湯宿「ホテル木暮」を運営する「株式会社木暮旅館」。今回、オーナーの木暮さんにお話を伺って感銘を受けたのは、何といっても、その強烈なベンチャー精神だった。同社は「環境の変化に合わせて、仕事のやり方も働き方も柔軟に変えていこう」「伝統にあぐらをかくことなく、進化を目指して絶えず挑戦を続けていこう」というマインドで、日々現場を歩き回り、社員の意見やアイデアを積極的に取り入れながら改善を重ね続けている。
また、今後は10年先、20年先まで視野に入れ、“サービス業の新たな常識”を創出すべく、人材・サービスのレベルアップにより一層力を入れる方針という。さまざまな分野で新たな構想を次々と実践に移し、イノベーションの創出に向けた挑戦を進めているのである。筆者はここに創業以来440年超の伝統を持つ同社の強さを垣間見た。観光・ホテル業界に興味関心をお持ちの方はもちろん、たゆみない挑戦と進化を続ける会社で、自らも飛躍的に成長していきたいという志をお持ちの方に企業研究をお勧めしたい会社である。

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“おもてなし”に関しても“唯一の正解”は存在しない。顧客のニーズに柔軟に対応するため、マニュアルはあえてシンプルにして、社員一人ひとりの主体性を大切にしている。

会社概要に記載されている内容はマイナビ2025に掲載されている内容を一部抜粋しているものであり、2026年卒向けの採用情報ではありません。企業研究や業界研究にお役立てください。

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