最終更新日:2024/7/23

厚生労働省埼玉労働局

業種

  • 官公庁・警察・消防

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埼玉県

取材情報

知識ゼロからの専門職

多様な業種の課題をキャッチし、労働問題の最前線で労働者や事業者と向き合う専門職

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どんな経験でも労働基準監督官としての業務に役立つものに

働く人、事業を行う人、仕事を探す人たちと関わり、「働く」ことを軸に、埼玉県に暮らす人々の労働課題の解決に取り組む埼玉労働局。異業界から労働基準監督官になり活躍する先輩職員に、その仕事の魅力を聞いた。

■Y.C.さん
労働基準監督官
大学院 応用分子化学専攻 修了/2014年入職
民間企業の非鉄金属系メーカー研究開発職として3年間勤務の後、入職

■K.M.さん
労働基準監督官
教育学部 教育社会学専攻 卒業/2023年入職

■Y.K.さん
労働基準監督官
外国語学部 外国語学科 卒業/2024年入職
調理師として1年間勤務。その後大学へ進学し、外国語学部卒業後入職

労働基準監督官として、今後の目標

「多様な業種の事業所に対し、それぞれの特性、背景を知った上で、課題解決に向けて交渉できる力を磨いていきたいです。信頼関係の構築が大切ですね」(Cさん)
「まだまだ上司や先輩に頼りながらの毎日。経験と知識、そして考える力を磨き、原因の分析から指導までをトータルで提案できるようになることが今の目標です」(Mさん)
「事業所の危険なところや法律違反にすぐに気づく先輩たち。調査に同行していると先輩たちの知識と視野の広さに驚かされます。私も早く追いつきたいです」(Kさん)

研究開発やものづくりの現場を知っている。この知見を活かし、労働者が安全に働ける環境づくりを提案したい

私が労働基準監督官に関心を持ったきっかけは、前職時代に感じていた働く環境への課題意識からでした。
大学院卒業後、非鉄金属メーカーで研究開発業務に当たっていた私は、業務で関わっていた工場での事故発生を機に、人が働く上での安全性を意識するようになったのです。
誰もが安心して、安全に自分の仕事に打ち込みたいはず。それなのに過重労働や労働災害などに巻き込まれ、つらい思いをする人がいる。それを防ぐような仕事があるのだろうかと、考えていく中で労働基準監督官を知ったのです。
2年間ほど時間をかけてじっくりと労働基準監督官採用試験の勉強を進めていきました。これまでは化学系の研究開発に携わり、工場が身近にあったという経験が活かせるとは思いましたが、法律の分野について学ぶのは初めてのこと。採用試験の勉強に加え、入職後の研修で、仕事を進める上での根拠となる法律への理解を深めていくことができました。

私たち労働基準監督官の仕事は、働く人の労働条件の確保、改善の指導によって、労働者の生活や生命、健康を守ることです。そのため、分野を問わずさまざまな企業を訪問し、労働基準法や労働安全衛生法などの法律に基づいた職場環境になっているかを確認します。
例えば、化学物質を取り扱う工場であれば、法律に基づいてその使用方法や作業をチェックし、労働者の健康と安全を確保するための提案を行います。
企業によっては安全を確保するための取り組みができない、予算がないなどの課題を抱えている場合もあります。その際には課題改善に向けてできることがないか、一緒に考え、提案していくことも。その結果、労働者や事業者から「働きやすくなった、来てくれて良かった」と言っていただけることもあり、その声が私たちのやりがいです。
このように工場の調査では、理系研究職時代の知見が役に立ち、より労働者の現場に寄り添った提案ができていると感じます。

近年では部下もでき、後輩の指導に関わる機会も増えてきました。上司や先輩たちから受け継いできた情報、視点、そして私の経験した事例などを伝えながら、OJTとして現場に即した教育、知識の継承をしていきたいと思っています。
法律という根拠と一人ひとりの知識や経験。この両方を活かして、労働者が安心して働ける環境をこれからも守っていきます。
【Y.C.さん】

家族が安心して働けていれば、子どもたちとの関係も円滑になるはず。労働と教育って実は密接に関わっている

大学では教育社会学を専攻していました。私が関心を持っていたのは、子どもの勉学における環境において、特に家族や友人に起こりうるいじめなどの問題と子どもに与える影響の因果関係でした。
そこで家族が長時間労働で疲れていたり、会社でハラスメントに遭っていたりすると、子どもとの関わりに悪い影響があることを知り、労働環境を改善するために、私は何ができるだろうかと考えるようになったのです。
小学校の教員免許も取得しましたが、大学3年生のころ、労働基準監督官という仕事があることを知り、採用試験に向けての勉強を開始。大学の同期と一緒に励まし合いながら合格を目指しました。

入職後の研修では法律の知識や労働監督の手法など、基礎をしっかり学ぶことができました。また研修と併行して、労働者からの相談対応から問題点を把握し、事業所を訪問して解決策を提案する等、実践へとつなげながら、自分自身の知識と経験を深めていく時間を得ました。
入職前、労働基準監督官は労働者の味方だと思っていました。しかし、実際に入職して、そこには法律を根拠に仕事をしなければならないという大前提があることを知りました。労働者がかわいそうだから事業所を指導するのではなく、法律を根拠に中立の立場で仕事をするのが、私たち労働基準監督官なのだと気づくことができました。

私たちは賃金や労働時間といった労働条件だけではなく、工場や建設現場等の安全衛生管理についても監督を行います。
私は現在、工場で発生した事故の原因を分析し、どうしたら今後の改善へとつなげていけるか、事業者が、改善策を納得のうえで実践できるようなアドバイスをしています。
事業者にとっては耳が痛いことを伝える場面も多いので、相手の事業や立場を理解しながら提案できる力が必要だと実感する日々。先輩たちから知識、情報、伝え方を吸収しながら、事業者との信頼関係構築に努めています。
子どもがいる労働者から「仕事を休ませてもらえない」という相談を受け、事業者に有給休暇の趣旨や法律を説明することで、企業の労働環境が変わったという結果につなげたことがありました。
このような場面で「ありがとう」という言葉をいただけることが、この仕事のやりがいですね。
【K.M.さん】

労働基準法など法律の基礎知識、相談業務の技術など、入職後の研修でしっかり学んで一人前を目指せる

食を通じて人を幸せにしたい、そんな想いを持ち、高校卒業後は調理師として1年間、勤務していました。しかし働く環境がハードなうえ、人間関係に悩みを抱えながら仕事をしているうちに、自分の未来に不安を感じるようになったのです。
そこで一度キャリアをリセットしようと、大学へ進学。英語を学び、労働環境の安定したところで働きたいと公務員で働くことを視野に入れてリサーチを始めました。その過程で、企業が従業員のために労働基準法を守っているか調査する、労働基準監督官という仕事と出合ったのです。

私自身がつらい環境で働いていた経験があり、過去の自分のような人に対して少しでも助けになるようなことができればと思ったことが、入職を目指すきっかけでした。仕事においてやりがいを実現することは大切ですが、法律に守られて働くことで安心して夢を追求できるのではないか。今までの仕事や大学の専攻とは異なる分野ですが、私の経験が活かせるのではないかと思ったのです。
大学の授業と労働基準監督官採用試験の勉強を併行して行うのは大変でしたが、未知の分野を学ぶ面白さもありましたね。

労働基準法を守り、労働者と事業者が信頼しあって働ける環境づくりを支援、指導できる労働基準監督官になることが私の目標です。
現在は先輩のアシスタントとして、監督の同行や労働基準法に定められている労働時間のルール「36協定」の届け出や確認、労働者からの相談対応などを行っています。
この現場での実務に加え、6月には埼玉県朝霞市にある労働大学校にて、4週間の研修を受けました。ここでは労働基準法など法律や労働環境に関する基礎知識を学ぶだけでなく、労働者からの相談対応のロールプレイングも経験。労働基準監督官としての実務、そのベースとなる部分を幅広く理解しました。
また全国から100人ほどの同期が集まる機会でもあったので、互いに交流をすることでこれから本格的に始まる仕事へのモチベーションも上がりました。多様な経験を経てここに集まっている同期たち。多角的な意見に触れる機会となっただけでなく、全国に切磋琢磨し合える仲間ができました。
どんな経験でも無駄にすることなく、相談対応や事業者理解につなげて役立てることができるのが、この仕事の魅力です。相談者の気持ちが少しでも晴れるような支援をしていきたいです。
【Y.K.さん】

企業研究のポイント

公務員というと役割や職場を異動しながらキャリアを積むイメージを持っている方が多いかと思います。しかし私たち労働基準監督官は、国家公務員の中でも専門職という位置づけとなり、ひとつの分野の業務に長く従事し、そこで力を磨き専門性を高めていくという働きかたをしています。
私たち労働基準監督官は、労働者の安全や働きかたの改善に対応するプロであり、さまざまな分野の企業、事業、働きかたに応じた柔軟な解決策を提案できる力などが求められます。そのため一人ひとりに蓄積された知識や経験が活かされる仕事といえます。

正義感を持ち、人の役に立ちたい、自分の経験や専門性を追求していきたいというような考えが活かせる仕事です。法律を中心に多様な価値観を兼ね備え、労働者や事業者と向き合っていくことにやりがいを感じられる人が活躍できる環境だと思います。
公務員を目指すかたは、人のために働きたいという想いを持つ人が多いでしょう。その上で、公務員にもさまざまな働きかた、役割、専門性があることを知ってください。その中にあなたがより活躍できる分野があるかもしれません。
労働基準監督官はオフィスの外に出て、労働者や事業者と関わり、多様な価値観に触れる仕事です。好奇心旺盛で人とコミュニケーションを取ることが好き、相手に寄り添った支援や提案をしたい、そんな想いが活かせます。
【人事係 高田健介さん】

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「全国異動のイメージがある国家公務員ですが、労働基準監督官は勤務地となる労働局を選べるのも特徴。生活基盤を変えずに長く働けます」と高田さん。

マイナビ編集部から

厚生労働省の地方機関として、埼玉県という地域に密着して“働く”に関連する多様な行政分野の運営を、総合的かつ一元的に展開している埼玉労働局。今回の取材に登場した3人の労働基準監督官のように、労働基準法に基づいて働く人の生活や生命、健康を守るために相談や調査、指導を行う業務だけでなく、求職者に対する就職支援や企業に対する人材確保支援などを行う「ハローワーク」の運営、働きかた改革や女性の活躍推進に取り組む部門などがある。

国家公務員専門職である労働基準監督官だが、活躍する職員は多様な背景を持ち、それぞれの専門性と労働基準法という法律を根拠として、労働環境の調査や改善提案に取り組んでいる。
入職後1年間は研修所と現場を行き来しながら、法律、労働者や事業者との相談対応、指導などを収集して学べるプログラムがある。法律分野の学習経験がなくても専門職として活躍できるまでサポートする体制が整っているのも特徴といえるだろう。
Cさんのように理系の研究分野出身である知見を、労働災害の原因分析や対策に活かしている職員、MさんやKさんのよう法律以外の分野の経験をもとに、労働者に寄り添った対応を得意とする職員など、互いにコミュニケーションを取りながら知識を分け合い業務を進めている埼玉労働局。
働く人を法律の視点から支えるには、多様性のある視点や提案が欠かせない。それを体現する環境があると感じられた。

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労働基準監督官の試験には文系・理系2つの区分があり、学生時代の学びを活かしながら活躍できる環境だ。局内の各部門が連携し合って埼玉県の働きかたを支えている。

会社概要に記載されている内容はマイナビ2025に掲載されている内容を一部抜粋しているものであり、2026年卒向けの採用情報ではありません。企業研究や業界研究にお役立てください。

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