最終更新日:2025/4/18

日本鋳造(株)【東証スタンダード上場】

  • 正社員
  • 上場企業

業種

  • 鉄鋼
  • 建築設計
  • 機械
  • 金属製品
  • その他メーカー

基本情報

本社
神奈川県

取材情報

仕事・キャリアパスについて伝えたい

『鋳造』は、ミクロの世界を拓く。先端ガジェット製造、宇宙開発でも欠かせない技術

PHOTO

知るほどに奥深い、合金づくりの世界に魅了

鋳造への何気ない興味から、同社に飛び込んできた蓮見さん。そこで手がけることになったのは、超高精度が要求される機器類を形作る素材の開発。先進技術の粋を集めた領域においても、鋳造は重要な役割を果たす。

■蓮見 侑士さん
素形材開発技術部
2020年入社/工学部材料工学科卒

先輩の横顔

日本鋳造について「技術に熱い会社」だと語る、蓮見さん。一人ひとりが熱意をもって仕事に取り組む一方、行き詰まったら気軽に相談することができる環境があるという。
旅行好きな蓮見さんは、まとまった休みがあると国内各地に出かけることが多い。その土地ならではの風景、名産品にふれる時間が、良いリフレッシュになっているそうだ。
川崎市という都心に近いロケーションにある点も、神奈川で働きたいという人にとっては魅力的。年間休日も125日あり「余裕をもって働ける環境がある」という。

半導体製造、航空宇宙分野など。超高精度な機器づくりに要求される、厳しいスペックを追求

学生時代は、金属の材料力学をはじめ材料全般の物理、化学について幅広く学びました。当社に興味を持ったのは、講義を通じて「鋳造」という分野があることを知ったことがきっかけです。とても古くからある造形方法でありながら、今なお、さまざまな分野に使用されている製造技術。その奥深さを学ぶほどに、もっと掘り下げてみたいと思うようになりました。

現在、私が取り組んでいるのは、鋳造に使う新しい合金の開発です。例えば、鉄とニッケルを混ぜて作る低熱膨張合金と呼ばれるものも、その一つ。これは、熱による変形が小さいため、半導体の露光装置や宇宙航空分野で使用される部品など、極めて高い精度が要求される機器類に使用される材料です。
半導体チップを作る過程では、レーザーを使って回路を焼き付けますが、レーザーにさらされて機器類の温度が上がることで熱膨張が起こり、ズレが生じてしまう恐れがあります。半導体チップの回路にはミクロン単位の細さが要求されるため、ほんのわずかなズレも許されません。そこで、低熱膨張の素材が求められてくるわけです。

一方、航空宇宙分野における例としては、宇宙衛星の中に搭載されるカメラにも使用されています。部品に熱膨張が起こると、カメラレンズの位置関係にズレが生じて、正しく撮影することができなくなってしまうわけです。
鉄とニッケルを混ぜた合金を、鉄単体で使用した場合と比較すると、熱膨張による影響を約60分の1にまで抑えることができます。宇宙環境下では200~300度、レーザーを使用した機器の場合は数百度にも達することが想定されるため、まさになくてはならない素材と言えます。

低熱膨張合金の開発にあたっては、装置メーカーの担当者と打ち合わせを重ね、どのようなスペックを実現すべきかなどについて、徹底的に詰めていきます。会議の場で気をつけていることは、専門外の方に向けて分かりやすく、噛み砕いてお話しするということです。メーカーの担当者は機械を作っている方々、それに対し、こちらは材料系の開発者集団です。同じ工学エンジニアであっても、専門分野が異なるため、材料の初歩から分かりやすく解説するようにしています。

論文を参照しながら、あくなきトライ&エラーを重ねる。会社に蓄積された、膨大なデータも手掛かりに

入社から数年を迎えて、会社にも、仕事にもすっかり慣れてきました。しかし、新人時代を振り返っても、それほど戸惑いを感じたことはなかったです。合金の専門知識については、1~2年目まで上司や先輩がきめ細かくフォローしてくれました。また、次々と業務を与えられるのではなく、学ぶ時間を取って頂いたため、そこまで苦労したという感覚はありません。ただ、学生時代までの環境と異なり、幅広い年代の方々とのコミュニケーションが必要となるため、入社当初は、少々難しさを感じた程度です。

実際の合金開発プロセスですが、何度も試作品を作り、トライ&エラーを繰り返しながら完成を目指していきます。といっても、全くゼロベースから着手するわけではなく、適宜、大学や研究機関から出されている論文などからヒントを得ることができます。何より心強いのは、当社が100年以上の長きにわたって蓄積してきた、実験データを活用することができる点です。そこから推理し、方向性を見出していくため、いわゆる「暗中模索」的な開発では決してありません。

ある程度、完成に近づいてきたら、測定器を使って目指すスペックが実現できているかどうか確認します。素材の用途によっては、熱膨張率を低く保ちながら、同時に強度や硬さなどが要求される案件もあります。こうして、ラボにおいて一定の結果が得られるようになったら、次は工場での試作段階に入っていきます。工場では、ラボと比較した場合、100倍以上のスケールで製造を行うため、ラボで見られたのとは異なる不具合、物性が確認されることも少なくありません。そうなると、滞りなく量産することができなくなるので、再びラボに戻って修正を加えていくことになります。
また、私たち開発担当は、常にいくつかのプロジェクトを並行して担当しています。多い時には5~6もの案件を、綿密なスケジューリングのもと、同時に進めていかなければなりません。

仕事で醍醐味を感じるのは、予想した通りに開発が進んで、目指す結果にたどりついた時です。開発にあたっては、材料工学に関する知見から、どのようにすれば目標に到達することができるか、推論を立ててから取りかかります。それがピシャリと的を射て、思惑どおりに進んだ時は、開発に取り組む者として、この上ない喜びを覚えます。

さまざまなプロジェクトや共同研究を通して知見を拡大。全く新しい合金を開発することが、究極の目標

私がメインで担当している仕事は、低熱膨張合金の開発ですが、これ以外の仕事に挑戦させていただく機会も、これまで数多くありました。例えば、入社以来携わってきた金属3Dプリンターの開発プロジェクトもその一つです。これについては、立ち上げから参加することができ、3年目にはお客さまからご注文をいただけるまでになりました。

3Dプリンターと聞くと、樹脂を吹き付けて形を作っていく装置を想像されると思います。一方、金属3Dプリンターは金属の粉末積層造形という技術を応用した製品となっていて、鋳造と比較した場合、より寸法精度の高いものを作ることができるのです。さらに、鋳造のように型を必要としないため、より短い納期に対応することが可能です。

このほか、当社では取引先企業をはじめとする、さまざまな企業の研究者、大学の先生方との共同研究に取り組んでいます。そうした場に参加させていただくことは、視野を広げる上でとても役立っています。様々な専門分野の方々とお会いし、意見を聞くことにより、自分の研究分野に対する見方が変わることもあります。視点を変えて見ることの大切さを、あらためて認識することができます。
これまで、低熱膨張合金を専門に取り組んできましたが、今後、チャンスがあれば、より幅広い分野で使用される合金の開発に取り組んでみたいと考えています。今までになかった、新しい機能を持った合金を作り出すことが、究極の目標です。

学生時代、金属材料について学び、鋳造の可能性に惹かれて、この会社に飛び込んできました。仕事に臨むにあたっては、大学で学んだ知識を十分に活かすことができています。その点で、思い描いた働き方とのギャップはありません。ただ1つ、いくつものプロジェクトを同時に動かしていくことについては、慣れるまで難しさを感じました。しかし、これについてもタイムマネジメントを学び、経験を積むに従って臨機応変な対応ができるようになりました。今では無理なく、計画的に仕事を進められるようになりました。

学生の方へメッセージ

これから就職活動を始めるみなさんは、きっと、自分なりの軸を持っていると思います。私にとっての軸は、大学で学んだ知識が活かせる会社でした。やはり、せっかく身につけてきた材料工学、なかでも金属に関する知識を、いかんなく発揮できる分野で働きたいと思いました。さらに、授業を通して鋳造という魅力ある技術と出会い、この長い伝統を持つ製造方法について、もっと深く知りたいという思いがありました。この2つが結びついて、たどり着いたのが日本鋳造という会社だったわけです。
就職活動の初期段階においては、きっと多くの企業を見て回ると思います。それは、最初の情報収集段階において必要なことで、まずは世の中にある企業を、幅広く知ることから始めるべきだと思います。納得できるまで、徹底的に数多ある企業を見渡した上で気になるところが見つかったら、今度は深く、狭く調べていくのです。やりたい業種・企業を絞り込んで、詳細な情報を集めてください。本当にやりたいことができるのかを、しっかり見極めてください。
当社は、鋳造という製造方法に特化した会社であり、そこに関連した技術について徹底的に掘り下げていくことができます。一つの分野に特化し、そこを究めていきたいと考える人にこそ、向いている会社だと思います。

PHOTO
100年以上の長きにわたり、鋳造に取り組み続けてきた会社。そこで活躍する開発者たちにも、一つのことを掘り下げるクラフトマンシップがしっかり受け継がれてきている。

マイナビ編集部から

1920年に創業した日本鋳造は、100年以上にわたって技術と信頼を育み、モノづくりの原点といえる鋳造を通して日本の産業に貢献してきた。現在は鋳鋼品の開発・製造に加え、橋梁に欠かせない支承類や伸縮装置、建築構造物用の接合金物類など、幅広い分野へ事業を広げている。自社開発の低熱膨張材「LEX-ZERO」は半導体や精密機器などの先端分野に用いられ、数々の橋梁や建築物にも同社の技術が注ぎ込まれている。

同社で働く魅力は、モノづくりの実感を味わいながら、ミクロ単位の精度や安全性の向上に挑み、産業・インフラに貢献できること。開発・設計・製造の一貫体制を整え、従業員数300名弱の規模であるため、セクションごとの垣根がなく、お互いに連携してよりよりモノづくりを追求できる。若手のうちから責任ある仕事を任され、チャレンジできることも、オープンな社風で社員一人ひとりの存在感が大きい同社の魅力といえよう。

同社の製造拠点や研究拠点には、溶接ロボットや3Dプリンターなどの最新設備が配備され、水素ガスによる切断ロボットを導入するなど、CO2の排出を抑えた“グリーンなモノづくり”にも積極的に取り組んでいる。100年来培った技術と信頼をベースに、未来のモノづくりを切り拓くチャレンジに意欲的な同社。モノづくりに挑みたいという人は、ぜひ見逃さずにエントリーしてもらいたい。

PHOTO
「若手社員がモノづくりの最前線で活躍し、ベテラン陣が心強くフォローしています。年次や部署などの壁がなく、気さくに相談できる雰囲気です」と採用担当の齋藤さん。

トップへ

  1. トップ
  2. 日本鋳造(株)【東証スタンダード上場】の取材情報