最終更新日:2025/4/18

日本鋳造(株)【東証スタンダード上場】

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基本情報

本社
神奈川県

取材情報

仕事・キャリアパスについて伝えたい

巨大建造物を支えつづける「鋳造」は鉄道・道路網、橋梁における安心・安全のカナメ

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交通インフラを、精密な技術で支えるやりがい

「システムより、実体あるモノづくりを!」と 確かな手応えを求めて、日本鋳造に入社を決めた吉田さん。彼が手がける製品は、まさに交通インフラを根底で支えるモノ。その責任感がモチベーションの源となっている。

■吉田 健人さん
鋼構造技術部 支承設計・開発室
2022年入社/理工学部機械工学科卒

先輩の横顔

高校時代、バドミントン部だったという吉田さん。今でも時々、母校に足を運び、OBとして後輩の指導にあたることも。また、休日は地元の友人と遊びに出ることも多い。
現在、会社近くの寮に住んでいる吉田さん。交通の便がよく、安く住めるとあって寮を利用する社員は多い。また、横浜などにも気軽に足を伸ばせるアクセスの良さも魅力。
入社2年目の吉田さんにとって、なにより嬉しいのは先輩が皆優しく、気軽に相談できる環境があることだという。仕事が終わると、寮の仲間と食事を楽しむこともあるそうだ。

実習を通して体感した鋳造の楽しさと奥深さ。「実体あるモノ」を作る仕事を、求めていたことを知る

大学の研究室では、コネクテッドカーやダイナミックマップなどについて学んでいました。ダイナミックマップと呼ばれるシステムは、自転車などにセンサーを搭載し、そこから得られたデータを地図の中に落とし込んでいくというもの。どのあたりで工事が行われているのか、交通渋滞しているのか、といった情報をリアルタイムで地図上に表示していくのです。こうした技術に取り組むのも面白かったのですが、その一方、実習で金属に触れた楽しさが、自分には忘れられませんでしたね。ソフト的なものではなく、実体のあるモノづくりに取り組んでみたいと思うようになりました。

きっかけとなったのは、大学の金属材料に関する授業で経験した、鋳造技術を使って灰皿を作るという実習でした。砂の金型に溶かしたアルミを流し込み、一つのモノを作るという一連の流れ。研究分野とは縁遠い内容でしたが、何ともいえない面白さを感じました。
そして、就職活動にあたっても、金属に関連したBtoBビジネスを手がけている会社に入りたいと考えるようになったのです。
当社のホームページを見て、まず、感じたのは設備や試験機がとても充実している会社だなということ。また、100年以上も続く企業ということで、その安定性も魅力的に感じられました。

入社後、最初の1カ月間は、新入社員が集まっての全体研修が行われました。まだ、それぞれの所属が決まっていないため、工場に足を運び、製品がどのように作られているのかについて詳しく教えていただきました。また、自分たちでも会社のマークが入った文鎮を作ったりして、鋳造の基本的な事柄を学んでいきました。
一方、座学による研修では、これから自分が取り組んでいくことになる、橋梁の種類、それにまつわる専門用語などについても学習。さらに、業務で使用することになる、ソフトウェアの操作方法についても、一から詳しく教えていただくことができました。その後、設計チームに配属されることになったのですが、CADの使い方について学べたことは、仕事をする上で大いに役立っています。2D、3Dに対応したAutoCADは、自分にとって全く未知のものだったのですが、初歩からじっくりマスターしていくことができました。

交通インフラを支える、縁の下の力持ち。支承・伸縮装置の設計は、長期スパンのもと進められていく仕事

現在、私が取り組んでいる設計業務には、二つの種類があります。一つは、高速道路や橋梁などを支える「支承」とよばれるモノの設計。もう一つは、高速道路のつなぎ目などに使用される「伸縮装置」とよばれるモノの設計です。

支承とは、橋梁において上部構造と下部構造の間に用いられます。高速道路や高架鉄道などでは、橋台、あるいは橋脚とよばれる柱(下部構造)の上に自動車や列車などが通る橋桁(上部構造)が載せられています。しかし、柱の上に直接、この橋桁を載せてしまうと、さまざまな弊害が発生してくるのです。例えば、温度変化によって橋桁が収縮した場合、その移動によるズレが生じてしまいます。この移動を吸収するために柱と橋桁の間に支承を設置するわけです。このほか、橋桁に生じるたわみに追随したり、地震発生時にかかる水平力から橋梁を守る役割も担っています。

そして、もう一つの伸縮装置とは、橋桁と橋桁などの隙間に用いられます。どんな物質であっても、気温の変化によって伸縮するのですが、橋梁のように大きな構造物ともなると、その伸縮の幅も非常に大きくなります。伸縮装置はこの伸び縮みに合わせて、部品自体が伸び縮みすることで、橋桁にかかる負荷を軽減する役割を担っています。

これらは高速道路や鉄道の高架線、海・河川にかかる橋梁の建設に関わる仕事だけに、プロジェクトは数年単位で進められていきます。
案件の発端は、まず、お客さまから目標数値だけを示され、これを満たすモノを作ってみてくださいというオーダーが入ります。私たち設計担当は、その要件を満たす方法を考え、設計図に落とし込んだ上でコンペティションに向かいます。そこで、自分たちの考えた設計案についてのプレゼンテーションを行い、お客さまに評価していただくのです。最終的には、価格や設計思想などから総合的な判断がくだされ、正式に橋梁メーカーなどを経由してオーダーをいただくという流れ。図面作成から、橋梁が完成するまでは、少なくとも数年の歳月がかかるのです。

入社1年目の私は、まだ自分の設計した支承・伸縮装置などが、実際の建設物に取り付けられた光景を見たことがありません。設計に携わる者としては、実際に作られたモノを見てみたいという気持ちが強いですね。先輩方のお話を聞いていると、自分の携わったモノを見るため、自動車で遠方まで出かけることもあるようです。

入社後、100年以上にわたる蓄積技術の重みを再確認。数々の体験から、社会的役割の大きさを実感する

入社以来、設計業務に取り組む一方で、さまざまな勉強の機会を得ることができました。最も印象的だったのは、振動台実験の見学をさせていただいた経験です。兵庫県南部地震の地震波形を再現できる実験装置がある場所を訪れ、そこでダンパーの実験を間近に見ることができました。規模が大きく、とてもエキサイティングな体験をすることができました。

また、支承分野で豊富なノウハウを蓄積してきた当社には、難易度の高い案件が持ち込まれることも少なくありません。例えば、横浜市の新山下運河に架かる「霞橋」も、その一つです。この橋に使用されているプラットトラスは1896年にイギリスで製造されたもので、当初は日本鉄道土浦線(現・常磐線)の隅田川橋梁として利用されていました。その後、1929年に新鶴見操車場に移設されたのですが、同操車場の廃止にともない、霞橋として再々利用されることが決まったのです。この歴史的橋梁の支承製造を担当したのが、私たち日本鋳造でした。現代の耐震基準を満たす装置に作り変える一方、歴史的建造物の継承という観点から、再利用できるものについては極力、製造当時の形をとどめるよう配慮したということです。こうして復元された霞橋は2013年、橋の世界で最も権威ある賞といわれる「田中賞」を受賞しました。当社の技術とノウハウを使えば、これほど昔の橋であっても、現代によみがえらせることが可能なのです。

入社2年目の私にとって、当面の目標は、何か一つ自分が関わった支承・伸縮装置が、実際の建設物に取り付けられているシーンを見ることですね。もちろん、そのためには設計技術をさらに磨いていく必要があると考えています。早く一人前になって、自分が設計した支承の完成品に触れてみたいと思います。入社以来、先輩に教えられながら取り組んできた案件は、ある程度出来上がった状態から引き継いだものでした。この設計はすでに終了しているので、これから高速道路に取り付けられることになっています。

支承・伸縮装置などのインフラを支える製品は、阪神淡路・東日本といった震災や時代背景を機に、設計基準が変化していきます。また、高度経済成長期に建造された社会インフラの多くは、すでに更新時期を迎えています。今後、私たちが果たす役割も、ますます大きくなっていくことでしょう。

学生の方へメッセージ

理系出身者にとって、学生時代に身に付けた知識が、どれくらい活かせる仕事なのかという点は、とても気になるところだと思います。私の場合、機械系学科の出身だったので橋梁については全く知識がなく、入社当初は戸惑うこともありました。しかし、材料力学についての知識や図面作成にあたって必要となる製図のルールについては、大学で学んだことが役に立っています。

これから就職活動に取り組む方は、まずは大学における研究分野、授業で触れて興味が持てそうだと感じた分野から、業界を選んでいけばよいと思います。私の場合、研究室で取り組んでいたのはコネクテッドカーやダイナミックマップといった分野でしたが、最も強い興味を覚えたのは、授業で触れた鋳造技術でした。また、入社した時点でも鋳造に関する知識は、それほどありませんでした。しかし、心からやりたいと思える分野であれば、それを優先することが大切だと思います。

企業研究をしっかりしておくことも大切です。企業について詳細な知識を持っていれば、面接の場でも深い話ができますし、面接官にも良い印象を与えられるはずです。その企業だけにとどまらず、同じ業界の会社についても、しっかり調べておくと、より話が弾むと思います。

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専門知識を活かすことも大切だが、自分が「やりたい!」と、心から思えるなら、臆せず目を向けるべき。未知の領域に挑んだ吉田さんを支えたのも、その熱意にほかならない。

マイナビ編集部から

1920年に創業した日本鋳造は、100年以上にわたって技術と信頼を育み、モノづくりの原点といえる鋳造を通して日本の産業に貢献してきた。現在は鋳鋼品の開発・製造に加え、橋梁に欠かせない支承類や伸縮装置、建築構造物用の接合金物類など、幅広い分野へ事業を広げている。自社開発の低熱膨張材「LEX-ZERO」は半導体や精密機器などの先端分野に用いられ、数々の橋梁や建築物にも同社の技術が注ぎ込まれている。

同社で働く魅力は、モノづくりの実感を味わいながら、ミクロ単位の精度や安全性の向上に挑み、産業・インフラに貢献できること。開発・設計・製造の一貫体制を整え、従業員数300名弱の規模であるため、セクションごとの垣根がなく、お互いに連携してよりよりモノづくりを追求できる。若手のうちから責任ある仕事を任され、チャレンジできることも、オープンな社風で社員一人ひとりの存在感が大きい同社の魅力といえよう。

同社の製造拠点や研究拠点には、溶接ロボットや3Dプリンターなどの最新設備が配備され、水素ガスによる切断ロボットを導入するなど、CO2の排出を抑えた“グリーンなモノづくり”にも積極的に取り組んでいる。100年来培った技術と信頼をベースに、未来のモノづくりを切り拓くチャレンジに意欲的な同社。モノづくりに挑みたいという人は、ぜひ見逃さずにエントリーしてもらいたい。

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「若手社員がモノづくりの最前線で活躍し、ベテラン陣が心強くフォローしています。年次や部署などの壁がなく、気さくに相談できる雰囲気です」と採用担当の齋藤さん。

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