最終更新日:2025/3/1

坂元醸造(株)

  • 正社員

業種

  • 食品
  • 専門店(食品・日用品)
  • 外食・レストラン
  • 農林・水産
  • 商社(食品・農林・水産)

基本情報

本社
鹿児島県

取材情報

事業について伝えたい

江戸時代より200年受け継がれる製法を今も、そしてこれからも──

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当社自慢のこだわりの黒酢づくりをぜひ、体感してください!

■くろず情報館
来館者に「坂元のくろず」に関する歴史や製法などを、パネルや映像で紹介。商品売店やくろずの試飲コーナーもあり、多くのお客様が訪れる。消費者の声を直接聞ける大切な場でもある。

■くろずレストラン
2010年3月末にオープン。自社の「坂元のくろず」を使った体にやさしい料理を提供している。店内からは壺畑越しの錦江湾と桜島という、坂元醸造ならではの絶景が広がる。

『坂元のくろず』ができるまで…

仕込みが行われるのは春(4~6月)と秋(9~10月)の年2シーズン。4人1組となり、4工程を流れ作業で進めていく。まずは空の壺に「混ぜ麹」と呼ばれる米麹を入れる。
次は「蒸し米」。これは鹿児島県産のうるち米を1~2分づき(玄米を1~2%削る)にして蒸したものだ。その後、殿様に献上していた程上質な「地下水」を壺の七分目まで注ぐ。
最後に「振り麹」。これが水の表面を覆い、中蓋の役割を果たす。液がアルコールに変わると自然と沈んで酢酸発酵を促し、酢を作る。

江戸時代から守り続ける、壺づくり「黒酢」の伝統製法

鹿児島県の特産品として、福山から全国に発信している「黒酢」。江戸時代から200年の間、変わらない製法で作り続けられています。錦江湾に面した温暖な気候や、姶良カルデラからもたらされる県下有数の地下水、そして当時は物流において藩の重要港湾だったことで物資調達に恵まれていたこと。さまざまな条件が重なり、地域産業として発展してきました。
大平洋戦争後、大量生産できる合成酢の台頭で下火になる中、当社だけが伝統製造技術を守り、今日へつなげてきたことも誇りです。逆境でもあきらめることなく、実直に前を向いて信じた道を貫く。伝統製法とともにそんな姿勢も社員に受け継がれている気がします。

自然エネルギーとともに育む、52,000の子どもたち

当社の黒酢づくりは原料である米麹、蒸し米(1~2分づき)、地下水を壺へ仕込んだら、後は自然の力に委ねるのみ。私たち職人は毎日ひとつずつの壺を見回ります。こんなふうに目と鼻、耳をフル活用して発酵の具合を確かめることを「顔を見る」と表現します。壺が並ぶ畑は10カ所あり、壺は全部で52,000個。同じように仕込んでも優等生の壺もあれば、伸び悩む壺も。それらには「手当て」をして成長を助けます。顔色がよくなり、順調に育つとうれしいですね。仕込みから1年以上かけて収穫となりますが、収穫時期を見極めるのも職人の重要な仕事です。
黒酢づくりは子育てのようなもの。目をかけ、手をかけて市場へ送り出したわが子が全国で愛され、なかには壺畑まで足を運んでくださる人もいます。そうしたお客様と直接触れ合えるのも職人の醍醐味です。

神秘的な製品だからこそ生まれてくる新たな可能性の芽

黒酢づくりでは液体の「黒酢」のほかに、発酵過程で生まれる米由来の「くろずもろみ末」ができます。当社では、このもろみ末を健康素材としてサプリメントなどの原料として有効利用。また、一つの壺の中で糖化→アルコール発酵→酢酸発酵が進む類い稀な製法には、麹菌、乳酸菌、酵母、酢酸菌などの微生物が複雑に関係しています。
まだまだ解明されていない部分も多く、当社では30年以上前から黒酢やもろみ末の機能性について、大学や国の機関と合同研究を進めています。以前、他の方法で黒酢づくりに挑戦したこともありましたが、先人の仕事の素晴らしさを痛感しました。だからといって漫然と伝統をなぞらえているだけでは駄目。製法はそのままに、新たな展開を常に模索しています。

学生の方へメッセージ

新入社員の1年目は研修期間。様々な部門で一通り仕事を経験し、「くろず情報館」や「くろずレストラン」に勤務しながら、接客や商品に携わります。その中の一つに、壺畑での仕込み作業もあるんです。当社の製法は混ざり気のない、ありのままを大切にしています。働く人も素直な気持ちで仕事に取り組んで欲しいですね。
そして、笑顔と感謝の気持ちを持ち続けられる人。黒酢が好きで好奇心旺盛なら、尚良しです。私自身も職人になってからいつのまにか黒酢づくりに魅了されました。この仕事は本当に奥が深いと思いますよ。
【壺畑 醸造技師長 坂元宏昭】

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壺畑で仕込みを行う職人たち。仕込みから約6カ月で酢となり、半年以上の熟成期間を経て黒酢となるまで大切に育てていく。

マイナビ編集部から

今や全国に浸透している「黒酢」。実はこの名称、坂元醸造が製品に付けたのが始まり。ここは黒酢発祥の地なのだ。現在においても、江戸時代から変わらぬ製法にこだわり、なかには200年前から使われ続けている壺や畑もあるという。伝統製法の黒酢づくりは、福山の環境でしか、つくりえない独特なもの。陶製の壺に米麹と蒸し米と地下水を入れて待つ。壺のサイズを変えただけでも失敗するし、研究機関が原料や壺をそのまま持ち帰って同様に仕込んでみても酢にすらならないという。土地と環境が作る不思議な食品を、日々変化する環境で同様の品質でつくり続けるのは並み大抵の努力ではない。そういった点でも同社が歩んだ200年の歳月は偉大である。社員もそれを感じ、歴史に携わる誇りと自負を持って働いているように感じた。
予防医学の意識により、黒酢・もろみ末ともに健康食品としての需要も高く、独自の製法を大切にしながら「坂元のくろず」の魅力をより深めていく開発・研究にも余念がない。鹿児島・福山発のブランドとして、同社はなくてはならない存在なのだ。

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江戸時代から変わらぬ伝統製法で、職人たちが丹精こめてつくりあげる「坂元のくろず」。予防医学が浸透する現代において、今後ますます需要が高まりそうだ。
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