最終更新日:2025/4/14

サンエス(株)

  • 正社員
  • 既卒可

業種

  • プラント・エンジニアリング
  • 設備工事・設備設計
  • 検査・整備・メンテナンス

基本情報

本社
大阪府

取材情報

事業について伝えたい

激動の半世紀を超えて、原発は、また新たな未来の可能性に挑みはじめている

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エネルギーの未来を、技術とノウハウで支える使命と覚悟

原子力発電所に特化したプラントエンジニアリング会社として、全国各地の原子力施設で存在感を発揮してきた「サンエス」。原発の半世紀を見つめ続けてきた明石社長に、原発のこれまでと未来、同社の展望を伺った。

代表取締役 明石 富三

「サンエス(株)」の企業理念とは

「1.社会的に有益であり、存在価値のある会社として展開し社会に貢献する」。人と社会、今と未来を技術力でつなぐエンジニア集団としての誇りが、最大の原動力です。
「2.お客様の喜びを会社の使命、お客様からの感謝を会社の利益とする」。目の前の仕事が、人の喜びや利益につながるものであることを忘れず確実な業務を遂行しています。
「3.仕事は自身の自己実現の場であり、仕事により自己の存在価値を高める」。ほかの誰でもない自分がその場にいる意味を自覚することが日々の充実感を育んでくれます。

原子力発電所に特化したプラントメンテナンスと放射線管理

当社は1981年の設立以来、原子力発電所に特化したメンテナンス会社としてプラントエンジニアリング事業を展開してきました。なかでも原子炉本体をはじめ重要な設備をメインに扱う大手電機メーカーの放射線管理を多く手掛け、専門的かつ極めてシビアな管理スキルを獲得。大阪を拠点に、北は北海道から南は九州まで全国に事業を拡げながら着実に成長し、今年設立42周年を迎えました。

“原子力施設のメンテナンス”と言ってもなかなかイメージが湧きづらいと思いますが、例えば自動車の車検のようなもの、と言えば分かりやすいでしょうか。普通自動車の場合、2~3年の車検が義務付けられ、安全に走行できるかさまざまな部品・性能の確認と必要に応じた部品の交換が行われます。原子力発電所もそれと同様、日常点検を行うとともに13ヵ月に1回定期点検が義務付けられ、一定期間稼働を停止してしっかりとしたメンテナンスを行わなければなりません。原子力発電所のメンテナンスは大きく機械関係・電気系統・計装関連の3つの領域に分類され、各種機器・設備の分解点検や検査、部品の交換などを実施。さらに品質管理・計装試験においては発電所に据えつけられている各種機器・設備の目視点検や非破壊検査と改修を行って、設備の品質が正常に機能するよう維持します。

一方、車検や一般的なプラントメンテナンスにもない、原子力発電所ならではの業務もあります。それこそ、当社事業の約8割を占める放射線管理業務です。放射線管理業務とは、放射線防護を目的とした作業環境測定や放射線測定器の点検保守、搬出物品の汚染管理などのこと。原子力発電所内で作業するメーカーやその関連会社などの技術者が、作業中被ばくする放射線量を国が定める規定値内におさめるため、空間線量率や空気中の汚染濃度など周辺の放射線環境をモニタリング。さらにその測定値を踏まえ、「どうやって被ばく量を減らすのか」の施策を立案し、作業員に対して防護服着用が必要であるかや作業時間限度などの指示・管理を行っています。

原子力ルネッサンスから3.11、そしてカーボンニュートラルの実現へ

当社の設立当初、国内の原子炉は10基ほどしかありませんでしたが、2度にわたるオイルショックを経て、エネルギーの安定供給に向けた原子力プラント建設計画や技術者育成が活発化しはじめるタイミングでもありました。実際に20年あまりで国内の原子炉は約5倍に増え、21世紀初頭には合計54基の原発プラントが稼働。国内消費使用電力の30%近くをまかなえるまでになっていきました。

その後、「京都議定書」の発効により温室効果ガス削減の機運が高まり、温室効果ガスを排出しないクリーンエネルギーである原発は一層存在感を高めていきます。原子力発電の拡大は世界的な流れとなり、2010年に策定された日本政府の「第三次エネルギー基本計画」にも「2030年に発電比率50%超を目指す」と明記されるなど、原子力推進の流れは「原子力ルネッサンス」と呼ばれるほどに加速していったのです。

東日本大震災が発生したのは、まさにその最中のことでした。大津波の発生に伴う東京電力・福島第一原発の事故によって原発業界は一転して厳しい視線が向けられるようになり、全国54基の原発も一斉に稼働停止に追い込まれます。その後、事故後の新規制基準下で徐々に再稼働が開始されましたが、稼働数は震災前の約2割、12基にとどまっています。

ただ、2050年のゼロカーボン達成を目指す世界的な流れの中で、原子力発電がなお重要な役割を担っていくことは間違いありません。現在、西日本エリアに限定されている原子炉の稼働は今後、東日本エリアにも広がっていくことが見込まれています。再稼働する原子力発電所のメンテナンス業務はこれまで以上に重要度を増し、全国の原発メンテナンスをカバーする当社が担うべき役割もさらに大きく広がっていくことになるでしょう。

原発の重要性と将来性、そして今後当社が担っていくべき使命とは

原子炉再稼働の流れが加速する中、懸念を示す声があることはもちろん承知しています。確かに、福島第一原発の事故により多くの人たちが避難生活を余儀なくされましたし、科学的に安全性は約束されているとはいえトリチウム海洋放出問題が大きな議論を呼びました。さらに今後はデブリ処理の問題も待ち構えています。

しかし、「原子力は有害である」と決めつけるのはあまりに短絡的です。大量の食糧を確保するために使用される農薬や、自動車や工場などから排出される汚染ガス、大陸から流れ込む黄砂、PM2.5、さらには紫外線など、人体に悪影響を及ぼすと考えられる“有害物質”は私たちの身の回りにいくらでもあります。それでも私たちが健康被害を受けることなく生活できているのは、人体に危害を加えない範囲に利用・排出を制限する法律によって守られているから。原子力も石油も農薬も、多少のリスクを抱えつつ影響を最小限に抑え、よりよい社会を実現するために活用されているという意味ではまったく同じなのです。そもそも、放射線は太陽や地面などから自然放出される粒子で、微量であれば健康維持や病気の治療にも役立つものとしてさまざまなカタチで活用されてもいます。レントゲン検査やCT検査には放射線技術が利用され、また万病に効くとされるラドン温泉でも微量の被ばくが発生します。

加えて、原子力発電においては、さらなる安全性・信頼性を高めるための新たな技術開発も進んでいます。「革新軽水炉」と呼ばれる新型炉には、地震や津波などの自然災害へのレジリエンス向上を追求し、万が一「メルトダウン」が起こったとしても、放射性物質を発電所敷地内にとどめる設計が取り入れられています。テロ対策の面でも優位性が高く、既に2030年代半ばの実用化に向けた準備が進行。さらに「夢のエネルギー」と言われる核融合実験炉の実現に向けた挑戦も始まっており、原子力発電の未来はこれから大きく広がっていくことが期待されます。

そんな時代の流れの中、当社が担うべきは原子力発電所の安全かつ円滑な稼働を支えるスペシャリストの育成です。この10数年の原発“暗黒期”に空いた風穴を、専門知識とスキルでさらに大きく開く人材をひとりでも多く獲得・育成し、日本、そして世界の未来に貢献していきたいと考えています。

学生の方へのメッセージ

企業研究のポイントの前に、まず考えておいてほしいのは「将来、自分が何をしたいのか」ということです。もちろん、実務経験のない学生が「放射線管理がしたい」というような具体的な仕事のイメージを膨らませるのはなかなか難しいでしょうが、「未来のエネルギー事業に携わりたい」「カーボンニュートラルの実現に貢献したい」というくらいの漠然としたものであれば、できるのではないでしょうか。

「したいこと」を明確にする目的は、入社後のミスマッチを無くすためだけではありません。どれほど自分に合った仕事、希望の仕事に出会っても、いい時もあれば悪い時も必ずあります。そのとき、目の前の苦難を「失敗」と思うか「真の目的に挑むための過程のひとつ」と思えるかで、その課題に立ち向かうエネルギーはまったく変わってくるものだからです。

それに加え、できるだけ物事を「おおらか」にとらえるように努めてみましょう。これは人生全般に言えることですが、「こうでなければならない」という思い込みは可能性を狭めるだけでなく、結果的に自分自身を追い詰めてしまうことにもなりかねません。自分なりの信念を大切にしつつ、そこを“はみ出す”ことをおおらかに受け止められれば、自分の“守備範囲”をひと回りもふた回りも大きく広げられるのではないでしょうか。
<代表取締役 明石 富三>

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安全かつ円滑なエネルギー供給を支えることで今日、そして未来の日本を照らす一助となる。その実感と使命感が、技術者たちの日々の挑戦と成長を支えている。

マイナビ編集部から

原子炉の稼働停止や再稼働、トリチウムを含む処理水の海洋放出など、原発に関連するニュースを見聞きする機会は多いが、実際にその判断・行為にどんな科学的根拠があり、どれほど高度な技術・ノウハウが生かされているのかについて一般の私たちが知る機会はほとんどない。

明石社長に語っていただいた通り、放射線はもともと自然界に存在し、誰もが日常的に触れている粒子・電磁波のひとつ。中国やインド、イランなど一部地域の土壌にはラジウムやトリウム、ウランなどの放射性物質が多く含まれることから日本の数倍に及ぶ自然放射線量が検出されているが、これらの地域でも免疫学調査などでがんの死亡率や発症率の有意差は認められたことはないという。「原発施設内で働くとなると話は別」と思う人もいるかもしれないが、原発内で働く人たちが業務中に受ける被ばく線量は年間約数mSv、日本人の年間平均被ばく量は約2mSv(ミリシーベルト)であることから、原発内で働く人たちと日常での被ばく量はほぼ同等と考えられる。

もちろんそれが直接的な職業選択の動機になるわけではない。けれど、原発業界に関心があるのであれば、確証のないリスクを理由に断念せず、まずは一歩踏みだしてみてはどうだろうか。

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同社では20代の若手からベテランエンジニアまで、幅広い年齢層の社員が活躍中。新入社員研修からスキルアップ研修、資格取得支援など、充実した成長環境も魅力。

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