最終更新日:2025/6/1

国立研究開発法人 産業技術総合研究所(産総研/AIST)

業種

  • 公益・特殊・独立行政法人
  • ガス・エネルギー
  • 化学
  • 情報処理
  • 農林・水産

基本情報

本社
茨城県

取材情報

先輩100人100の就活

研究成果を社会に実装し、社会課題の解決と産業の発展に貢献する総合職の若手社員たち

  • 理系学科系統 専攻の先輩

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研究所を支える総合職の魅力とは?

産業技術総合研究所では約2,200名の研究者が最先端技術の研究を行っている。それを組織作り・組織運営によって支えるのが総合職だ。彼らはなぜ産総研を選んだのか。若手職員3名にその理由や現在の仕事を聞いた。

■栢野まどか(かやのまどか)さん
ブランディング・広報部 ブランド戦略室 ブランドマネジメントグループ
2020年入所 文学部哲学科

■保坂将(ほさかしょう)さん
研究環境整備本部 ファシリティマネジメント部 施設整備室
2021年入所 理学研究科環境科学専攻 環境化学

■泉陽仁(いずみはると)さん
研究環境整備本部 研究資金契約部 契約一室
2023年入所 社会学部

【栢野さん】日本の産業を支える産総研を、もっと広く知ってもらいたい

私は就活の軸として「日本の産業やモノづくりの下支えができる仕事に就きたい」と考えていました。当初は「B to B」のメーカーなどを見ていましたが、ナビサイトで産業技術総合研究所(以下、産総研)とそのミッションを知って、自分がやりたいと思っていたことと合致していると感じ、エントリーしました。
入所の決め手になったのは、やはり、公益性が高い事業や仕事に携われるということです。仮にメーカーさんに入って日本のモノづくりを支えるにしても、そこには売上という大前提があります。その点、産総研では民間企業だけでは難しい社会課題を解決する研究開発にもチャレンジできます。たとえば、企業単体では膨大な予算や期間が必要な研究だったり、営利目的ではこぼれ落ちてしまうような研究であったり。面接を通じて「社会課題を解決する」という使命感を持つ研究者と総合職の方々の人柄を見て、私も産総研の一員になりたいと思いました。

総合職は、入所後10年ほどはジョブローテーションで様々な仕事を経験します。私は入所1年目に国際室、2~3年目に標準化推進センター、そして所内公募を経て、4年目からブランディング・広報部に在籍しています。現在は理事長や経営陣が所内外に発信するメッセージや講演資料を作成するのが業務の中心です。大きく言えば、産総研のトップである理事長をどう見せるか、組織の代表として何を語らせるかを考え、ブランディングしていくのです。
私の在籍する部署には特に若手職員が多く、自分で企画を考えプロジェクトを進めることを求められるため、裁量が大きく挑戦できる環境なので、とてもやりがいがあります。

産総研の総合職のやりがいは、ジョブローテーションによって生まれるところが多いように思います。私の場合、一見、関連性がないような部署でも、国際室時代の海外機関との連携業務、標準化推進センター時代の課題意識が現在の広報活動でも生きていて、それが新しい企画の源泉にもなっています。前の部署で気づいた課題を、次の部署で解決できるように自分で仕事を創り出せる。これこそ産総研の総合職だから可能な仕事の進め方だと思うのです。
日本の産業を支えている産総研の広報担当として、社会に広く知ってもらえるような活動をできているという実感は、私自身のやりがいにつながっています。

産業技術総合研究所の長所

「総合職にも留学経験者や理系、外国籍の方もいて、同期でも年齢がバラバラ。多様な経験の人材がチームを組むことでイノベーションやシナジーが生まれます」(栢野さん)

【保坂さん】学生時代を通して技術の社会実装の難さを実感。研究者を支える今の道へ

学生時代、地球環境について幅広い分野を学べる学科に在籍していました。その中で私が取り組んでいたのは環境化学の視点からみた排水問題。工業廃水や家庭から出る生活排水を環境中に戻すには、環境に負荷がかかるような物質を除去する必要があります。ただ、環境負荷を考えるにあたっては、化学分野だけではなく山や川の専門家がいなければいけないですし、生物学のプロも必要です。つまり各方面の研究者が協力する必要性を痛切に感じました。
その点、産総研には8つの研究分野があり、それぞれの分野のプロフェッショナルがいます。社会課題を解決しようとしたとき、一つの組織の中で多分野のプロフェッショナルが協力しあえる環境がある。そこに大きな魅力を感じました。しかし、私は研究者ではなく総合職を志望しました。私自身、大学院に進み研究を続けていましたが、自分の研究を世に出すことはできませんでした。学問の場では社会に出ないまま終わってしまう技術の種(シーズ)が多数あります。研究者として自分でシーズを産み出して世の中に実装するよりも、産総研の総合職として数多くのシーズに触れ、世の中に送り出すことに貢献をして社会を豊かにしたい。そう考えた上での選択でした。

1年目はDEI人事部に、2~3年目は研究事務で研究者の事務的なサポートを経験し、4年目からファシリティマネジメント部に所属しています。ファシリティマネジメント部は新しい研究施設を建てる際、主体となって動く部署です。研究施設と一口に言っても、たとえば無菌室を造るならどういった環境を整えないといけないのか。研究者の要望をヒアリングしつつ、様々な法律や基準を遵守した研究施設を造るために、設計者・施工者と共に具現化する業務が中心になります。人事、研究事務とは全く異なる業務内容ですが、このルートを通ってきたからこそ、培われた知見があると思っています。また、そのような新しい知見を経験と共に育て、自分だけの知見を持てることがこの仕事のおもしろい点だと思います。

ジョブローテーションで様々なことを知りながら、いずれは何かの分野に強いスペシャリストになりたいと思っていますが、今は施設の仕事に全力投球。施設を建てる際にも、研究者の目的や希望をヒアリングするなど研究者に接することは多いので、理系修士卒の経験を活かし、研究者に寄り添える施設系のプロフェッショナルをめざしたいと考えています。

産業技術総合研究所の長所

「歴史がありながらもチャレンジング。某動画の生配信を行うなど、若手が新しい試みの中心になることができる風通しの良さです」(保坂さん)

【泉さん】日本の最先端技術を支えているという実感が持てる仕事

私は社会学部の出身ですが科学技術にも興味があり、大学の連携制度を利用して生理学などミクロ生物学の勉強もしました。就活に際しては、自分の好きなこと、得意なこと、志向の3つが重なるところで探しました。その結果、好きな科学技術と、文系理系の両方を学んだ自分の強みを活かし、日本経済の停滞、人口減などの問題を解決するための科学技術やイノベーションに関われるという点で、産総研に絞りました。
一方で、大切にしたいと考えていたのは職場の雰囲気です。人生の中で大きな割合を占めるのが仕事の時間ですから、雰囲気のいい楽しい職場を選びたい。そう考えて、様々な企業や団体のインターンシップ、オフィス見学に積極的に参加しました。産総研はインターンシップを数回経験して所内の雰囲気の良さを感じ、それが最終的な決め手になりましたね。

現在の部署では受託研究の契約手続きと、プロジェクトのマネジメントを中心に担当しています。民間企業など外部から資金提供を受けて産総研で研究を進める場合、お金の契約をはじめ、研究成果の知的財産権はどうするかといった様々な取り決めが必要になります。それを所内の各部署につなぎ、産総研の窓口となって事務手続きを進めていきます。契約手続きが無事に終わらなければ研究をスタートできないので、とても重要な仕事です。また、研究がスタートしてからは、プロジェクトに伴走して研究者のやりたいことを実現する役割も担っています。

私たち総合職は日本の最先端の研究や研究者を支えている実感が得られます。担当している事業が新聞に載っているのを見たりすると、日本のイノベーションに携わっているんだというやりがいを感じます。
総合職には私のように文理両方を経験した者もいれば、文系出身者も多数在籍しています。産総研はどうしても理系のイメージが強いと思いますが、文系の人でも全く問題はないと思います。実際に研究にふれる機会は多いのですが、研究に関する知識が必要なときは研究者の方たちが快く教えてくれますし、文系だからこそ研究者とは違う視点も持てます。

今後は技術の社会実装をより推進するために、研究現場を見てみたいという想いがあります。ジョブローテーションでいろいろな部署を経験し、若いうちから科学技術に様々な角度からアプローチすることで、自分の適性や志向も見極められる。私としては理想的な組織に出会えたと思っています。

産業技術総合研究所の長所

「国の機関なのでお堅いイメージもありましたが、想像以上に上司や先輩方も気さくでとても話しやすい点ですね。いい意味で入所前のイメージと違っていました」(泉さん)

企業研究のポイント

企業研究のポイントとして、2つ大切なことがあると考えています。一つは、その企業が求めている人材や、若手にやってもらいたい仕事を見極めることです。たとえば、不動産仲介の企業の場合、しっかり営業ができる人材を求めている可能性が高いでしょう。その企業に向けて「私は学園祭で広報を担当して成果を上げました」と伝えても、求められている能力をアピールできていないかもしれません。その企業が何をしていて、入社後どんな仕事に配属される可能性があるかをしっかり考えて、自分をアピールすることで内定獲得に近づくことができると思います。
もう一つは、自分にしか言えない志望動機を考えることです。「御社の理念に共感しました」は誰でも言えること。「なぜ、理念に共感するに至ったか」を一社一社に対して深掘りし、伝えることです。私自身は「社会課題の根底にある少子高齢化を解決するための政策論文を在学中に何度も書いていましたが、それは机上の空論に過ぎず、文系の限界を感じていました。一方で、科学技術にはそれを一発で解決できるチャンスがある。たとえば、人手不足はロボットで解決することができるかもしれません。それなら、社会課題を解決できる技術を研究する組織に入り、研究を支えたい」といった話した記憶があります。この2つをしっかり自身の中で整理できた会社が、マッチ度が高く、より活躍できる会社だと思っています。(DEI人事部・武田勇斗さん)

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「強気の就活で4社しか受けませんでした」という人事担当の武田さん。「今、人事をする側になってみて、自分の就活は間違っていなかったなと感じます」

マイナビ編集部から

産業技術総合研究所、略して産総研。この名を聞いたことがある人はそれほど多くないだろう。しかし、100年以上の歴史や2, 200名の研究者の在籍、研究分野も8分野と日本でも最大の研究機関であり、日本のモノづくりや産業を科学技術で根底から支えているとても重要な国立研究開発法人だ。企業は形ある製品やサービスを提供して社会に貢献する。一方で、産総研は、その企業に対して技術を提供しており、形のある製品はない。そういう意味で究極の「B to B」の組織であるといえよう。目先の利益にこだわらず、社会課題を解決することに主眼を置いた研究を行っているという点で、公益性が高くやりがいも大きい。もっとも、今回、話を聴いた職員の方々は総合職で、研究者を支える仕事に就いている。しかし彼らの話からは研究者と同じように、社会課題の解決に向き合おうという気概と覚悟が見えた。
国の機関ということで「堅い雰囲気なのでは?」と考える方もいるかもしれないが、そんな雰囲気は皆無で、各人からはとてもフランクで若手が活躍できる環境があるといった話も伺えた。とはいえ、ジョブローテーションや外部(民間企業)と仕事をする機会が多いことから、安定性だけを求める人には向かないとも感じた。スピード感や挑戦を求められる環境を、プラスに捉えられる能動的な人にこそ、産総研はふさわしいだろう。

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緑豊かなつくば市にある広大な敷地はまるで一つの街。オープンスペースがあるほか、広報部などの一部の部署ではオフィスがフリーアドレスになっているそうだ。

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