最終更新日:2025/6/1

全国農協食品(株)

業種

  • 食品
  • 商社(食品・農林・水産)
  • 農業協同組合(JA金融機関含む)
  • 農林・水産
  • 専門店(食品・日用品)

基本情報

本社
東京都

取材情報

経営者の視点

「食×農業」に新しい価値を創造する。既存にとらわれない「しなやかな会社」

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全農グループの強みを活かし、“サステナブルな農業”にも貢献

全国の産地とつながり、農畜産物の流通・加工・販売・開発を総合的に手がける全国農協食品。その特徴はどこにあるのか、どんな展望を描いているのか。社員への思いを含め、代表取締役社長の金子さんにうかがった。

■金子 千久さん/代表取締役社長
全国農業協同組合連合会(JA全農)で30年以上キャリアを重ね、2017年7月に青果物の流通・販売を手がける園芸部部長、2020年4月に参事を歴任。2021年6月に全国農協食品株式会社の専務取締役に就任し、2023年6月から代表取締役社長として同社を牽引している。

品目も事業も幅広くて多彩。全国の生産者とつながり、独自の付加価値を生み出す会社です

全農グループに属する事業会社は、米、肉、青果など、それぞれ特定の品目に特化した事業を手がけていることが多く、当社はその意味では特徴的といえます。野菜、果物、米、大豆やでん粉、畜産物、さらには水産物まで、特定の品目にとらわれず、日本全国の自然の恵みを幅広く扱っているからです。

事業フィールドが多岐にわたることも、当社ならではの特徴です。その主なフィールドは、次の4つです。通信販売会社やオンラインショップ、マスメディアなどを通して、消費者の方々にダイレクトに産物をお届けする「直販事業」、自社工場や協力工場でピラフやグラタンなどの加工食品を開発・製造し、外食産業や生協などへ販売する「食品事業」、大豆・でん粉などの食品原料を食品メーカーや生協などへ供給する「農産事業」、そして全国の産地を応援する全農オリジナルブランド『ニッポンエール』の企画・開発・販売を手がける「ソリューション事業」です。

おわかりのように、当社は流通だけに留まらず、商品の企画や開発、加工などをトータルに手がけ、販売チャネルもとても多彩です。そのすべてに共通するのは、「私たちならではの付加価値」をつくること。そして、消費者の皆さんや通信販売、外食、食品メーカーなどの取引先、農業や畜産業を営む生産者の皆さんと、かかわるすべての方々に喜んでいただくということです。

例えば同じ直販向けの商品であっても、販売するメディアの特徴によってお客様層やニーズが異なります。それに応じて生産者の皆さんとも連携しながら、ボリュームやサイズ、パッケージデザインなどを企画・検討して提供しています。外食産業向けの商品についても、それぞれの店舗の業態に応じて提案内容が違ってきます。自社に企画・開発・製造・販売機能を併せ持つ当社なら、そうしたきめ細かな対応を可能とし、そのひと手間が付加価値を生み出しているのです。

全農グループとして、当社は日本の農業の活性化に貢献するために、安全性が認められた国産品のみを扱っています。そのため、国産・海外産の農作物をワンストップで提供するということは行っていません。だからこそ、全国の生産者の方々とのつながりが強く、全農グループのネットワークを活かしたさまざまな事業展開や新たな価値の創造が可能だと自負しています。

社長が話す今とこれから

全国農協食品の特徴について紐解く金子社長。「加工食品の開発・製造、農業の課題解決、全農オリジナルブランドの企画など、流通に留まらない価値を創造できる会社です」

農作物のアップサイクルにも貢献。持ち前のしなやかさを発揮し、他企業との提携も推進中です

日本が誇る農業や食の豊かさを守り、サステナブルな社会づくりに貢献できるよう、近年は農産物の「アップサイクル」に積極的に取り組んでいます。その代表例の一つに挙げられるのが、大分産の「完熟かぼす」です。かぼすといえば、学生の皆さんには焼き魚やサワーなどに絞る緑色の果実がおなじみだと思います。緑色のかぼすは夏の間に収穫する必要がありますが、農家の高齢化や人手不足により、かぼすの一部は秋を迎え、薄黄色に完熟することがあります。しかし、完熟すると流通が難しいことから、廃棄処分を余儀なくされるという課題がありました。

そこで当社は、「完熟かぼす」の酸味と甘みのバランスのよさを活かすべく、果肉を使ってドライフルーツとして、果汁を使ってグミとして商品化。おかげさまで消費者と生産者双方の皆さんに喜んでいただいています。さらに、大手飲料メーカーとの共同開発によって、まろやかな酸味と香りが楽しめる清涼飲料水「ニッポンエール 大分県産完熟かぼす」を発売し、こちらも大変好評をいただいています。

このように、既存の考え方ややり方だけにとらわれず、視点を変え、工夫とアイデアを凝らすことで、これまでにない価値を生み出すことができるのです。その一つひとつが、日本の食をいっそう豊かにし、生産者の皆さんが抱える課題の解決にもつながっていきます。これこそ、事業を柔軟に展開する当社ならではの魅力だと思っています。この「しなやかさ」ともいえる強みを、私たちはこれからもたゆまず磨き続けていきます。

ライフスタイルや食生活の変化に対しても、しなやかさが重要です。例えば近年、「手間をかけずにおいしい食事を楽しみたい」というニーズの高まりが顕著に見られ、当社が自社工場で製造しているピラフやグラタン、おにぎり、ライスバーガーなどの冷凍食品の需要がいっそう高まることが見込まれます。そうした変化に応じて、全農グループ各社との連携はもちろん、グループ外の企業との積極的な提携を進めているところです。さらには農畜産物に限らず、水産品などを含めて取り扱う品目や商品、事業を食品全体へ柔軟に広げていこうとしています。当社の若手社員にはその中心の一つとして、これからも意見やアイデアを発信し、推進してもらいたいと期待しています。

社長が話す今とこれから

「社員が私たち経営陣に遠慮なく意見を言える、そうしたコミュニケーションが活発な社風をいっそう育み、“誰もが働きやすい職場づくり”をめざします」(金子社長)

好奇心旺盛な社員が集まった会社。「より良い職場」をつくり、社員みんなに還元したい

これまでお伝えしてきましたように、当社の扱う品目や商品、事業はとても幅広く多彩です。それらを担う当社の社員には「好奇心旺盛なタイプ」が多いと、私は感じています。私たちの仕事には、仕入れ、商品企画、開発、製造、品質保証、販売など、さまざまな役割・ポジションがあります。取引先も多岐にわたり、新しい発見が尽きない職場です。興味・関心のアンテナを広げ、自分なりに気になったことがあれば掘り下げてみる。そうした人であれば、なおいっそう面白さを味わえる会社です。

社員それぞれの興味の矛先も、多様性にあふれています。お客様に提案し、販売実績を上げることが好きな社員もいれば、生産者の方々と一緒に商品企画を練り上げることに喜びを感じる社員もいます。品質管理担当として品質を守り抜くことに誇りを感じる社員もいれば、管理部門の一員として会社を心強く支えている社員もいます。そうやってそれぞれが喜びや誇りを得られる仕事・役割に出会えるように、当社では長期的なジョブローテーションを行い、それぞれの個性や適性、思いに応じた成長を後押ししています。その根底には、若手のうちからぜひ幅広く経験し、キャリアに活かしてもらいたいという思いがあります。

私は2023年6月に代表取締役社長に就任した際、社員の皆さんに「より良い職場にしていきたい」という決意を伝えました。「より良い職場」とは、オンオフのバランスを良好に保ち、安心して働き続けられること。そして、同僚同士、先輩と後輩、上司と部下、私たち経営陣と社員など、部署や年次、役職などにかかわらず、意見を自由に伝え合い、相談しやすいオープンな風土であることだと思っています。

現在の全国農協食品も、穏やかで話しやすい人が多くわからないことや困ったことがあれば、遠慮なく周りの先輩たちを頼れる雰囲気があります。とてもフレンドリーで仲間思いの社員が集まった会社だと感じています。そうした職場の魅力をさらに高め、社内がさらに活性化すれば、取引先との信頼関係も一段と深まり、事業がより良い方向に進んでいくはずです。その結果として取引先と当社双方に利益をもたらし、社員の皆さんに還元していきたいですね。

企業研究のポイント

長いスパンで自分のキャリアを形成できる企業を選んでください。大学4年間のうちに自分の方向性を明確に定めるのは、決して簡単なことではありません。だからこそ自分のキャリアを長い視点で考えていける企業が良いと思います。

当社の場合、入社後10年間ほどはさまざまな部署に異動をします。事業の幅がとても広く、部署が変わると仕事内容も大きく変わりますので、自分の適性を徐々に理解していくことができると思います。転職しなくても新しい仕事に出会えるという環境は魅力的ではないでしょうか。また福利厚生や休暇制度も、社員から好評の声が上がるほど充実しています。産休後の復職率も高く、休みもしっかり取れるためワーク・ライフ・バランスを保ちながら働けます。面倒見の良い社員も多いですね。さまざまな角度から、自分のキャリア形成についてゆとりを持って考えられる企業を探すためにも、会社見学会やインターンシップには積極的に参加すると良いと思います。
(人事担当・吉村さん)

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「ゆったりとした社風で、上下関係の厳しさは全くありません。世話好きの先輩たちが温かく丁寧にサポートしてくれる環境です。」(人事担当)

マイナビ編集部から

「農業がサステナブルになるように力を注ぎたい」という金子社長の言葉が印象的だった。「完熟かぼす」の例に加え、金子社長が教えてくれたのは「葉とらずりんご」だ。

市場で商品価値の高い“キレイに赤く染まったりんご”を育てるためには、太陽の光がまんべんなく果実に当たる必要がある。そこで、葉が光を遮らないよう、果実の周辺に茂る葉は摘み取られていた。しかし、葉を摘む作業は手間がかかり、人材不足に悩む農家には大きな負担であるため、葉を残したまま栽培する「葉とらず栽培」が導入された。色ムラはあるものの、葉から栄養や甘味がたっぷりと補給された「葉とらずりんご」は、全国農協食品のオンラインショップで販売され、大好評だという。

まさしく農業のサステナブル化をめざす好事例のひとつである。見栄えだけで価値を決めるのではなく、さまざまな角度から見つめ直し、新たな価値を見い出す。その柔軟な姿勢は、まさに金子社長が言う「しなやかさ」に通じる。

学生の皆さんは、社名から少々硬そうな社風を想像するかもしれない。しかし、同社では若手社員が裁量権を持って仕事に臨み、試行錯誤を重ね、伸びやかな活躍を描いている。金子社長自身、とても柔和で話しやすく、社員の意見にしっかりと耳を傾ける懐の深さがあると感じた。食や農業に関心をお持ちなら、変化に強く柔軟で、若いうちから貴重な経験を重ねられる同社をぜひチェックしてほしい。

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部署の違いに関係なく協力し合う社風がある。少人数が勤務する支社は家庭のような温かい雰囲気で、戸惑いや寂しさを感じることはないだろう。

会社概要に記載されている内容はマイナビ2026に掲載されている内容を一部抜粋しているものであり、2027年卒向けの採用情報ではありません。企業研究や業界研究にお役立てください。

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