最終更新日:2026/1/9

芸陽バス(株)

業種

  • 陸運(貨物・バス・タクシー)
  • 旅行・観光
  • 損害保険

基本情報

本社
広島県

取材情報

経営者の視点

可能性は無限。公共交通の使命を果たしつつ、新たな未来に挑みたい。

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新社長に聞く。『芸陽バス(株)』の今とこれから。

東広島地区のほか、各地で地域住民に親しまれる『芸陽バス(株)』。昨年6月に社長に就任した玉田氏に、これまでのキャリアや社長就任の経緯、そしてバス事業の未来についての想いを伺った。

代表取締役 玉田 和(2024年6月13日『芸陽バス(株)』代表取締役社長就任)

【私の原点】乗り物好きが高じて飛び込んだ鉄道業界で、バス事業との“運命”の出会い。

幼い頃から乗り物が大好きで、特に鉄道には目がありませんでした。いざ企業研究をはじめたときも、最初に頭に浮かんだのはやはり鉄道会社。なかでも高校時代1年間だけ過ごした広島は、過ごしやすい気候で、電車にも人にもやさしい町。出身は北海道ですが「これから長い社会人生活、人生を送るなら」と、移住を決意。1990年、晴れて念願の鉄道会社『広島電鉄(株)』への入社を果たしました。

ですから、入社後バス部門への配属を知らされたときは、多少がっかりする気持ちもありましたが、その落胆も決して長くは続きませんでしたね。なぜなら、日々前向きに仕事に向き合うなかで、「バスにはバスならではの魅力がある」ことに気づいたからです。特に私が一番強く感じたのは、乗客との距離の近さ。電車に比べて輸送規模が小さく、ドライバーが乗降を一人ひとり見届けるため、乗客の反応をダイレクトに感じ取ることができます。私自身にドライバー経験はありませんが、それでも、企画や営業、乗務員の指導管理などさまざまな職種をオールラウンドに経験するなかで、利用者の声を数えきれないほど耳にしてきました。その多くは些細なものだったかもしれませんが、それも自分たちの事業や仕事が地域の日常に深く入り込んでいる証。努力すればするだけ、そして、成長すればするだけ人々の役に立てる実感も大きくなり、それこそが、バス事業に携わり続ける最大の原動力になっていたと感じています。

また、『広島電鉄(株)』の大らかで自由な気風が私の肌に合ったのも、勤続35年の理由の一つ。それを象徴するエピソードが、広島の地で今も続く「バスまつり」です。広島県内には長年続くバス会社がいくつもありますが、一昔前まではあまり仲の良い間柄とは言えませんでした。そこで私が提案したのが、バスの展示をはじめ、各社のグッズ販売やステージイベント、金魚すくいなど、さまざまなコンテンツを盛り込んだ各社合同の地域イベント。上層部から見れば突拍子もない企画だったと思いますが、「やってみて」と快く背中を押してもらえたおかげで、イベントは大成功。それを機に各社間の交流も活発になり、各社の役員となった同志たちとは、現在も地域の公共交通の維持発展を支え合っています。

この道35年!バス事業一筋の私の仕事術

「約25年前にスタートした『ひろしまバスまつり』は今秋も2日間にわたって開催予定。若手社員が毎年楽しそうに取り組んでいて、企画して良かったと思います」

【芸陽バス(株)の今】少子高齢化や地方過疎化など山積する課題は、新たな革新のチャンスでもある。

そんな私が『芸陽バス(株)』代表取締役社長に就任したのは、今から1年前の2024年6月のことです。就任後真っ先に取り組んだのは、全路線の分析でした。と言っても、社用車で路線をなぞるだけでは、お客さまの動線を含む路線の実態をつかむことはできません。そのため、まずは各路線に乗車。すべての路線を網羅するのに半年かかりましたが、おかげで、事業運営上のさまざまな課題・問題をより深く理解することができたと感じています。

たとえば、朝の利用は通学目的の子どもが中心で、通勤利用の会社員の姿はほとんど見られないこと。昼間は利用者の年齢層が上がり、通院や買い物目的の高齢者が中心になること。そして、ラッシュ帯でも都市部のような混雑は見られず、都心部なら乗車率が100%を超えるような時間帯でも空席が目立つ路線が少なくないこと。なかには片道1時間の運行中、乗客が私一人ということもありました。

当然「このままではいけない」という危機感は持ちましたが、だからと言って決して「バスの役割はもう終わった」とは考えていません。確かに人口減少の著しい過疎地における利用者の減少ぶりは看過できない重要な課題ですが、そもそも路線バスは「公共交通機関」と言われる通り、極めて公共性の高い事業。「儲かるか、儲からないか」だけで簡単に経営判断すべきではありません。また、子どもや免許返納後の高齢者など日々の移動をバスに頼る人は多く、地域をくまなく走るバスがなくなれば、他地域から人を呼び込む力も失われかねません。地域に根差したバス事業は、将来の地域活性や街づくりのためにも、守り抜かなければならない存在なのです。

それに、少子高齢化の影響や地方の過疎化の問題はなにもバス事業に限った話ではありません。あらゆる産業・企業が同様の課題を抱えているのであれば、事業そのものの価値が失われた訳ではなく、時代のニーズに応じた新たな在り方を模索すべきときが訪れているというだけのこと。もちろん、先行き不透明なこの時代に、新たな事業を開発し成功に導くのは決して簡単なことではありません。けれど見方を変えればそれは、既成概念を覆すビッグチャレンジができる、非常に面白い時代に入ったと言えるのではないでしょうか。

この道35年!バス事業一筋の私の仕事術

「少子高齢化や人口減少など課題は山積していますが、だからこそ挑戦する意味がある。地域のリソースを活用しながら街づくりでもしっかりと存在感を示していきたいですね」

【これからの未来】観光旅行をはじめとするサイドビジネスとの相乗効果で新たな活路をひらく。

そしてその点において、当社は既に大きな一歩を踏み出しています。バス事業を核としつつも、不動産賃貸や管理、観光旅行、損害保険などのサイドビジネスも多彩に展開し、それぞれが順調に成長し続けていることは、大きなアドバンテージ。なかでもバス事業との高いシナジー効果が期待できる観光旅行事業は、地域の知られざる魅力を掘り起こして地域創生に繋げる社会貢献性も高い分野です。五右衛門風呂や茅葺屋根といった貴重な地域資源を抱える東広島市志和エリアを皮切りに、今後も多種多様な観光体験コンテンツを開発し、全国から人が集まる仕掛けづくりを考えているところです。

もちろん、これらの新事業開発は民間事業者が単独で行うものではなく、地域行政をはじめ関係各所との連携も不可欠。当社は、経理経営を含め、民間企業ならではのリソースやノウハウを提供するナビゲーターとして存在感を発揮していくことになるでしょう。

そんな当社ですから、今後の事業成長の行方を左右する若手総合職に寄せる期待は決して小さくありません。従来は既存事業・既存業務を一から経験し、段階的により大きな仕事・責任あるポジションを任せていくのが通例でしたが、今後は経験の浅い若手にこそ積極的に新しい事業、コアなポジションを任せてみたいと考えています。特に、これまでにない柔軟で斬新な発想力を持った人材や、好奇心旺盛で何事にも前向きに挑戦するチャレンジングな人材、何より「地域の人たちに喜ばれたい」「地域創生に取り組みたい」という思いを持つ人材は、その可能性や想いをどんどん広げられる舞台になるはずです。

これからも、企業と地域で手を取り合いながら、さらなる発展を遂げていきたいと考えています。

この道35年!バス事業一筋の私の仕事術

「事業開発も組織運営も、すべての仕事は良好な人間関係が土台になる。まずは相手の話をよく聞き、否定せず、肯定的に受け止めることを心掛けています」

企業研究のポイント

企業研究にあたっては、ほとんどの人がインターネットを活用すると思いますが、そこから知り得る情報はその企業のごく一部にすぎないことを心得ておきましょう。どんな企業にもポジティブな面とネガティブな面の両面がありますが、企業側が率先して自らのネガティブな一面を明かすことはありません。企業内の奥深くにあるリアリティに触れるのはなかなか難しく、インターネットの情報だけで企業研究をするのは極めて危ういと言わざるを得ません。有意義な企業研究を行うためにも、できる限り直接的に生の情報を集め、吟味することが大切です。

そのときに有効なのが企業訪問やインターンシップですが、それもただ漫然と参加するのではなく、現場の社員たちに積極的に声を掛けるなどして“ここだけの話”をつかむ努力をしましょう。なかでも絶対に押さえておきたいのは、社風や人間関係について。事業内容や仕事内容、給与、福利厚生などは、将来変わることも、キャリアアップなどを通じて自ら変えることもできますが、長い歴史のなかで紡がれてきた企業風土はそう簡単に変えられるものではありません。先輩の話や現場の雰囲気を自分なりに観察・分析し、より良い企業研究を進めましょう。

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「学生時代は、遊びやバイトも勉強のうち。人脈を広げ、コミュニケーションスキルを磨くためにも、今のうちにさまざまなことにチャレンジしておきましょう」(玉田社長)

マイナビ編集部から

コロナ禍で急速にテレワークが進み、仕事で公共交通機関を利用することが少なくなったように思う。不思議なもので、そうなると用もないのに無性にバスに乗りたくなる。後部座席から眺める人のあれこれ。窓の外をゆっくりと流れる景色。ちょっと癖のある、ドライバーのアナウンス…。そしてつくづく思い知らされるのだ。人は目的のために移動するのではなく、移動そのものも目的になり得るということを。

それは、バスや路面電車などの公共交通機関が、通学・通勤や通院、買い物などに使われる日常の移動ツールの一つであると同時に、日常と非日常のはざまを行き交う特別な乗り物だからこそ。子どもの頃、遠足に向かうバスの中で非日常の特別感に胸を高鳴らせたり、旅行中に車窓から見える風景を眺めて旅情に浸ったり。そんな美しく、ときに切ない思い出は、きっと誰にも一つや二つあるはずだ。

バスは、もはやただ人流を「支える」だけの道具ではない。人の目を楽しませ、心を安らがせてくれるかけがえのない乗り物だろう。そして玉田社長が話してくれた通り、人流を「促し」、「創造し」、さらには街づくりにも寄与する地域創生の根幹にもなり得る存在だ。地域の足として担うべき役割は縮小しても、次なる可能性は無限に広がっているのだと、取材を通して感じた。

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『広島電鉄(株)』グループの盤石な経営基盤とリソース、そして創業約100年の歴史に培われたノウハウ・ネットワークを生かし、さらなる飛躍を目指す『芸陽バス(株)』。

会社概要に記載されている内容はマイナビ2026に掲載されている内容を一部抜粋しているものであり、2027年卒向けの採用情報ではありません。企業研究や業界研究にお役立てください。

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