最終更新日:2026/2/5

高橋電機(株)

業種

  • 重電・産業用電気機器
  • 半導体・電子・電気機器
  • 精密機器
  • 非鉄金属

基本情報

本社
福島県

取材情報

経営者の視点

経営とは企業を丸ごとデザインすること。デザイナー経験を通して得た独自の視点。

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デザイン事務所や大手ゲームメーカーでの経験を家業に生かす。

福島県二本松市にある高橋電機で、製造業の経営に取り組んできた高橋正実社長。プロダクトデザイナーを含むキャリアを振り返っていただきながら、ものづくりや企業経営への考え方などについてお話をうかがいました。

高橋正実社長
福島県福島市出身。多摩美術大学美術学部立体デザイン科でプロダクトデザインを専修。卒業後の1989年に母校の教授が営むデザイン事務所に入社し、9年半にわたって大手事務用品メーカーや住宅設備メーカーなどの製品デザインを手掛ける。1999年には大手ゲームメーカーに転職。4年半にわたって業務用音楽ゲームや大型メダルゲームなどの筐体デザインに取り組んだ。
2003年に家業を継ぐ形で高橋電機および関連会社のティエスイーに入社。ティエスイーで生産技術や管理部門などを担当後、2012年に両社の社長に就任。ものづくり中心となる福島県の高橋電機と、設計中心となる神奈川県のティエスイーを行き来しながら経営に当たる。

ものづくりへの興味から東京の美大へ進学。卒業後は教授が営む事務所でデザイナーに。

高橋電機の社長になり、2021年で10年目を迎えました。いまでこそ電機メーカーの経営に取り組んでいますが、社会人としてのキャリアはプロダクトデザイナーが最初。その原点となったのが、母校である多摩美術大学です。幼少時から漫画を描いたり模型を作ったりすることが好きで、ものづくりに興味があったことが志望につながりました。
ただ高橋電機が家業だったことで、高校時代は創業者の祖父から跡継ぎを示唆されていたんです。しかし当時は跡継ぎや経営をイメージできていない状態。この状況下でどうしたらやりたいことに取り組めるのかについて考えていました。電機メーカーを経営するなら将来に備えて大学で機械や電気などを学ぶべきなのですが、そんな中でも何とかやりたいことに取り組もうと「工業デザインの道に進みたい」と考えるようになったんです。
当初は国立大学を目指していましたが、高校の先生とも相談して工業系や美術系の私大も検討。結果的に1年間美術予備校に通い、多摩美の立体デザイン科で学ぶことになりました。ここでは企業内で行われるような実践形式でのデザインに取り組みましたね。卒業後は車や家電などの大手メーカーに進むケースが多いことから、企業からも期待されていると実感。逆に求められるレベルが高く、留年や退学する学生も少なくありませんでした。
ただ私の場合は「卒業したら車や家電だけでなく幅広いデザインに関わりたい」と考えていたんです。そんな中で学科の教授が営まれていたデザイン事務所に誘われ、入社することになりました。そこはデザイン部署を持たない会社の仕事に対応していた事務所。さまざまな会社や製品に関われるため、入社の際には「本望だ!」と感じました。
入社後は住宅設備や事務用品といった大手メーカーの仕事を担当。中でもテープに印字するラベルライターに関わったことは印象に残っています。これは現在も後継機が販売されている製品。手掛けたのは入力方法がダイヤル式から、初めてキーボード搭載に代わったタイミングでした。
この事務所ではプロダクトデザインのほか、グラフィックデザイン、建築デザインなどに対応。私も企業ロゴのほか、製品カタログなどのツールデザインに取り組みました。
事務所での日々を通して感じたのは、仕事を通じて企業を丸ごとデザインしているという感覚。この感覚は、その後私が企業経営を行う際に大きく影響することになりました。

トップが自ら紹介する、高橋電機を知るポイント。

自身のキャリアを振り返って「高校時代の進路選択が大きい」と話す高橋社長。デザインの道に進んだことが企業経営のとらえ方に影響し、現在の取り組みにつながっています。

もう一度工業デザインに取り組もうと転職。ゲームメーカーで業務用の筐体を手掛ける。

新卒入社したデザイン事務所には9年半勤めました。最後は製品の総合カタログを制作しましたが、この大仕事をどうにかやり切ったという形でしたね。同時にグラフィックやツール制作ではなく、大学時代から取り組んできた工業デザインにもう一度取り組みたいという思いも実感。そんな仕事を求めて転職を図ったんです。
転職時には人材紹介会社に候補を挙げていただき、大手ゲームメーカーなどを提示されました。ゲームに興味があった訳ではないのですが、面接官と話して意気投合したことからそのまま入社することになったんです。面接官は私と同い年で、社内のデザイン室を取りまとめる立場にありました。当時のゲームメーカーは比較的新しい産業で従業員も若く、また個性の強いタイプが多くて苦労されていた様子。私もデザイン事務所では若手に指示する立場だったことから、その状況に共感を覚えました。そんな中で「右腕になってくれるような人材を採用したい」とお声掛けいただいたこともあり、この会社で一緒にがんばってみようと考えたんです。
入社したのは1999年。面接官と同じデザイン室に配属されて働くことになりました。ここではゲームセンターなどに設置される業務用ゲーム筐体のデザインを担当。当時は音楽ゲームが流行し始めたころで、私もDJ気分が味わえるシリーズ作品に携わりました。ほかにも競走馬のフィギュアが実際に走るゲーム、大型メダルゲームなどの筐体を手掛けています。途中からは面接官だった上司が異動し、私がデザイン室をまとめる立場に。若く個性的な部下たちの能力をうまく発揮させ、何とか結果につなげようと苦心していました。
管理や指導に悩みながらも、マネジメントには以前から興味があったので前向きに取り組んでいましたね。というのも前職からデザインそのもので勝負するより、マネジメント分野に進むべきではないかと自己分析を行っていたんです。転職時には独立してデザインに取り組む道もありましたが、シビアに自分のスキルを客観視。自力でデザインに取り組むより、後進とともに案件を進める方が合っていると感じ、マネジメントを経験したいと考えていたんです。
ただし37歳のときに配置転換要請を受けたことが、次への転機になりました。ひと晩考え抜いたすえに退職を決意したんです。

トップが自ら紹介する、高橋電機を知るポイント。

高橋社長によると、高橋電機は「素直な従業員が多い真面目な会社」。社内結婚も多く、家庭的な従業員も多いのだとか。女性の従業員や管理職が、徐々に増えているそうです。

デザインを通じて身に付いた経営の考え方。家業を継いで自社全体をよりよくデザイン。

ゲームメーカー退職時に思い出されたのが、デザインを通じて学んだ「企業を丸ごとデザインする」という考え方でした。この考え方のお陰で「企業を経営することは企業全体をデザインすること」だととらえられるようになったんです。経営でなくデザインなら20年近く経験してきたため、ひと通り対応できるという自信がありました。
そんな観点から考えてみると、家業の電機メーカー経営も興味深く感じられるのが不思議です。退職に合わせて家業を継ぎたいと思うようになり、自分から先代である父に入社したいと伝えるに至りました。
2003年には高橋電機と関連会社のティエスイーに入社。最初はティエスイーでの業務を中心に取り組むことになりました。大規模な製造現場を持つ高橋電機がものづくり中心の会社であるのに対し、ティエスイーの業務は設計が中心。ここでは生産技術を担当し、工程や効率などを見直してものづくり現場の改善に取り組みました。私は電気、設計、機械を専門とする人間ではないのですが、意外に苦もなく業務に対応。幅広い分野のデザインを経験したことが、現場対応への下地になったのでしょう。
その後は総務や経理を統括する管理部長に就任。この時期には会社全体の状況把握のほか、企業ホームページ制作にも取り組みました。2008年からは今後を見据え、社内教育と新卒採用にも注力しています。
この取り組みもあり、当社では「人こそがブランド」という形で自社PRを図ってきました。当社は発電所や変電所の配電盤や制御盤などを手掛けていますが、製品自体はお客様の物であることから自社PRにつなげにくい状況。これを受けて「当社のブランドとして打ち出すべきは製品でなく、それを手掛ける従業員ではないか」と判断するに至りました。
そんな中で2012年には両社の社長に。直前には今後中心となる従業員を選び、社内意識調査を行ったうえで経営理念やビジョンを設定しています。私にとって経営とは企業全体をデザインすることです。デザインで大切なのは、どんな形にするかコンセプトを決めること。その企業コンセプトとして企業理念やビジョンを定めたのです。
当社では世の中のインフラに関わる機器を手掛けることから「社会を支えるために、成長・進化し続ける」という企業理念を設定しています。この文言には、自分たちの仕事で世の中を支えているという思いが込められているのです。
(高橋正実/代表取締役社長)

トップが自ら紹介する、高橋電機を知るポイント。

発電所の配電盤や制御盤などを中心に製造している高橋電機。ほかにも電車の電機品、医療機器、半導体の製造装置など世の中のインフラに関わる製品を幅広く手掛けています。

企業研究のポイント

企業研究の際には直接会社を訪ねることが重要です。コロナ禍で直接訪問が難しい場合もありますが、リモートでの説明会や面接のみで入社を決めるのは危険でしょう。
訪問時には五感を研ぎ澄ませ、相手がどういった人物なのか、どういった職場なのかを感じてください。会社案内やホームページを見るだけでなく、直接会社の方に会い、職場を見て判断することが大切です。働いた経験や多数の企業に触れた経験がなくても、相手や職場に接してみれば何かしら感じるものがあるはず。企業選びは人生を左右しかねない一大事なので、自分の感覚を信じて間違った判断をしないよう心掛けてください。
もちろん私に対しても、じっくりと見たうえで判断していただければと思います。「だめだ」と思ったら当社以外の企業を検討してください。当社の場合は大学内での実施を除き、ほとんどの会社説明会に私も出席しています。当社のような中小企業ではトップにその社風や状態が強く現れるため、直接その雰囲気や人柄に触れることが重要なのです。
当社のような製造業であれば、工場などの見学も欠かせません。可能なら、ものづくり現場で働いている従業員の様子を観察しましょう。ちなみに当社の場合は、ものづくりの一連の工程を備えている点が大きな特徴。自社内で完成品まで手掛けられる環境は、仕事に大きなやり甲斐をもたらすはずです。
(高橋正実/代表取締役社長・2003年入社)

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ひとつの工程だけでなく、設計、板金、塗装、組立、試験という一貫生産体制を構築している高橋電機。一連の工程を内包することで、顧客からの一括受注を可能としています。

マイナビ編集部から

印象的だったのは、自分のやりたいことをしたたかに追求してきた社長の姿勢。単に「跡継ぎだから」と機械や電気を学ぶのではなく、工業系ながらデザインの道に進むという選択には驚かされた。
社会情勢、家業の有無、地域や業種の制限など、状況や条件はひとりひとり異なる。しかしその中でも、諦めずにやりたいことを追求することが重要だ。興味を持って取り組める仕事かどうかは、労働への意欲、向上心、そしてキャリア形成にも強く影響すると思う。
社長の話を読み解くと、それまでの経験を基にして現在の仕事ができていることがよく分かる。特に企業経営を「企業を丸ごとデザインすること」ととらえて取り組んでいる点には、元デザイナーならではの目線が感じられた。
さらに見逃せないのは、デザインと製造という違いを越えて社長がものづくりの面白味を熟知している点だ。高橋電機は自社一貫生産体制を整えたメーカーだが、これは製造効率や一括受注のみを狙って整備されたものではないように思える。自社内で完成品まで手掛けられることこそ、ものづくりの醍醐味を体感できる環境と言えるのではないか。そんな職場でこそ、強い意欲を持ってものづくりに取り組めるのではないかと思う。
やり甲斐を感じて働くから、取り組んだ仕事が実績につながる。社長自身がその点を体感してきたからこそ、そんな環境が実現できているのかもしれない。

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電力、交通、医療など、世の中のインフラに関わる製品を手掛けてきた高橋電機。高い品質が求められ、製造が難しい案件もありますが、それに対応できる体制も備えています。

会社概要に記載されている内容はマイナビ2026に掲載されている内容を一部抜粋しているものであり、2027年卒向けの採用情報ではありません。企業研究や業界研究にお役立てください。

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