企業研究を通して多くの会社をみる中で、私から1つポイントをお伝えします。それは、気になる企業の「安定性」をどのように見るかです。
松田さんが「他社と御社で悩んでいる」と正直に話してくれたのは、オンラインでの面談中でした。その気持ちは十分理解できましたが、一方で正直もどかしさを感じていました。それは、彼の迷いの理由が「安定性」というとても不確かなものだったからです。
確かに、自己資本比率や売上、利益率などの数字が高ければ、一見安定企業とみなされるかもしれません。利益が出せなければ事業・企業の存続は不可能ですから、数字をしっかり管理していくことはとても大切なこと。けれど、一部の数値は戦略的にコントロールすることも十分可能で、「経理上は十分儲かっているけれど資金繰りは既に行き詰まっていて、経営の内側は火の車」というケースも実は少なくありません。だから「黒字倒産」のようなことも起こり得るのです。
労働分配率を限界まで高めに設定している当社は、財務諸表上、さほど優秀には見えないかもしれません。社員数も総勢30名ほどのいわゆる地方の中小企業ですが、社歴60年の間に一度たりとも倒産の危機に陥ったことはなく、一から新事業を立ち上げる資金に困ることもありません。これらも踏まえ、学生のみなさんには改めて「安定性とは何か」をしっかり考えてほしいと思います。
<代表取締役副社長 萩元 邦庸さん>