最終更新日:2025/7/23

長野計器(株)【東証プライム上場】

業種

  • 精密機器
  • 半導体・電子・電気機器
  • 機械

基本情報

本社
東京都

取材情報

記事で読む社会科見学

世界のモノ作りを、長野から支える。圧力計測の専業メーカー

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技術者たちが見た長野計測の強み、将来のビジョン

長野計器では圧力計や圧力センサの開発、製造、販売を一貫して手掛けている。モノ作りの最前線に立つ3人の中堅~ベテラン社員から、同社の製造の最前線に立つ者たちの思いに迫ってみた。

宮之内 朋希 (写真左)
上田技術部生産設計課
理工学部電子情報工学科卒業
2012年入社

齋藤 拓也 (写真右)
製品開発部応用製品課
工学部電気電子工学科卒業
2009年入社

大場 悠耶 (写真中央)
生産管理部生産管理課
工学部応用化学科卒業
2009年入社

【宮之内さん】的確なモノ作りを実現するために、陰からサポート

入社2年目から現在に至るまで、機械式圧力計を生産する上田計測機器工場で「生産設計」に携わってきました。設計図上の圧力計を形にするべく、生産ラインを調整していくのがその役割。機械式でもオーソドックスなブルドン管式圧力計を主に扱っており、設計図をもとにして生産の流れを組立て、部品を手配して、現場との調整に臨むという毎日を送ってきました。もちろん工場にも顔を出しますが、パソコンの前での作業、開発や営業との打ち合わせが多く、技術系ながらオフィスワークの側面が色濃い仕事でもあります。

生産上、現場で突き当たった課題を改善していくのも私の仕事の範疇。例えば、「特定部品が足りなくなる」といった事態が発生することがよくあるのですが、そんなときは現場の声を聞いて原因を追究しながら、どのような形で部品を自動展開すればいいのか、一つずつ丁寧にロジックを組み立てていきます。闇雲に考えても改善策は思い浮かばないもの。だからこそ、目標を明確に設定した上で、その達成のために何をすべきか逆算して考えることで解決策に近づくことを意識しています。

そんな風に自分で考えたプロセスをもとに、無事に製品が完成の日を迎えたときは、何よりも嬉しい瞬間です。しかも当社の圧力計は思いのほか身近な場面で利用されているだけに、社会に役立てている実感を得ることもできます。例えば電車の運転席にもよく用いられているのですが、日常的に使っている路線に乗ったとき、先頭車両に乗って運転席の様子はついつい確かめてみたくなってしまいます。

12年目となった今は後輩の指導をする場面も増えました。過去、私が行き詰ったときに回避した方法を教えた結果、できないことができるようになっている姿を見るのも、私にとっての密かな喜びです。実は私は電気系学科の出身で、新人時代は図面の見方もわからず、苦労を重ねた場面もありました。そのたびに先輩が丁寧に支えてくれたおかげで、なんとか一人で仕事をまわせるようなったのは間違いありません。先輩たちが指導してくれたように、経験を後輩たちにしっかりと伝えて、部署全体がより良い仕事が残せるように支えたいですね。

先輩の横顔

小学校から大学まではサッカーに熱中していた宮之内さん。就職後も草サッカーチームにも入っていたが今は子育てで中断中。代わりに筋トレにハマり始めている。

【齋藤さん】試行錯誤の末に、極微圧領域で新しい装置を開発

私が所属する丸子電子機器工場は、圧力センサの製造に取り組んでいる拠点。その中でも製品開発部では、規格書上の新製品に関して、具体的に製品仕様を決め、工場の製造ラインに作り方を落とし込む部分を担っています。当社ではお客さまのニーズに合わせて、モノ作りを展開しています。私もさまざまな製品にかかわりましたが、最近、手掛けた中では世界でも類を見ない極微圧領域での装置製造は困難をきわめました。

当社では超高圧から極微圧まで多様な圧力レンジに対応できる技術力を有しています。ただ今回の極微圧は、人が通るだけで変化するような圧力を計測するため、開発は一筋縄ではいきませんでした。この製品が必要になったのは、コロナ禍によって陰圧感染隔離室のニーズが高まったことに起因しています。ウイルスが含まれた空気を病院外に逃がさないようにするのが陰圧感染隔離室の役割です。

コロナ禍直後には別チームが装置を完成させたのですが、1~2年後には装置の数値が正しいのか、校正が必要になるのがわかっており、そのために極微圧領域を作り出す発生器が求められていました。それが2023年にリリースした「PC54圧力キャリブレータ」。私はまさにその開発を手掛けたのですが、キャリブレータ開発に対する経験がないため、あらゆる角度から勉強を重ね、規格書の要求内容も精査しながら設計を進めていきました。

製品化に繋がったのは、自社開発のセンサ素子が優れているためであり、改めて当社の技術力の高さを垣間見ました。いざ生産となると世界情勢による部品不足の影響もあり、四苦八苦させられてばかりでした。それでも社内技術発表などで「いい品ができた」と太鼓判を押してもらいました。何社か行ったデモンストレーションの感触もよく、これから本格的に採用されることに期待しています。

かつて上司から「この仕事は日々勉強だ」との言葉をもらいましたが、15年のキャリアが経つ今も、まさにその言葉通りの世界だと思います。わからないところを突き詰め、何とか理解が進み、技術が形になっていく。その中で自分自身が今なお、成長を重ねられている実感が、仕事をしていく上でのモチベーションとなっています。

先輩の横顔

齋藤さんは大学時代、体育会系のバドミントン部に所属していた。理系だけに研究でも忙しかったというが、部活動との二足の草鞋をうまく履きこなしていた。

【大場さん】安定した生産を実現するべく、各方面に働きかけ続ける

私は入社以来、一貫して丸子電子機器工場の生産管理に携わっています。営業が受注した圧力センサなどの製品に関して、オーダーに沿う形での生産の実現に向けて各種調整に当たる部署で、係長職である私は他のメンバーの進捗を管理しつつ、建設機械向け圧力センサのラインは私がメインで見ています。油圧ショベルやホイールローダーといった建設機械は油圧によってその巨大な力を発揮していますが、私たちはその力を測る圧力センサを提供することで、各建設機械の円滑なコントロールを実現しています。

この2~3年、頭の痛い課題だったのは、世界情勢の変動による半導体部品不足。丸子工場はクラス10のスーパークリーンルームを兼ね備えるなど、半導体を用いた製品づくりに取り組んでいるものの、部品が手に入らないことからお客さまに対してスピーディに製品提供できない時期が長く続きました。調達担当者に依頼をしてなんとか調整をかけながら、少しでも円滑に生産ができるように必死で努力してきた数年間でした。

長期的な視野に立った生産計画がある建設機械類では突発的な事態は少ないのですが、それ以外の圧力センサに関しては、「壊れたから、来週欲しい」といった要望が寄せられることも。期待になるべく応えられる形で納品をした後、営業を経由して感謝の声が聞こえてくるというのは大きな励みとなります。こうした対応を重ねていけばお客さまの信頼も厚くなり、新規案件の受注につながっていくのだと思っています。

係長に昇格したのは2023年夏のこと。そこからはモノ作りに奔走しながら、部下の育成に臨んできました。最近になって新人事制度が採用されたのを受け、部下を評価する立場の管理者が研修を受けました。より良い組織づくりに関して体系的なノウハウを身に付けることができたので、これをいち早く還元して部下たちの成長を支えていきたいですね。

個人的にも生産管理のさらなる上の立場をめざしたいと考えています。そのため欠かせないのは製造の知識です。現状、モノの名前などの表面上の知識はあっても、作り方まで踏み込んでいくと知識が及ばない面もありますので、そうした点を一つずつクリアしながら、丸子工場内のモノ作り全体に精通した人間になりたいですね。

先輩の横顔

お子さんが生まれる前はスノーボードにハマっていた大場さん。勤務地がスキー場とも近いだけにウインタースポーツを楽しみたい人にはピッタリの環境だという。

企業研究のポイント

■自分の専攻だけにこだわることなく、幅広く企業を調べてください。会社見学にも積極的に出かけ、雰囲気なども見極めながら自分と合う企業を探しましょう。私は電気出身ながら異分野である機械系の仕事に携わってきましたが、学ぶ気持ちがあれば問題なく成長できるはず。黙々と作業をするだけでモノ作りは終わらないので、明るくコミュニケーションできる人にこそ後に続いてほしいですね。
<宮之内さん>

■技術的壁には毎回のように突き当たっていますが、そこを乗り越えた瞬間、作り手としては毎回、気持ちよい感覚を覚えます。企業研究ではどんな分野のプロになりたいのかを明確にしておきましょう。自分の目指すスタイルと、その会社固有のスタイルを比べれば自然と合う会社が導き出されるはずです!
<齋藤さん>

■一人で企業研究していても、わかることには限界があります。まずは身近にある大学のキャリアセンターを活用してはいかがでしょう。他人の意見を取り入れると、自然と自分の選択肢が増えていくと思います。その上で興味を持った企業に関しては、できる限り、現地に訪れて働く人の顔を見てください。将来の自分がその会社でどんな風に成長しているのかが具体的にイメージできるだけに、会社選びの貴重な判断材料になると思います。
<大場さん>

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上下関係の壁は低く、何でも言いやすい、聞きやすい環境が広がっている。右も左もわからない新人にとっては心強い先輩がそろっている。

マイナビ編集部から

圧力計測・制御機器のトップメーカーである長野計器は、そのクオリティの高いモノ作り力を駆使して、国内はもとより、世界の圧力計測業界をリードする存在として信頼を集めている。自動車や鉄道、建機、FA・産業機械、建築、半導体など、対応するフィールドは非常に広範。だからこそ、激変する時代の中でも重点分野を柔軟に変化させることが可能で、この点が130年近くもの歴史を紡いできた原動力となっているのは間違いない。

今回はベテランの域に差し掛かりつつある3人の先輩に話を聞いたが、全員からモノ作りを楽しんでいる姿勢が良く伝わってきた。苦しみ、迷う瞬間はあると3人とも話はしていたが、それを乗り越えるために創意工夫するのが楽しくて、前を向き続けて仕事をしているのもよくわかった。モノ作りが好きな人にはたまらない環境が広がっているようである。

働く環境の整備にも余念がなく、年間休日は123日、残業は月15時間前後となっている。31歳までは社宅に入居可能で、家賃は光熱費込みで1万円と破格。技術系は長野という地に住むのが初めてという社員も多いが、会社ががっちりと支えてくれるからこそ、安心して目の前の技術に没頭できるだろう。

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技術系の社員は長野県の丸子電機工場か、上田計測機器工場も含め、上田市界隈に工場がある。

会社概要に記載されている内容はマイナビ2026に掲載されている内容を一部抜粋しているものであり、2027年卒向けの採用情報ではありません。企業研究や業界研究にお役立てください。

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