最終更新日:2025/6/1

(株)マエダ

業種

  • スーパーマーケット

基本情報

本社
青森県

取材情報

経営者の視点

青森県内に46店舗を展開する“マエダ”。そのスタイルはあくまでも地域密着!

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代表取締役社長 前田 惠三さん

下北地方初の百貨店を経てスーパーマーケットチェーンへと躍進を続けるマエダ。二代目として会社の転換期を駆け抜けた前田社長へのインタビューから、“マエダ流”ビジネスの極意を読み解く!

スーパーマーケットと聞いて、物を並べるだけ、物を売るだけと考えてはいないだろうか。いやいや侮る事なかれ!年商374億円、従業員数1,600名、青森県内に46店舗を展開する企業には、やりがいのあるセクションやキャリアアップのチャンスが用意されている。もちろん、一足飛びに駆け上がることはできないが、目の前の仕事に真摯に熱意を持って取り組む社員たちの姿を、さまざまな形で評価していこうとする体制が整っているという。マエダで働くことを誇りに、笑顔でお客さまと接する姿はまさにその証だろう。活気溢れる店内や覇気に富む社内の熱気を背に、マエダの魅力をじっくりと聞いてみた。

奇しくも私の人生とともに歩んできた“マエダ”、思い入れは人一倍あって然るべし。

先代の父が親戚を頼って川内町へ移り住み、雑穀店を始めたのが昭和26年のこと、私が生まれた年です。ブームに乗って一時ボーリング場の経営などに乗り出したあとで、その跡地を利用して下北半島の玄関口・むつ市に百貨店を作る話が持ち上がったのは、ボーリングも下火になり何かほかの事業を立ち上げたいと模索していた頃でした。私が大学卒業後に大手スーパーマーケットで働いていたこともあって、少しでもノウハウのあるスーパーマーケット事業がいいだろうということになり、急遽、地元に戻って営業に奔走する日々が始まります。前職では家電販売を担当していました。2年ほどの勤務でしたが、「商売はお客様のために!」という仕事に対する姿勢を身につけさせていただきました。これは「マエダ」の経営の原点にもなっています。

当初はマエダ百貨店食品部としてオープン。1978年3月、私が27歳の時です。追って衣料品も扱うようになり、以来、下北地域を中心に徐々にマエダストアの店舗数を増やし、社長に就任した1999年以降は本格的にスーパーマーケット事業に乗り出すことになります。現在では青森県内に46店舗を展開、いずれも“地域密着型の食品スーパー”として長らく歩んできました。

よく質問されることですが、成功の秘訣は「つぶれないこと」「つぶれない経営をすること」。百貨店を立ち上げた時には「やらなければ!」と心に決めての再スタート、一か八かの懸けも事業には付きものです。当時は「捨てるものなんて何もない」という気持ちでした。多くの店舗を立ち上げてきましたが、最初から黒字が約束されているような出店はひとつもありません。ビジネスはそんなに簡単なものではないのです。当初の予想を大きく外すこともありますし、初年度に大きな利益が上がることは滅多にありませんが、5年ほど赤字が続いた店舗が黒字に転じた時などは、“マエダ”で働く従業員たちの努力が実った証と、重みのある嬉しさを噛みしめる醍醐味があるものです。

長い間マエダが愛されてきた理由とは?

どの店舗の正面にも大きく掲げられる“MAEDA”のロゴ。どこかホッとする、町のランドマーク的な存在だ。マエダでは新店舗とともに改装にも力を入れている。

“選ぶ楽しみ”“買い物の幸せ”をお客様に提供するため、努力は積み重ねられていく。

「なぜ百貨店をむつ市に?」という疑問には、「ほかでもなく慣れ親しんだ愛着のある町だから」と答えます。ここを拠点に店舗を増やしていければと考えていました。それともうひとつ、過疎化が進む下北地方の市町村で暮らしていても、都市部のような“選ぶ楽しみ”を地域に暮らすお客様に提供できたらと考えてのことです。店が少ない不便な地域に出店し続けてきたのは、お客様のすぐ近くで“買い物の幸せ”を味わっていただきたいと思っていたからです。

“選ぶ楽しみ”を提唱するマエダですが、店舗に並ぶ野菜や魚介も新鮮で安心安全な青森県の地場産にこだわるなど、使命感を持って取り組んできました。また、青森県で商売をさせていただいているのですから、協力し合うことで青森県の経済が少しでも元気になればという思いもあります。お客様がマエダで商品を買って健康になり、当社は利益を得て青森県がさらに活性化する。三者がそれぞれ潤う理想的な関係の実現を目指して、日々努力を続けています。

そのための努力も惜しみません。特に人気のある惣菜部門は自社で加工工場を持ち、美味しさはもちろんコストカットにも挑んでいます。2005年には物流の拠点である青森市で「マエダ チルド・グロサリーセンター」を稼働。2006年には青果物・水産物を中心に扱う、「マエダ生鮮物流センター」を、これも青森市に置き効率化を図っています。さらに2014年には美味しさを追求した惣菜や弁当を製造する「テン亭デリカ工場」を、2016年には鮮度や出来栄えを重視した精肉の商品加工を行う「ミートプロセスセンター」を、2017年には高度な加工技術が必要な鮮魚の切り身やお造りの作業を行う「水産プロセスセンター」を立ち上げました。2022年には、独自の自家配合生地を使用したパンの製造を行う「ベーカリープロセスセンター」を新設し、各店舗へ美味しいパンを供給しております。ここまで自社加工にこだわるスーパーは、青森県内ではあまりないと思います。

長い間マエダが愛されてきた理由とは?

買い物の楽しみを提供したいという思いは、どんな小さな町でも叶えられてきた。少しでも選びやすいように、店舗毎の工夫は各店のスタッフに委ねられている。

創業時からの経営理念は「先行半歩」、これからも常に成長し続ける企業でありたい。

私たちの会社は実績主義です。実績や実力を買われアルバイトから役員に登用される人もいれば、高卒入社で執行役員になった人もいます。常々会社や社員を引っ張るリーダーには実力のある人になって欲しいと思っていますし、そのための人材教育を目指してきました。経営者としては伸びようとする人を引っ張ってやりたいという思いがありますし、どんどん伸びてくる人を見るのは嬉しいものです。人生は自分で創るもの。実力が発揮できる会社で自分の力を試してみるのも一つの生き方です。社員は会社を動かすエンジン。嬉しいことに“マエダ”にはいろんなエンジンが揃っています。そして、社長はハンドルです。正しい方向へ導く責任があります。

「先行半歩」は創業当時からの経営理念です。一歩出ようと思っても簡単にはいかないものですが、それでも常に前に進もうという努力の姿勢を示しています。そのために、まずは目先の仕事を一生懸命やること。仕事というのは地味なものですし毎日続いていくものです。しかし、課題を乗り越えたその先には喜びや感動があるはずです。

マエダ本店では現在、1階の食料品と2階の衣料品をそのままに、3階と4階に大手チェーンのテナントを誘致、お客様のニーズに合わせ時代を読みながらのビジネス展開を進めています。直営部門を凝縮することで、マエダの得意分野である食品部門に特化した展開を強化しようとしています。たとえば、天然出汁の旨味がきいた減塩の和惣菜は、自社のデリカ工場ならではのクオリティーです。常に成長しお客様や社員に還元していける、夢のある企業であり続けたいと思っています。

長い間マエダが愛されてきた理由とは?

精肉加工を行う「ミートプロセスセンター」は、マエダが物流の拠点とする青森市に置かれている。ここで加工された肉は、直ちに県内各地へ一斉配送される。

企業研究のポイント

企業選びの軸に「地域貢献」を挙げる学生さんは多く、企業側もまた、理念や経営方針によく掲げています。地域貢献、社会貢献にはさまざまなとらえ方がありますが、当社は「スーパーマーケット」という暮らしに密接した業態であるからこそ、お客様に寄り添う真の地域・社会貢献を実践しています。

企業研究をする際、会社が掲げる理念を掘り下げるとともに、実践していること、1番の軸としていることを見極める「目」を養っていただきたいと思います。表面上の言葉ではなく、実際にその企業がどんなことをしているのか、また、実践内容に共感できるかを自身の目や心で感じることで、後からミスマッチや「こんなはずじゃなかった」となることを防ぐことができるはずです。企業の規模やネームバリュー、収益、待遇ももちろん大切ですが、「この会社に入社することでどんな未来を描けるか」そんなことを意識しながら自分自身と向き合ってくださいね。

また、企業担当者と話をする際は、事前に話す内容を準備することは良いことですが、是非自分の言葉で伝えることを意識してみてください。自分の言葉を意識することで、より気持ちが伝わりますし、円滑なコミュニケーションが取れると思いますよ。

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企業研究は自分自身と向き合う時間です。どんな社会人になりたいか、自己成長ができるかを意識しながら、自身の目と心で企業を掘り下げてみてください。(人事担当:梶原)

マイナビ編集部から

過疎化が進む地域にも積極的に店舗展開をするマエダストア。利益優先ではないその経営理念には常に地域社会に寄り添う姿勢がうかがえた。それは創業以来変わらない「お客様のすぐ近くで“買い物の幸せ”を味わってもらいたい」という思いそのもの。
むつ市でスタートしたマエダは現在、青森県内に46店舗を展開。どの店舗も地域コミュニティーの中心的存在だ。買い物客はもちろん、従業員も地元住民であり、地域雇用の一翼も担っていると言えるだろう。

「スーパーマーケットは単に買い物をする場所ではない」。取材を通し、身近なスーパーマーケットの存在意義を改めて考えさせられた。マエダの得意分野である「食」は暮らしに直結し、生きる力につながる。人が集い、対話することで生まれるコミュニケーションは、過疎化や高齢化が進む地域にとって、どれだけの力を与えていることだろう。

地域貢献、社会貢献を理念に掲げる企業は数多く存在する。マエダは表向きではなく、実践することで地域の信頼を得ている。取材で目にした誇りを持って働くスタッフの姿こそがその証。生きがいと働きがい、その両方をかなえることができる場所、それがマエダであると、強く感じた。

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どの店舗の正面にも大きく掲げられる“MAEDA”のロゴは町のランドマーク的存在。地域に合わせた売り場展開で、顧客のニーズをしっかりキャッチしている。

会社概要に記載されている内容はマイナビ2026に掲載されている内容を一部抜粋しているものであり、2027年卒向けの採用情報ではありません。企業研究や業界研究にお役立てください。

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